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智夜と十六夜 52
朝、智夜の顔を見てかなりホッとした。
「智夜、昨日、話をしたの?」
「したよ」
うわ、やっぱりしたんだ。私だったら絶対ぎりぎりまで黙っているけどね。
「大丈夫だった?」
「大丈夫だったよ。思っていたよりずっと何ともなかった」
智夜は本当に大丈夫そうだった。いやー、よかった。今日はいい日だ。
「あ、でも」
「え、でも?」
「今朝、母が”何であんたなんかの為に朝ご飯をつくらなければいけないのよ”って言って切れていたから、なるべく刺激しないように食べないでそっと出てきたんだ」
そっか。それはそれで良くないんだけれど、その程度でよかったよ
「お腹すくね」
「大丈夫。昼に何か余分に食べるから」
「夕食は大丈夫かな」
「どうだろう。わからないから非常食を確保しておくよ」
智夜は落ち着いていて平気そうだった。私はちょっと感心してしまった。智夜がこんなに落ち着いているんなら、財産の方は本当に要らないんだと思うね。
「じゃあ、今日は部活なんだけど・・・」
「うん、僕も色々調べる事があるから」
そう。何かそこまでさっぱりされるとちょっと拍子抜けするんだけど。智夜の事が心配だから半分部活さぼろうかと思っていたのに。
もしかして智夜のお母さんも、智夜がいきなりしっかりしたから淋しくってキレているんじゃないかな?




