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第17話~クズでも世界を変えられる!④~

輝木光を助けるために死亡した内木遊。

大切な仲間の死により輝木光がついに覚醒。

志村再を圧倒的な力で追い詰める……。

しかし、志村再にはまだ手札が残っていて……。


今回ついに決着!

「この女……。ここまできて、オレの夢を……! いい加減にしろ! 大人しく死ねよ! うっとうしいんだよ!」


「志村再! 貴様の夢は叶わない! 不幸をばら撒く貴様の夢など叶いやしない!」


「黙れっ! 歪められた正義に酔いしれたガキがっ! オレの夢の邪魔は、誰にもさせないッ!!」


「否! 叶えさせない!」


志村再にはもう余裕がない!

迫り来る輝木光に対して、決死の抵抗を試みる!



赤井萌の超能力!

炎と熱による攻撃!


身体能力で回避。

豪雨のため大幅に弱体化。


内木遊の超能力!

範囲内の人間の完全操作!


ついさっきも破られた。


水野恵の超能力!

超回復と肉体強化!


毒で使用不可。



女子C級、三重津透の超能力!

姿と気配を消し去る!


常に電気による探知を行う輝木光には無意味。


男子C級、獅子田来音の超能力!

人間以外の動物の操作!


操作する動物がいない。


女子B級、金銅銀の超能力!

変形した金属で攻撃!


全て電熱により消滅。


男子B級、須賀田融似の超能力!

誰かに変形して混乱を誘う!


輝木光が信頼する仲間はもういない。

よって無駄。


男子A級、枕田源三郎の超能力!

対象を強制的に眠らせる!


脳神経の電気信号を操作して無効化。


男子A級、猛田十騎の超能力!

身体能力が10倍以上に変化!


もう使ってる。


男子A級、氷川凍碁の超能力!

氷塊と冷気による攻撃!


引き上げられた身体能力で回避。

またはジュール熱で相殺。



輝木松吾郎の超能力!

念力による攻撃!


直前の動作で予測され、脊髄反射で回避される。



津場井照の超能力!

映像による撹乱!


常に電気による探知を行う輝木光には無意味。


阿鳩優の超能力!

文字を記入して物体を変化させる!


速すぎて書ききれない。


都園懸悟の超能力!

勝負に負けた人間の魂を奪う!


そもそもこの勝負に負ければ死ぬので無関係。



他。

諸事情につき、使用できない超能力が何点か。



結論。


通じない!

志村再が試みた手段は、目の前の敵に通用しない!



「だがしかし、逃げる訳には……っ」


この機を逃せば、輝木光に対策を立てられるので一層不利になる。

それも分かっている。


「宣言する。1分だ。1分以内に、志村再……貴様を殺す!」


「舐めたことほざくんじゃねェ……! このオレを侮辱するなァ! オレに刃向かうヤツは皆殺しだっ! このクソガキがッ!」


彼がかねてより知っていた自身の欠点。


気が短くプライドが高い。


今の志村再は既に冷静ではない。


「……! 輝木っ! がんばれ! も、もうそれしか言えない!」


入口では御貫真が輝木光の応援をしている。

志村再が彼女を殺して超能力を奪えば、輝木光を倒せるかもしれない。

だが、そんなことしている時間はない!


「ぐおあっ……!」


左脚もへし折られる!

もう立つのすら難しい!


いくら計算高く、慎重で努力家の志村再でも、ゴール直前に浮かれ、慢心していた。

偶然か必然か、輝木光は、まさにその隙を突くことに成功した!


志村再を倒すラストチャンスは、今この瞬間!



「みんな……私に力を貸してくれ!!」



志村再の夢が今まで虐げてきたモノたち。

失われた命や、誇り。

そして、大切な友人たち。


それらの想いを込めた右腕を、輝木光は放つ。



「防御を……っ、金属と氷塊で……」


志村再は輝木光の攻撃が迫る右側を決死の思いで防御する。



「滅せよ!」


しかし。



右眼を潰されていた志村再には死角があった!

ワンテンポ間に合わない!

輝木光の攻撃を防げない!


「まずいっ――!」


志村再は咄嗟に右腕で頭部を庇うが!



「悪しき者よっ!!」



輝木光は志村再の右腕をへし折り、そのまま顔面を殴り抜ける!



ついに決着!!



--------


吹き飛ばされた志村再は地を這う。


「…………」


「く……、下半身が動かない……っ! 

もう痛みすら…………っ? け、頚椎をやられたっ……」


「解毒と治療は両立できない。ここで私がトドメを刺す。志村再、貴様の負けだ」


「し、死ぬっ…………? ……。オレが…………?」


志村再は既に虫の息。


「…………オレは……死なねェぞ…………生きて夢を叶えるんだ…………!」


輝木光が無言で近づく。


「…………」



その瞬間!



「あぁ、希望は残ってるのさ。どんな時だってな!」



志村再が温存していた最後の切り札。


坂佐場搠の超能力が発動!



輝木光と志村再の『状態が逆転する』!



--------



「…………!」


「おい。やったと思ったか? オレを殺せると思ったか?」


志村再は輝木光と状態を入れ替えたことにより、全快している。


「ぐ……」


一方で輝木光は瀕死で呻くのみ。


「切り札は最後まで取っておくモノだ。勉強になったか? このクソガキ」


「…………」


「頚椎を損傷したお前は動けない。放っておいても毒で死ぬ。さっきまでの自分だから分かるよ……。もってあと5分だ。

お前が死ぬのを見届けたら、オレは虚井結良莉の超能力でここから一度脱出する。これが第二の切り札だ」


「はァ……ハァ……」


「ザマを見ろ。分不相応に調子に乗るからそういうことになるんだ」


「……………………」


「これで世界はオレのものだ。この世界の人間は、オレの許しで生き、オレが死ねと言ったら死ぬ! 誰もオレに逆らえない! 天地の事象全て、オレの望むがままに!」


志村再は勝ち誇る。


「輝木っ!! 大丈夫かい! 体は動かせるかい!?」


いつの間にか降りてきた御貫真が、輝木光へ駆け寄る。


「ふっ、御貫真……。自ら死にに来たか? ちょうどいい。お前の超能力……便利だよなァ? 新しい王の即位祝いにお前を殺し、その超能力をコピーしておこう!」


絶望的状況に見えるその時。




「うん…………動くよ……。…………左腕くらいなら。…………イェイ。

勝ったよ…………私…………」


左腕を挙げ、勝利のサインを示す輝木光。



「うん……うん……! 勝ったね……! 輝木、キミは凄い子だ…………!」


御貫真もそう答える。




「? なんだ? 現実逃避か?」


志村再は状況を飲み込めない。


しかし、刹那。


「……!?」


自身の右のこめかみに、拳銃を当てている己に気づく!



「なっ……なんだこれは!? どういうことだ!? 体が勝手に……っ! ち、超能力も使えないっ」


「タイムオーバーだよ。志村再。輝木が喋れないから、説明してあげるよ」


混乱を極める志村再に、御貫真がネタばらしをする。



「ちょうど1分前。輝木に『1分後に自殺する』って暗示をかけておいたんだよ」




「……!」


「輝木は計算済みだった。キミの『切り札』も。キミの行動も」



--------



1分前。

テレパシーで輝木光と御貫真が会話する。


『御貫さん。私を『1分後に自殺』させてくれ』


『えっ! イヤだよ! どうしてそんなことを……』


『志村再は、絶対に坂佐場搠の超能力をコピーしている。追い込まれたらヤツはそれを必ず使う』


『っ! まさか……』


『1分以内に、ヤツに坂佐場搠の状態入れ替えの超能力を使わせる』


『滅茶苦茶だ! 1秒でも遅れればキミが自殺するんだよ!?』


『ここで志村再を放っておいたとしても、メグの生命力操作でいつか解毒されてしまう。だから、これは超能力が効かないアイツを殺す、唯一の方法なんだ。

頼む、信じてくれ。友達が命をかけて繋いでくれたチャンスなんだ。アンタも、私と一緒に戦ってくれ!』


『……分かった。分かったよ! その代わり死んだら承知しないからねっ!!』


『……ありがとう、御貫さん』


「……! 輝木っ! がんばれ! も、もうそれしか言えない!」



--------



「キミを対象に超能力は使えないけど、キミが自分から自殺の暗示を勝手に受けたなら話は別だ。それなら『超能力殺し』には引っかからない」


「ふっ、ふざけるなっ……! そんな無謀すぎる策がっ……!」


「それに、キミが圧倒的有利に見える状態から、一瞬で逆転してそのまま勝利する必要があった。伊武有人の能力を使われるわけにはいかないからね」


「止めろ! オレを止めろ、御貫真ォォ!!」


「止めるわけないだろ……。このゲスが……。キミのせいで……」


「止めてくれ! 頼む……! オレはこんな所で死ぬわけにはっ!!」


「……そうやって縋りついた人を、キミは何人裏切ったんだい」


「あ、ああそうかオレの『超能力殺し』が怖いんだな!? 今は使ってない! 完璧に解除してる!!」


「……」


「だから止めろ! 止めてくれ! そ、そうだ、伊武有人の超能力を使えば、死んだ連中も生き返らせられる!! 止めたら生き返らせてやる!!」


「…………」


「な、何とか言え! 仲間を見捨てるのか!! おい、御貫ィ!! 早くしろッ!! 答えはイエスだろうがァ!!」


「……人を殺しておいて、交渉の道具にするなよ」


「い、イヤだ!! オレは死ぬわけにいかない! こんなところじゃ死ねない!! ふざけるなっ! やめろ!!」


「……もう、時間だよ。さよなら、志村再」



「やめろオオオォォォーーーッッ!!!!!!」


銃声。



--------


志村再は死んだ。


「うっ……。くぅ……」


静かなシェルター内に、輝木光の嗚咽が響いた。


「輝木……。これで世界は救われたんだ。キミは英雄だよ」


「……全然嬉しくない……っ。達成感も何もない……。志村を殺したって、友達は帰ってこない……!」


「輝木……」


「私には何が残った……? 何もない……。全部失った……」


「……それは」


「……。……なぁ、御貫さん……。私は…………死んじゃうのかな……?」


輝木光たちが志村再に与えたダメージと猛毒。


それが今、輝木光自身を蝕んでいる。


時間さえあれば生き長らえる志村と違い、水野恵の超能力を使えない彼女では、治癒がとても間に合わない。


「何を! しっかりしてくれよ!」


「…………。身も心も……もうボロボロだ……。疲れたよ、私は…………」


「諦めるな! キミにはもう借金もない! 指名手配もされない! 素晴らしい未来がキミには待ってるんだ!」


「…………」


「ほら、見るんだ! 夜明けだよ……! 辛くても、苦しくても、諦めなければ、生きていればいつか……!」


「はは、人工の夜明けだけどね……。それに……それはアンタだよ、御貫さん……。アンタこそ英雄さ…………。

アンタの……輝く未来で…………たまには、私たちのことを……思い……出してくれると…………」


「違う! 2人で生きるんだ! 死んだ人達の分まで!」


「嬉しい……な…………」




--------



輝木光 死亡

享年 ――――


--------



「ダメだ!! お願い! 誰でもいい! 輝木を――」



「助けて!!!!」



志村再がコピーしていた坂佐場搠の超能力を逆手に取り、志村再の能力を封じ自殺させることに成功した輝木光と御貫真。


しかし、大ダメージを受けていた輝木光の体は既にボロボロだった。

そんな輝木光を死なせまいと御貫真が一心不乱に願うと……。


次回、最終話スタートです

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