第9話~死に至る病④~
カナリアの会、暗殺班のリーダー阿鳩優。
そんな強敵と戦う水野恵は絶体絶命のピンチに陥っていた。
そこに輝木光が助けに駆けつけて……。
「オメェは輝木光.......」
「その声.......。お前、あの電話の時の.......」
(………………。
…………よし、よしよし! ヒカリちゃん! ヒカリちゃん! ヒカリちゃん!
やった! 彼女さえいれば、百人力なのさ!)
「よう、2日ぶりじゃねェか、輝木光。よくここが分かったな」
「人間は自分の体を動かす際に、中枢神経から電気の信号を発する。
それを探知すれば、近くに人間がいると把握できる。
いくらお前がこの路地への入口を『外壁に見せかけていた』としても.......私には通用しない」
「ケッ。水野恵といい、お前といい.......。視覚以外から情報を得る手段があんのはどうにも厄介だぜ.......。ま、それがオメェの死因になる訳だがよ」
ヒカリちゃん.......。
いつの間にそんなことが出来るように.......。
(すごいよ! やっぱりヒカリちゃんはすごい!)
「お前の超能力.......。入口への細工、そしてその右腕から見るに.......。物体を変化させるってところか」
「その通りだよヒカリちゃん! 気をつけて! アイツに『触れたら』どんなものでも変化させられてしまうの! だから、触っちゃダメ!」
「そうだ。『触れたら』だ。.......で、そこでだ。オメェさっき、オレ様に何したよ?」
「!! 右足が.......! しまった! そうか!」
ドカンという爆音とともに、地面に大きな亀裂!?
これは.......!?
(ヒカリちゃんが地面にめり込んでる!? ヒカリちゃんは一体、何をされたの!?)
「重い! 右足がとんでもなく重いぞ! まるで大型車でも乗っけられたように動かせない!」
「どうせ解除する方法はない。教えてやるよ。輝木光、テメェの右足を見やがれ」
「こ、これは! 謎の赤い文字が! 『7t』.......!」
(7t! 7トンだ!
アイツは蹴られた瞬間に、線3本で書けて、かつ動きを完全に封じられる文字を書き込んだんだ!
今、ヒカリちゃんの足は実際に7トン.......7000キログラムの重量になっている!)
「ヒカリちゃん! それがアイツの能力なの! 触れたものに文字を書き込んで、性質や認識を変化させるの!」
「あ、ああ.......。もう大体察しはついてたよ.......」
「まあ、ということだ。今からオメェにトドメを刺す。だが、その前に自分へ『絶縁体』と書き込む。これで輝木.......オメェは完全に無力っつーわけよォ!」
まずいよ!
7トンを引きずって動けるわけない!
ヒカリちゃんを助けなきゃ!
「オメェみてェな生意気なヤツは、苦しめてから殺すのがセオリーなワケだが、2対1のこの状況じゃあ贅沢言ってられねェ。今すぐ吹き飛ばして殺す!」
助ける方法は.......?
(助ける方法…………、ヒカリちゃんの、足を切り離すしかない!)
「ヒカリちゃんごめん! 痛いけど少し我慢して!」
さっきの私の右腕みたいに、切ってから一瞬で再生すれば.......!
「右足を切り離してから、逃げるしかないよ! このままじゃ次は爆弾にされて殺されちゃう!」
木の枝を拾って力を込める.......。
(先生がヒカリちゃんへ触れる前に、早く! 急がないと!)
「.......やめろ!! 来るなメグ!」
(……え?)
「ど、どうしたのさ? もしかして痛いのが嫌だとか.......? でも急がないとアイツが来るよ! 1秒くらい触られたら、次はヒカリちゃん、爆弾にされちゃうんだよ!?」
「いいからそこを動くなっ! 少しでも私に近づいたらメグ、お前を私が殺すことになる!」
(は、はいぃぃい!? 何言ってるの!? え、どういうこと!?)
「オイオイ。この期に及んで仲間割れかよ。せっかく仲間が助けようとしてくれてるのになァ。やっぱオメェは噂通り人間のクズだわ輝木光、ケケケ」
「くそっ! 動けっ! 動けよ私の右足!」
(分からない.......! ヒカリちゃんが何を考えているのか、全然分からないよ!)
助かりたいのか、死にたいのかどっちなの!?
「よく見ておけよ水野恵。
これこそが命の性! 臨終の間際にゃあ、完全無欠の聖人だろうが、天下無双の武人だろうが、醜く振る舞うもんなのさ!
ま、オメェも直にそうなる.......ケケケっ.......。
ふふふふふ、あはははははは!! これこそが命の本質!! 美しさだ!!」
(ひ、ヒカリちゃん.......!)
「ヒカリちゃんはそんな人じゃないもん! あなたになんか、絶対負けない!」
ヒカリちゃんがあんなこと言うなら、先生の方を止めるしかない!
これ以上、ヒカリちゃんに先生を近づけさせるわけには.......!
「だから動くなって言ってるだろメグ! 私の言ってることが分からないのかっ!」
「でも!」
最初の1歩目で、またヒカリちゃんに怒鳴られた。
「おーおー、荒んでんなァ、オイ。ここまで情けねェヤツは、今まで殺した中にゃあいなかったぜ」
あぁ、もうダメだ!
もうすぐアイツの右腕が、ヒカリちゃんの頭に触れる.......!
ヒカリちゃんは、頭を吹き飛ばされて死んでしまう!
「オレ様は決して慢心することはねェのさ。皮膚を絶縁体にすれば、オメェの電撃は喰らわねェ。
それに加え、オメェはそこから1歩たりとも動けねェし、電気変化しての移動もできねェ。アスファルトの路面はほぼ電気を通さねェんだからよ!」
「ちくしょう! 動けよっ」
ヒカリちゃんが右足を殴りつける。
(いや、『右足を』じゃない.......)
よく見ると、石で路面を殴っている?
……アスファルトの路面『は』ほぼ電気を通さない……。
「……! 分かった! 分かったよ! 私が動いちゃいけなかった意味が! こういうことなんでしょ!?」
ヒカリちゃんの腕を飛ばそうと持っていた木に、さらに生命力を放ち急成長させる!
「もう遅せェ! まずは輝木、オメェが死ぬのさ!」
「こういうことなんだよね!? こうして欲しかったんだよね!? もうあとは任せるよ、ヒカリちゃん!」
「…………。あぁ。グッジョブさ。サンキュー、メグ」
「喚け喚け! これから死ぬんだから好きに言え!」
ついに.......。
ヒカリちゃんの頭が、爆弾へと変化していく!
「悪いな。死ぬはお前だ」
ヒカリちゃんの声が『上から』響く。
そう。
ヒカリちゃんは7tの重さを使い、地面を通っている『電線』へ掘り進もうとしていた。
しかし、それには僅かに届いていなかったから、少しだけアスファルトを引き剥がす必要があったんだ!
だから、私はさっきの木をさらに大木へと成長させ、その根でアスファルトを浮かせて引きずった!
そして今、そこから街灯を伝って、ヒカリちゃんは上に移動した!
「なっ.......上!? しまった、街灯に――」
「電気に重さはない。じゃあな」
『ゴシャァッ!』
ヒカリちゃんはそのまま電気変化を解き、真っ直ぐに先生を押し潰す。
骨肉が爆ぜる音がした。
「ま、まずい.......! 治さないと.......!」
先生が死んだら、カナリアの会の情報が得られない!
それに、いくら悪人とはいえ.......!
「もうダメだよ.......。メグ、私が今でも爆弾に見えるか?」
「い、いや。見えない.......」
血溜まりの中から、ヒカリちゃんが私に問いかける。
「だろ? つまりは、そういうことだ.......」
ヒカリちゃんが立ち上がる。
立ち上がれるってことはつまり阿鳩優の能力が解けているってことで.......。
「即死さ.......。阿鳩優は死んだ.......」
そんな.......。そんなことって.......。
阿鳩優に勝利した輝木光だったが、
彼を殺害してしまい情報が絶たれてしまった……
しかし、阿鳩優の死はカナリアの会にとっても大きな衝撃を与えており……
次回、第9話完結です!
--------
あと文字数が中途半端になってしまったので明日は2つあげます
よろしくお願いいたします




