9/58
智夜と十六夜 9
顔の腫れもひいたので、僕は学校に行き始めた。母が担任の先生に「軽い風邪で」と、連絡していたから僕の欠席は特に問題にもならなかった。
何日か過ぎたある日、僕は放課後に校門の所で声をかけられた。
「智夜君」
前に十六夜の誕生日のプレゼントの事で忠告に来た、十六夜の友達だ。僕は少しびっくりした。
「えーと、十六夜の友達の・・・」
「木田っていいます」
「そう。えーと、今日はどうしたの。十六夜が何か?」
「ええ、あの、十六夜の事を少し聞きたいな、と思って」
とりあえず校門の所で他校の女子と立ち話をする気にはならなかったので、僕は帰りながら話をしてもらう事にした。
「僕、家は北坂の方なんだけど、よかったら途中まで帰ろうか」
木田さんが頷いたので、僕は途中まで一緒に帰る事にした。