積もっていくラノベフラグ
桜が散り始め桜に緑が加わりだんだん暑くなってくる時期。
まだ、俺が小さかった頃は春は暖かくてポカポカしてて気持ちよかった。
川辺にはつくしやクロバーなどがさき、育っていた。
子供たちはピカピカのランドセルを背負い笑顔で元気に登下校をする。
あの頃の当たり前だと思っていた光景。
だが現在。
新築と空き家が比例して増える田舎。
あの時みたいな光景はもう見れないのだろう。
そんな悲しいことを考えながら俺は教師が書く黒板を見ずに窓の外の校庭を見渡す。
俺(七草暖矢 ななくさはるや)は10代後半の17歳高校2年生。
高校2年生男子といえばドキドキラブコメの舞台であるが俺にはそんなことは起きることがないだろう。
普通に友達がいて、家族がいて、運動も勉強もできる者。
アニメ好きとゆうところに目を少し瞑れば普通すぎるDK。
たぶんいくらフラグを建ててもそのフラグは回収することがなくいずれ、フラグの山ができるだろう。
俺自身、恋愛興味ないって言ったら嘘になるがそこまでしたいわけでもない。
確かに、付き合ってデートとか行ったり電話したりするのは楽しいかもしれないけどそれは付き合う人による。
自分とうまが合わないと付き合えたとしてもすぐ分かれるだろう。
しかも高校生ともなれば性欲にまみれたやつも少なくわないだろう(たぶん)。
身体目当ての恋愛なんて、恋愛なのか議論するところだ。
おおっと、そろそろ授業に集中しないとな。
俺は考えることをやめ黒板の横にかけてある時計を見る。
残り3分、そろそろ先生も書くのをやめる頃だろうそうしたら今日はおしまい。
部活もないし委員会もない、早く帰れるな。
そうして3分後、チャイムと同時に席を立ち挨拶をしてから生徒は帰る準備、教師は帰りのHRの準備をしに職員室へ。
俺は席を立ち机の間の道を進み友人の元にいくわけもなく1人机に突っ伏す。
疲れた、春休みが終わって1週間が終わろうとする今日。
いきなり通常通りの7時間授業は辛い。
早く帰りたい俺はそのままHRが始まるのをまっている。
教師(このクラス2-2の担任)が教室に入って来て生徒達は黙りおのおの自分の席に帰っていく。
このクラス2-2組の担任兼歴史の教師、織田組踊。
マッチョといっていいのか困るぐらいの体で声は、これも少し微妙に低いイケメンかと問われるとこれもまた困る。
微妙すぎる男。
織田(先生)は手短に話をして切り上げ挨拶をして教室のドアに手をかける。
手でドアを横にスライドしかけて止める。
皆疑問に思い先生の方を見る。
いつもなら先生が出て行ったら皆てんでに教室を出る。
が、先生が出ないんなら皆動けない。
すると先生が振り返りあっちゃーっとした感じで、ある連絡を告げる。
「えーっと、来週からこのクラスに転校生来るからな以上」
そうして、先生は教室を出る。
このあとの出来事は、想像で分かるだろ。
皆わくわくし始めて、誰一人教室を出て行こうとしない。
流石にこの空気で俺が1人出ていくなんてこともできないわけでおとなしく待っておくことにした。
帰り道。
1人歩道で自転車を漕ぎながらただ家に帰ることを考えて進む。
もう、転校生のことなんて忘れて頭の中はラノベのこと。
あのラノベの支えが少しずつ弱くなることを知らずに。