表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/100

第8話~忍び寄る影⑥~

本日、事前告知なしでお昼アップになってしまい失礼いたしました。

お詫び申し上げます。

--------

敵の超能力者に洗脳され、輝木光を殺そうと襲いかかる妹の輝木影華。

輝木光と赤井萌の2人で影華を追い詰めるも、輝木影華の策によって部屋が大火事になってしまう……。


「あ、あぁ.......っ!!」


私の部屋が燃えるのはこの際別にいい!

良くないけど!


(それよりも、火があるってことは.......! 光ができるってことだ!)


光ある所には必ず……!



「はいはーい。影の世界に、『1名様』ご案内!

さあおいで? お姉ちゃん!」



引きずり込まれる!

さっき使ったほつれた糸はもう燃え尽きた。


今度は1人になる!


「ヒカリ! 私の手を!」


赤井がこちらに手を伸ばす。


「っ! と、届いた! これで.......!」


赤井と何とか手を繋げた。

これで影の世界に孤立する事態は防げる。


そして赤井なら、影の世界でも問題なく攻撃出来る!

情けない話だが、次に1人で影に引きずり込まれたら負ける。


私じゃ影華に対して有効打ゼロだ!


「させない!

影の世界から.......『右腕』は出ていって!」


「うおぉぁぉ!!??」


なんてことを!

み、右腕が千切れ飛ぶ!


(これ絶対死ぬほど痛いヤツだ! 痛覚の神経を遮断しなくては.......!)


--------


影の世界にまた引きずり込まれた!


それに、2日連続で右腕を失うなんて……!


「ふー.......ふー.......!!

これが.......、本当の決意ってもの.......!

私に、あんな子供騙しのトリックなんて必要ないの.......!」


「え、影華.......! お前も右腕が.......!」


「しょうがないよ.......。

『右腕』はこの世界に入れないんだから.......!

でも、お姉ちゃんのためなら右腕の1本や2本.......!」


影華は私と違って、痛覚を遮断とか出来ない。

今、とてつもない激痛のはずだ。

なんて無茶な!


「さあ、決着の時だよお姉ちゃん.......! 無能でグズなお姉ちゃんとは、これでさよなら!」


針状の影が向かってくるが、この世界には電気を通すものもないし、影に電気は通らない!


この攻撃は防げない!



要するに――私は死ぬ!



--------(side:???) ---------


11年前のある日。


「おーい、早くしないと置いてくぞ、影華」


「お、お姉ちゃーん.......待ってよぉ! ……イテッ」


「何やってんだ……」


「痛いよー! うわぁーん! わーん!」


「.......全く、しょうがないなぁ。ほら」


「お姉ちゃん.......」


「ごめんみんな。先に学校行ってて。

私は影華をおぶって行くからさ」


「ひかりんお姉ちゃん優しいー! じゃ、また後でねー! 行こう行こう!」


「..............。

あいつら.......私のランドセルを代わりに持っていくとか、そういう優しさはないのか.......。ほら、影華。背中乗りな」


「..............ぐすっ.......お姉ちゃん。

ごめんなさい。影華が鈍臭いせいで.......」


「しょうもないこと気にするなって。

私は、私がやりたいことをやってるだけなんだから」


「やりたいこと.......?」


「そう。まあ、お姉ちゃんとしてね。

影華が泣いてるところは見たくないわけなのよ」


「そうなんだ.......」



10年前のある日。


「お姉ちゃん.......うっ.......ぐすっ.......」


「影華、泣かないの。

ヒカリちゃんに毎日会えなくなるわけじゃないんだから。小学校を卒業するだけよ?」


「ママ……やだやだやだ!

お姉ちゃんと影華は、4歳離れてるから、中学も高校も大学も一緒に行けないの! ねぇママ、なんで1年早く影華を産んでくれなかったの!?」


「影華、わがまま言わないの!」


「やだー! やだよぉー!

お姉ちゃんが一緒じゃないなら、お姉ちゃんの超能力をテレビの人にバラしちゃうもん!」


「ありゃー。そんなことされたらお姉ちゃん困っちゃうなー。お姉ちゃん、怪しい黒服の人に連れていかれて、解剖とかされちゃうかも」


「うわぁーん! それもやだー! お姉ちゃーん!」


「ほら、抱っこしてあげるから来な影華」


「お姉ちゃーん……影華とずっと一緒にいてよぉ.......」


「よしよし、全くいつまでも子供なんだから。

影華は」


「.......影華は、学校の成績こそ良いものの.......。

いつまで経っても姉離れ出来そうになくて.......。

ねぇ、パパ?」


「まあ、いいじゃないか。姉妹の仲がいいに越したことはないんだからさ」



4年前のある日。


「ヒカリ! やったな! 率教大学に受かるなんて!」


「そうよ! 去年の夏の模試じゃあ、奇跡が起きて日辺大学って言われてたのに.......。

ヒカリちゃんの頑張りが報われて、お母さんも嬉しいわ!」


「お姉ちゃん.......、おめでとう」


「ありがとう、父さん、母さん、影華。

でも.......影華。本当にいいのか?

私、4月から一人暮らしになるけど.......」


「いいの。私のわがままで、お姉ちゃんの将来を縛りたくない。

お姉ちゃんが選んだ道なら、笑顔で送り出すって、私決めたんだ」


「影華.......! 成長したのね.......。

ヒカリちゃんがウチを出ていくなんて、どれだけ影華が泣き叫ぶか私は不安で不安で.......」


「それに、ママ。私も率教大学に行くから。

そうすれば、夢の姉妹二人きりの生活が待ってる!

お姉ちゃんの性格じゃあ、結婚なんてまだまだ先だろうしー!」


「ははは.......。それが本当の狙いか.......」


「お姉ちゃん! 大学ダブってもいいよ?

お姉ちゃん、うっかりしてるから最後の試験で寝坊とかしそうだしねぇー。

それなら、私はお姉ちゃんと同じ大学に1年間通えるもんねー!

小学生の頃みたいに、おぶってもらおうっと」


「やだよ。ガキの頃ならまだしも、お前今体重何キロだよ」


「あー、そういうこと聞いちゃうんだー。

全く、お姉ちゃんったらー」


「な、何だよ。家族なんだからいいだろそのくらい.......」


「じゃあお姉ちゃんが教えてよ」


「58キロ」


「へー」


「おい、影華も言えよ」


「え? 私がいつお姉ちゃんが教えたら答えるなんて言ったの? そんなこと言ってないよぉ?」


「う、うぜぇ.......」


「にしても58ねぇー。

痩せてるように見えて意外とあるんだねー」


「おい、やめろ」


「全く、お姉ちゃんはどうも抜けてるんだからぁー。大学で悪い人に騙されちゃダメだよー?」


「余計なお世話だよ.......」



--------(side:輝木光) ---------


「お姉ちゃん..............。私の..............」


(私にトドメを刺そうとしてた影華の動きが、止まった.......?)


「お姉ちゃんは..............、ずっと昔から、うっかりやで、ひねくれてて.......怠け者で.......ガサツで.......欲張りで……見栄っ張り..............」


「え、影華.......?」


「でも、分からない.......! 分からないよ!

今はお姉ちゃんが憎くて仕方がない! 殺さなきゃいけないんだって!

だけど.......、もっと深くにある.......胸の奥にあるこの気持ちは何..............!?」


影華の表情がぐちゃぐちゃになっている.......。

影の世界だから顔は見えないけど、私には分かる.......。


今、影華の心に、何かが起きている!


「私のたった一人のお姉ちゃんで..............。

私にとって誰よりも大切で.......」


(もしや.......影華にかけられた洗脳が、解けかけているのか?)


「私.......お姉ちゃんを殺したくない!  私には、そんなことできない!」


私に向けられていた影華の鋭い影達が、再び蠢く。


「..............。.......お姉ちゃん、今まで、一緒にいてくれてありがとう。

私、お姉ちゃんの妹で、本当に幸せだったよ」


「影華! 待て、何する気だ! やめ――」



「大好き」



影華は自分の体を、自分の影で貫いた。



--------


次の瞬間、私は外の世界に放り出された。


「ヒカリ! 大丈夫ですの!? こ、これは.......!?」


「メ、メグを! メグを呼んでくれ、早く! 影華が.......!」


影華は体を何ヶ所も貫かれ、出血が止まらない!

これじゃあ……!


「もうとっくの昔に連絡しましたわ! 今こちらに向かってます!

片腕が千切れたなんて、あの子にしか治しようがないもの!」


「あ、赤井! 私はどうすればいい!? どうすれば影華は助かるんだ!?」


「そんなこと言われましても! 私は医者じゃないですもの! とにかく出血を止めないと.......! で、ですが、この傷は.......!」


「影華が自分でやったんだ! 私を殺さないために!

クソっ! なんて情けない姉なんだ私は!

こんなに近くにいながら、何も出来やしなかった!」


「.......ヒカリ。

今から私がすることを恨まないでください。

万に1つ、助かる望みがあるならば.......!」


「お、おい、赤井何するつもりだ」


「血を止めますわ!

熱でタンパク質を凝固させて、止血します!

影華さんを死なせはしませんわ.......!

アナタの家族は、私の家族も同然!」


「あ、赤井......」


赤井が怯えながら、炎を手にする.......!



--------(side:???) ---------


「僕の超能力に逆らうため、自ら命を絶つとはねぇ。面白いものが見られた。

家族愛バーサス殺意! 結果は、引き分けって所かな?

輝木も赤井も必死で治してて本当ウケるわー。

どうせ助からないっての。あんなに大量の影に刺されたんだもん。

出血多量。内臓だってズタズタさ。5分ともたずにくたばるね!

あぁ、なんと不幸な運命だろうか。

かわいそう、かわいそうだねぇ。

ふっふふふ! あっはははは!」


輝木影華を相手に絶体絶命だった輝木光だが、少しずつ影華にかかった洗脳が解けていた。

僅かに自我を取り戻した輝木影華は、姉を手にかけないよう、自身の能力で自害を試みるのだった……。


次回、第8話完結です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ