白き花と恋心
「え…?これ…何…」
朝起きたら肩に白くて小さい花が咲いていた。
「は…?これってまさか…」
徳田しょうたはただ混乱するしかなかった。
「花咲き病ですね。」
病院でそう言われたときは息がとまるかと思った。というか正確にはとまってたかもしれない。
「想い人に告白するか、その想いを完全になくすか。どちらにしてもそのままだと非常に危険です。放置しすぎると死に至る可能性もありますからフラれるのを恐れたりして放置とかは絶対ダメですよ。」
「あ…う、は、はい…」
「これ、花の成長を遅らせる薬です。成長を止めることは出来ませんので…。とりあえずこれ毎日飲んでくださいね。」
「わかり…ました…」
どうしよう。俺の好きな人は男なんだよ…告白なんてできるわけ…無いだろっ…
しょうたは涙目になりながら学校に行った
○○○
「おっはよー!あれ、どうした、しょうた元気なくね?」
「ッ…いや、なんでもない」
幸いまだ花は小さかった。肩に少し膨らみはあるけどそこまで目立つものでもなかった。コイツだけにはバレたくない。だって…俺の好きな人、それがコイツ、久松ひでと、、だから。
「顔色悪くね?大丈夫かよ」
「心配してんじゃねぇよw小学生からの付き合いなんだしわかるだろ?」
「小学生からの付き合いだからだよwまぁ苦しくなったら言えよ?」
「わかってるって」
ホントは全然大丈夫じゃない。苦しい。ひでととは小学生からの付き合いで中1に同じバド部に入ってからさらに仲良くなって、それで部活に熱心なひでとに気づいたら惚れてた。明るく話しかけてくるその笑顔が辛かった。
○○○
「ゴホッゴホッッ…」
「おぉいぃ…ホントに大丈夫か?保健室行けば?朝より悪化してね?」
「大丈夫…だから…」
「そこまで言うなら、」
なんとなく肩の花が大きくなってる気がする。ひでとが近づくたびにキュッと胸が苦しくなる。これ以上近づかないでくれ。花が大きくなるから…
「やっべ…頭ふらふらする…」
「やっぱり、部活ちょっと休憩しろよな、」
「あ、薬…忘れて…た、」
「薬!?お前なんか病気なのか!?」
「いや、違う…俺がそんなわけないだろw」
「お前さぁ…嘘下手すぎ。病気かどうかはしらねえけどとりあえず俺に話してみろよ、それだけでも変わるかもしれねぇぜ?風邪でもなんでもいいから言ってみろ」
「……」
「早く言えよ」
「……は、花咲き病に…かかった…」
涙目だった。あぁ…バラしてしまった。どうしようか。
「は!?重症じゃん!どこに花…って肩か…ちょっと膨れてきてる…お前好きな人いたんだな、早くどうにかするんだぞ?」
「むり…」
「は?何言って…」
「むりなんだよ…うぅっ…」
「…事情はわかんないけど放置はすんなよ」
「……うん…、あのさ、今日はもう帰るわ、俺…」
「分かった。伝えとくから無理すんなよ」
「ありがとぅ…」
○○○
「お母さん…?俺今日はもう寝るわ」
「大丈夫なの?もう寝るの?分かった、おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
そんなことを言ってたけどそれでもそれでもずっとひでとが頭から離れなくて…大好きで。その夜は花咲き病のこともひでとのことも考えたせいか全然深く眠れなかった。
○○○
「はぁっ!?」
朝起きれば昨日の3倍くらい大きくなってる花が肩にあった。どうしよう…
「おはようしょうた…ってえっ!?やばいじゃない!かなり大きくなってるわ、これじゃ学校行けないんじゃない?」
「行けない…流石に遠くから見てもわかるくらい大きくなっちゃった…」
「あなた、そろそろ好きな人に…告白したらどうなの?それだけで済む話じゃないの。フラれるのを恐れたりしたらだめって…。ね?」
「機会があればしてみる…」
そう言ったけど告白なんて全くする気なかった。フラれるのが怖いんじゃない。この「友だち」という関係を壊したくないんだ。フラれてもいい。でもその後友達じゃなくなるのは嫌だ。わがままだって分かってるけどひでととは友だちでいたかった。だから告白したくないんだ。
「今日は学校休む?」
「ゴホッゴホッ、うん、休む。」
症状も悪化してきた気がする。薬飲んでこれから考えないと…
○○○
「えー、今日徳田しょうたくんが体調不良でお休みらしいです。皆さんも風邪などには気をつけるように。」
「しょうた休みなんだねー」
クラスメイトが呟く
「しょうた…っ!やばいんじゃないか…大丈夫かな…」
「今日のひでとどうした?w」
クラスメイトの呟きは右から左へ抜けてった。
○○○
ピンポーン
「しょうたー、お友だちみたいよ!ひでとくんだって!」
「ひでと…!?なんで…お前が…」
「お邪魔してます、とりあえずしょうたの部屋入っていいですか?」
「しょうたがいいって言うなら大丈夫よ」
「…入れよ」
○○○
「ごめんね急に来ちゃって」
「急すぎんだよ…ゴホッゴホッ…うっ…」
「大丈夫かよ、!!…………肩の花…だいぶでかくなったみたいだけど。」
「花咲き病の花ってこんなに成長早いんだな…」
「なぁ知ってるか?花咲き病の花ってさ、想い人への想いが大きくなればなるほど花も大きく、すなわち早く成長するんだぜ、この短期間でこんな大きくなるなんて、お前どんだけ好きなんだよ」
「しっ、仕方ないだろ!」
「…ま、そーだよな、しょうたってば全く告白する気なさそうだし。」
「なんで、バレ…」
「そんなん誰でもわかるだろ、花が大きくなりすぎると死ぬってのにさ。まだくしゃみ程度で収まってることに感謝するべきだ、」
「死ぬ…死ぬ……。実感ないや…」
涙目で無理矢理笑顔を作る。お見舞いなんか来やがって。誰のせいでこんな苦しい思いしてると思ってんだ。
「なぁ…何処の誰がお前をそんな顔にさせてんだ?何処の誰が好きなんだよしょうたは。」
お前だよ。なんて言えない。
「言うわけないっ…だろ…」
「ていうかまずまずただそこらへんの好きじゃ花咲き病になんてかかんねぇんだよ。この世の中の何よりもソイツが好きってくらいじゃないと花咲き病になんてかかんねぇんだよ、、。なぁ?誰をそこまで好きなんだ?」
「言うわけねぇし…。と、とりあえず帰れって、な?」
「うっ…ひぐっ…」
「って…えっ!?なんでひでとが泣いてんの!?どうした…?」
泣いてる姿さえかわいいなんて…あー、好きだ。やっぱり好きだなぁ…。
「俺さぁ…俺さぁ…グスッお前に好かれる人が羨ましいよ…」
「それってどういう…」
「しょうた…しょうたが好きだ。小学生6年くらいから今の中2まで。ずっっと大好きなんだ。でも、しょうたにはしょうたが花咲き病になるくらいの想い人がいるもんな…ごめんな、男が好きなんて言って。キモいよな。でも、でも、それでもどうしょうもなく大好きなんだ。うっ…ごめん、ごめんな、しょうた…」
ハラハラハラハラ…
「えっ…あっ…」
ハラハラハラハラ…
「あれ…しょうた…肩の花…塵になって…」
「…ひでとなら塵になった意味わかるだろ…」
「え…」
「だからっ、俺も、ひでとのこと好きなんだよっ///男だから言えなくてさ、ずっとその…だ、大好きなのに。」
「ホント…!?しょうた…ガチで言ってる?」
「ガチじゃなかったら肩の花がなくなることなんてねぇだろ」
「…あぁぁ…!もう…大好きしょうた!!」
「お、俺…も…///」
「可愛いなぁ…花咲き病にかかるくらい好きなんだろ?なぁ、付き合おう。」
「う、うん…」
ひでとは真っ赤なしょうたにキスをおとした。
花咲き病ってのをかる~く知ったけど詳しくないので普通に捏造してます!それにしてもすれ違い的なのいいですよねえええええええええ!!!