電話の向こうで兄を騙る詐欺師の声が兄そのものだったんですってよ。
泣くでもなく叫ぶでもなく、普通の話し声が兄そっくりだったと母は言うのだが、そこまで似る事ってないのでは。
でも年寄りって耳が悪いからね。聴力検査では問題がなくても、実際には変に音が籠ったように響いて聞き辛いとか、若い頃と同じではないっていうしね。だから声が高めとか低めとか何かしらの共通点があれば区別が付かないんだろうな。
午前、実家に詐欺兄から電話。
「会社に任された郵便物をどうにかしてしまい、昼までに賠償しないといけない」
この内容自体が既に本物の兄ならありえないが、声がそっくりなので母はまさかと思いつつも一応話を聞こうと思ってしまったらしい。
その後電話を切ったり掛かってきたり、詐欺上司やら詐欺郵便局員と入れ替わりながら話す事数回。代理の人が金を受け取りに行くから30分くらい出掛けるなと言って通話が切れた。何回も聞いてるうちに本当なのかもと迷い出す母。
そこに偶然にも本物の兄から電話。そっくりな声だけど金の無心ではない。やはりさっきのは詐欺だったか。
「とっとと通報しろ」
兄に叱られ110番する母。詐欺撲滅にご協力頂きありがとう、と到着早々に結構大きな菓子折りを寄越す警察。結局、来なかった詐欺師。おい詐欺師、敷地内にパトカーが停まってる時こそ遠慮なく来て欲しかったよ。
余談。
父がずっと、ず〜っと電話中の母にそれは詐欺だと教えようとしていたらしいが、父は体が不自由で言葉も不明瞭である。
結果、母は聞く耳を持たなかったらしい。これは耳の良し悪しの問題じゃないね。
時々、家族が止めるのを聞かずに詐欺師にお金を払ってしまった、なんてニュースが流れるけど、こういう事情もあったのかもしれない。




