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智夜と十六夜 45
一人で家にいる時に、電話がなった。
「はい、望月です」
「三田です。君は智夜君かな?」
「はい、そうです」
三田さんだ
「ちょうどよかった。本当は大事な話を電話でするのは気が進まないのだが、早く連絡しておいた方がいいと思ってね」
「はい」
「屋敷の件だが、今の持ち主に売る気は無いそうだ」
「そうですか・・・」
「後は、交渉次第だろうな。値段がつり上がっても是非にという話になるようなら、改めて色々な条件を決めなければならないが、あまり勧められないな」
「わかりました」
「申し訳ないが、そういう事だ」
「はい、ありがとうございました」
「それでは、また後で」
僕はやっぱりがっかりしたと思う。屋敷を買い戻せば、祖父の機嫌も、それから屋敷の事を嫌いとは言っていても、父の機嫌も直ると思っていたから。
それから、祖父や父が財産を貰えなかった事に対する罪悪感もあったかもしれない。財産を貰っても、その大半が屋敷を買い戻す費用に使われるのなら、僕はあまり申し訳なく思わずに済む。
明日、十六夜にどう思うか聞いてみよう。




