智夜と十六夜 12
怒って部活をすると、ミスばっかりする事が判明した。おまけに人数少なかったので、すごく疲れた。優ちゃんばかりか、京ちゃんまで休むって一体、どういう事よ?
翌朝、私は休み時間に京ちゃんのクラスに行った。勿論京ちゃんに文句を言いに。
「京ちゃん」
声をかけると、京ちゃんと、それから、優ちゃんと仲がいい恵美ちゃんがやってきた。
「十六夜、昨日ね」と、京ちゃん。
「昨日、部活大変だったんだからね」と、私。
「えーと、それはごめん」
「滅茶苦茶疲れてもー泣きそうだったんだから」
京ちゃんの反応がいまいち鈍かったので、私は反省を促すべく練習メニューを列挙する事にした。
「いい、昨日はすごい走らされたんだよ、グランドを・・・」
「十六夜、わかったからその話は後にして。ねえ、それより、昨日帰りに優ちゃんが智夜君に”もう一緒に帰れないから”って言われちゃったらしいよ」
「えー」
私は少しびっくりした。智夜、優しいから途中まで一緒に帰るくらいだったらあまり断ったりしないと思っていたよ。
「十六夜、智夜君に何か言った?」
「何にも」
「・・・だってさ、恵美ちゃん」
恵美ちゃんは少し気まずい顔をした。
「ごめんね。でも優がすごい落ち込んでいてさ、今日は学校休んじゃったし。十六夜が智夜君に”一緒に帰らないで”って言うのは当然だと思うんだけど、言ったかどうかはっきりしていた方が私も話しやすいからさ・・・」
ごめん、と言って恵美ちゃんは席に戻って行った。
「優ちゃん、やっぱり智也君の事すごく好きだったんだね」と、京ちゃん。
「で、十六夜はどうなの?」
「智夜の事?」
「他に誰がいるって」
「今更聞かれると思わなかったからびっくりしたってば」
私は、時間だからと言って自分のクラスに戻った。