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智夜と十六夜 24
私はあんまり走ったりしたがらない落ち着きすぎている智夜をできるだけ急かして家に急いだ。智夜の喜ぶ顔を見たかったからね。
「智夜と婚約するよ、今後ともよろしくね!」
私は智夜の手を握って上下に振ってあげた。ほんと、よろしく。
残念ながら、智夜の反応は鈍かった。一瞬にっこりしたんだけど、すぐに真面目な表情に戻ってしまう。
「ありがとう、十六夜。三田さんもその方が喜んでくれると思う。遺産を分けてもらうにはどれくらいの期間婚約していればいいかとか、細かい事は確認しておくから十六夜は何も心配しなくていい」
智夜は真面目な顔してそんな感じの事を言った。
「智夜、婚約っていうのは結婚するまで婚約なんだよ」
私はそう言って奥の部屋に入った。狭いから、リビングルームっていうのは気が引ける。
「姉ちゃん、ただいま。智夜も来たよ」
「お帰り。智夜君、いらっしゃい」
姉ちゃんは掃除してくれたらしい。最も片づける前を知らなければ片づけたってわからないかもしれないけど。




