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智夜と十六夜  作者: 千夏
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智夜と十六夜 19

僕の家の事を少しだけ。

 僕の曾祖父は、息子の事は勘当したものの、先祖代々の家屋敷、田畑は血のつながっている孫息子に譲りたいという意向を示し、その通りにした。

 両親が駆け落ちした先で肩身の狭い思いをして育った祖父には、望月家の屋敷に主人として住むという事は夢のような話だったらしい。

 祖父は普通にお見合いをして結婚した。祖母はとてもできた人だった。祖父は気性の激しい人でよく父と衝突したが、祖母はいつも間に入って父をかばってくれたそうだ。

 望月の家を継いだ祖父は事業を始めた。農業だけではやっていけないと考えての事だった。

 初めは結構うまく行っていたらしい。趣味で猟を始め、時々山に入っていたそうだ。余裕があったんだろう。

 でも、そのうち事業がうまくいかなくなり、借金を抱えてしまった。

 屋敷は抵当に入っていたが、曾祖父から譲られた屋敷を手放したくなかった祖父は、曾祖父から事業を譲られた三田さんを訴えた。誰かに変な事を吹き込まれたらしい。


 ”玄孫に譲ってほしいという条件で他人に遺産を譲るなんて正気だったのだろうか。うまく話を持っていけば無効にできるのではないか?”

・・・そんな感じで。


 結局訴訟費用がかさみ、祖父は屋敷どころか田畑も無くしてしまった。父は祖父を咎め、大喧嘩をして家を出た。父は成績が良かったから多分大学に行きたかっただろうが結局行かずに働くことになった。

 祖父は三田さんを逆恨みしているらしい。ちなみにまだ元気だ。

 祖母は屋敷をでる時も特に不平を言わず、引っ越し先の小さい家で祖父の面倒を見ていた。床の間にちゃんと花を活け、部屋を綺麗にして。

 でも残念な事にこの前亡くなってしまった。祖父はますます気難しくなったという話だ。


 僕の家に床の間は無いけれど、花はよく飾っている。母が祖母に影響されたらしい。

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