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智夜と十六夜  作者: 千夏
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智夜と十六夜 27

 ”婚約は形式だけという事でしょうか”と、確認すればいいだけだと思っていた。でも、十六夜と春恵さんの雰囲気からすると、何か違う気がする。

 この話の流れでそんな事を言い出すと、すごく失礼ではないだろうか。でも、はっきり確認しなければ三田さんに話ができない。僕は間が持たなくって二人とも承知の筈の相続の話を繰り返してしまった。

 その話もしてしまうと話す事もなくなり、僕は黙ってしまった。十六夜の方を見ると、目があってしまう。

「智夜、どうしたの?」

十六夜が水を向けてくれたんだけれど、僕は言い出せなかった。

「お菓子少し食べたら?」

流石に食べる気にはならない。代わりに十六夜の淹れてくれたお茶を少し飲んだ。

 春恵さんは、僕の話を聞きながらずっと何かを考えていたのだけれども、考えが決まったらしい。

「そうだね。本当の事を言うと、私財産がどうのっていうのあまりあてにしていないんだ」

春恵さんは真面目な調子でそう言った。僕は抗議した。

「三田さんは信用できる人で・・・」

「三田さんが信用できないっていう訳じゃ、なくってね」

と、春恵さん。

「私はね、智夜君がちゃんと社会人になって、まだ十六夜の事を好きならその時、プロポーズするのがいいと思うんだ。お金を貰いたいから一度嘘で婚約して、その後婚約破棄っていうのは気に入らない。・・・三田さんには十六夜との婚約は無しという事で話をしてみてくれない?」


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