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第15話~夢追い人②~

投稿が遅れてしまい申し訳ございません。


--------


赤井萌と水野恵は志村に敗れ死亡した。

しかしながら、2人とも敵に関する手がかりを残していたのだ。


時は15分ほど前の、志村との戦いに遡る……。



「いい、いいぜ赤井萌! もっとだ! もっとオレにその力を見せてくれ!」


飛んでくる金属の針と冷気の同時攻撃!

さすがにこれは溶かせない!


「はあっ!」


なので、脚に高熱をまといながら、迫る針たちを横から全て蹴り飛ばす!


「なんだ、そのデタラメな身体能力は! そんなこともできるのか!? すごいじゃないか!」


「熱とはエネルギー! だから変換できる! 私が体を動かすためのエネルギーへと!」


『ガキンカキン!』


熱を発しながら、冷気を相殺。

身体能力を上げて、迫る針を全て撃ち落とす!


「くっ……」


志村が狼狽え1歩下がった。


「逃がさない!」


しかし私のスピードが勝ってる!


もう志村に余裕は見られない!


「覚悟なさい!」



「うっ、えっ、も、モエちゃん……。やめてよぉ……」



(!? メグ……?)


志村に近づいていたはずなのに、メグが目の前に……。


「違うよ! 私はここにいるよ! モエちゃん騙されないで!」


後ろからもメグの声が聞こえる。


(志村がメグに化けた?)


「……はっ、かかったな甘ちゃんめ!」


速い!

私に向けて超スピードで偽メグ……志村が突っ込んでくる!


「死ね!」


これが志村本来のスピード?

常人の10倍はあるだろうか。


私の付け焼き刃の身体能力向上より、結構勝る。


「赤井萌ェ!」


私の首に、冷気をまとった刃がせまる。

私には避けられない。



『ブオォン』


響く空振り音。


避けられない。


……温度差で生み出した『虚像の私』には。


私はまた、あの日を回想していた。


--------


「あーら、なんて方ですのー? 仕切りたがりなのですわねー」


会議室に響く、馴染みのないよく聞く声。


(……え? この声、この見た目……私?)


「そうだ……。この場においては、協調性を尊重すべき……」


( ! 姿が変わった!? 今度は男子A級リーダーの人!)


「なっ、何なのぉ!? 私をバカにしてるの!?」


「全く、失礼ですわねー。アナタの欠点を指摘しただけですわよー?」


(また、私に!? ……私は、こんなこと言わないですわ!)


「いい加減にしてぇ! 須賀田融似!」


「す、須賀田?」


「うぇーん。みんなが銀を虐めるわよぉー」


「私はそんなこと言わないわぁ!」


……B級リーダー、須賀田融似の超能力。


それは『完璧な変装』だった。


どんな人間にも、どんな物体にも変化できる。

見破る手段のないレベルに。


--------


ゆえに私は知っていた。

志村が姿を変えられることを。


「空振り……っ! 偽物か、しまった!」


この瞬間に全てを賭ける!


(建物の壁を駆け上がり、上から力の限り志村を斬りつける!)


「う、うおおぉぉぉっ!!」


志村の冷気と金属が再び迫る!


「無駄よ!」


焦った攻撃など、無意味!

全て蒸発させる!


「やられるっ……!」


私の右手に握られた、幾千度の炎の剣。

これで志村の首筋を引き裂く!


「取ったッ!!」






「…………ごふっ。…………!?」




(…………? どういうこと?)


「切り札は最後に取っておくものさ、赤井萌」



炎の剣で切りつけたはずが、志村はノーダメージ?


(それに私の口から溢れるこれは……? 血……!?)





私は重力に逆らえず倒れる。

体が指1本動かせない……。


(一体、何をされた……? 分からない……。私はやられてしまったの……?)


「も、モエちゃん! 治すから! すぐ治すよ!」


(メグが駆け寄ってくる。ダメ……! 今こっちに来たら、志村に殺されるわ……!)


「ふふふ……」


「……な、なんで……? 治らない…………! モエちゃん、治らないよぉ……っ!」


(! なんですって……)



「治らないさ。赤井萌は既に死んだからな」



(私は……死んでいる……?)


「も、モエちゃんに近づかないでっ!」


「邪魔だ」


「あうっ!」


(メグ……!)


大切な仲間が蹴飛ばされたというのに、私は指先ひとつ動かない……!


「いただいていくぜ。その力をな」


私の耳元に志村の右手が。

ダメ、抵抗できない。


『ブチッ』


(何か盗られた…………? ピアス……? そんな、もう……痛みすら感じない…………)


私は…………本当に………………?


「お察しの通り、オレは死んだ人間の超能力をコピーすることができる」


「も、モエちゃん……っ!」


「そして、オレがコピーした超能力のうちの一つに……、ま、便利なものがあったのさ。だから赤井萌は死んだ」


「そ、そんな……」


( ! 分かった……。志村の超能力が……! 圧倒的な真実が…………)


(……伝えなくては……。ヒカリたちに……。みんなが…………殺されてしまう…………!)


『ボォ……』


命を振り絞り、僅かばかりの炎を……!


「あん? なんだ、赤井萌? 最後の一撃でも食らわせるつもりか? 無駄無駄。オレに超能力は効かないんだぜ?」



(もう……ダメ……。意識が…………。お願い…………伝わって…………)


『7++*××%」』


背中に最後の力で文字を書き込む……。


(みんななら、きっと……分かる……から……。これが…………。だから……勝って…………。

みんな…………。不甲斐ない……リーダーで

…………ごめん………………ね………………)



--------



赤井萌 死亡

享年  22



--------(side:Descriptive part) ---------



「赤井の体温が低下した……。死んだか。無駄なあがきだったな」


「モエちゃん……! ……っ!」


「携帯で他の隊員にオレのことを話すつもりか? させるわけないだろ。

水野恵、お前は今から焼き殺す。お前をあの世に送るには、やはりこの力こそがふさわしい!」


「! 炎!? モエちゃんの……! ダメ、間に合わ――」


「死ね!」


『ガシッ』


「うおっ!? 足を!? 何者だ!」


「……させない………………!」


「あ、赤井萌!? お前、脈も体温もない! 死んでいるハズなのになぜ!? えぇい、どけ!」


『ドガッ』


「モエちゃんっ……!」


『――ピロリン 。メッセージを送信しました』


「う、ぐ、き、貴様ァーッ! よくもこのオレの計画を! 死ね! 脳内を焼き尽くしてやる!」


「あ、あああぁぁぁぁっ!!」


「知ってるぜェェ! ほぼ不死身のお前でも、脳を破壊されればもう再生できない! おら、死ね! 死ね! 死ねェェ……!」


「ぁぁぁぁ………………っ………………。…………」



--------



水野恵 死亡

享年 18



--------


「は、はははっ。余計なことしやがって、クソガキが。死んで償え」


『ザッ』


「……? 後ろから砂利の音? …………? !?」


「…………」


「あ……赤井萌……!? なぜだお前! どうして立っている!?  もはや脈も呼吸もない、死人が……っ!」


「私の…………愛する友が…………お前を殺す…………」


「く、来るなっ! 死んどけっ」


「地獄で…………」


「来るなっ」


『ボッ……』


「ぐああっ!! 目が! オレの目がァっ!」


「待って……いるわ…………」


『ドサッ…………』


「…………。ハァ……ハァ……、何だ……この感覚はっ……! オレは勝った。2人ともぶち殺したのに!

この、クソ女どもがァ……。満足そうに死んでんじゃねぇよォっ」


『ガサ……』


「ぐっ。右眼の治療を……。水野恵から超能力を奪えば、どんな傷だろうと…………。

…………。な、治らないっ!? クソっ。あの天パが! 最後に何かしやがったな……!

……。まあいい。オレは勝ったんだからなァ……。

そうだ。オレの『超能力殺し』は、誰にも破れない。このまま残りの超能力者どもも始末する。

オレは必ず夢を叶えてみせる!」



--------



時は現在へ。



--------(side:輝木光) ---------



これだ。



『PK KILLER』



「ピーケーキラー……」


「超能力……殺し…………!」



「モエの暗号の正体はね……。スマホ入力だよ。

アルファベットに切りかえて、その画面のまま、『7++*××%」』と入力すると、暗号が解けるんだ」


「モエちゃん…………。最期まで、こんな…………」


「志村に向けて超能力を使った人間は、全て死ぬ。コイツはそれを伝えたんだ。……自分の死の間際に」


「…………。? これは、なんだい? 暗号の下に小さく……。『2(…6(\』? これもスマホかな」


(モエ…………。バカなヤツ…………)


「こんなの書いてる、暇あったらさ……。逃げたりとか……しろよ…………。ちょっとでも、自分のためにさ…………」


『2(…6(\』を解くとそれは……。



『がんばれ』



「……あ、あ…………」


もう無理。抑えられない。


「うっ……あ……」


涙が止まらない。どうしても止まらない……。


ここで止まらないと、もう止まれないのに……。

止まれ……!


「輝木……」


「ごめん……。ごめんよ……。私が置いていかなきゃ、こんなことにはっ…………」


(どうして? 悲しい。苦しい。辛い。悔しい。虚しい。情けない。苛立つ。憎らしい!)


「ああああああぁぁぁぁ……あああぁぁ!!!!」


色とりどりの感情の渦に、飲み込まれていく。


(自分が憎い! 志村も憎い! 私をおいて死ぬ2人も憎い!)


「う、あ――――……っ!!!!」


(自分が哀れだ! 志村はやはり憎い! 2人の人生を思うと悔しい!)


「あ……うぁっ……なん、で……なんで…………――――!!」


「ヒカリちゃん……」


これまでの日々が、私たちの軌跡が、手に余る激情に染められていく。


「何でだよ!! 何でこんなことになるんだよ!!  メグは、あんなにいいヤツだったのに!! こっちが心配になるくらい、お人好しで素直なヤツだったのに!!

家族のために頑張ってたんだぞメグは!!」


言葉に出すと、余計に思い出の輪郭が浮き出て、私の感情を突き刺す。


「モエだって……なんで最期にこんな目に遭わなきゃいけないんだ……!! 一家心中に巻き込まれて、それでも腐らず頑張っていい大学入って……、国のために命をかけて戦った……。

なのになんで!! 最後がこれ!? おかしいだろ! 少し報われたっていいだろ…………」


「お姉ちゃん…………」


「2人とも、誰よりも、幸せにならないといけないのに…………。なんで、こんな…………。

努力が報われるとか、ちょっとくらい、いい話を聞かせてくれよ…………。うっ……ぐずっ……」


「……輝木。ずっと見えていたよ。そんな心を抱えながら、今までよく我慢したよ。もういい、いいんだよ……。キミは強い子だ……」


志村の能力の正体。

それは死んだ超能力者の能力のコピー。

そして、そのうちの一つに、志村を対象に超能力を使った人間を問答無用で即死させるというものがあった。

これが赤井萌の伝えた事実だったのだ。


そして、仲間からのメッセージを受け取り、ひたすら慟哭してしまう輝木光だった……。


次回、『ある人物』の過去を回想します。


よろしくお願いいたします!


--------

ここまでこの長い話を読んでいただき、ありがとうございます。

もしもお暇でしたら、感想レビュー、評価等お願いいたします。

何卒よろしくお願いいたします。


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