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エロゲ主人公に憑依したんだが?  作者: ろうら
第一章
9/22

4/2 入学式当日

 本日から、皇国魔法学園に入学だ。

 まさか普通のサラリーマンであった俺が、異世界の他人の身体に憑依して、学校で魔法を習うはめになるとは、人生とはわからないものだ。

 俺のは流石に相当なレアケースなんだろうけど。


 俺は今、魔法学園の制服に着替えている。

 昨日知ったのだが、学園には制服があるらしい。

 ブレザーだ。

 これが日本皇国の最高学府のブレザーか。

 まあ普通だな。


 なんだか高校生に戻った気分になる。

 しかし、別段着用義務はないらしい。それなら茜とデート中に買った私服でいいんじゃないかと思うのだが、龍星はこのブレザーを着たくて勉強を頑張ったらしいからな、しばらくはこの制服で通うとしよう。


 準備を終えて玄関を出ると、ちょうど茜が迎えに来てくれていた。

 実は昨日、俺が起きれるか不安だから起こしに行こうか?という連絡があったのだが、龍星ならともかく俺は普通に目覚ましで起きられる。

 茜に起こして欲しいという気持ちはあったが、さすがに初日くらいは我慢しようと思って断った。

 その代わりというわけではないのだが、一緒に学園に行く約束をしていたのだ。


 おお、制服姿の茜も可愛い。

 どう見ても高校生にしか見えない。いや、つい先日まで高校生だったんだから当たり前か。制服デートも楽しそうだ。

 しかし…制服姿の茜はなんというか、かなりエッチだ。

 なぜだ。

 少し派手目なデザインではあるが、別に露出が多いわけではない。

 下半身は丈の短いプリーツスカートで、その下は生足にニーソックス…。

 ニーソックスだと!?

 ぜ、絶対領域が存在している。

 エロく感じるわけだ。

 だが原因はそれだけではない。

 上半身にも秘密は…、あった。

 乳袋だ。

 え?乳袋って二次元だけの存在じゃなかったのか。

 だが俺の目の前にある制服には、確かに乳袋が存在している。

 茜はそんなに胸は大きくない。いや小さいわけではないのだが、なんというか普通サイズといった感じだ。

 その普通サイズの胸の形に合わせて、ブレザーがジャストフィットしている。

 一体どういうことなんだ。頭がどうにかなりそうだ。特注なのか?

 おっと、まだ挨拶がまだだった。


「茜、おはよう。出迎え悪いな」

「おはよう。気にしないで、したくてしてることだし。それにしても、制服似合ってるわね。カッコいいわ」

「そうか?ありがとう。茜もとっても可愛いよ。よかったらくるっと一回転してもらえないか」


 彼女だしな、それくらいしてもらってもいいだろう。


「ええっ!…こ、こうかしら」


 驚いてはいたが、素直にくるんっ、と一回転してくれる。

 茜の代名詞であるツインテールと、プリーツスカートが回転に合わせてふんわりと揺れる。

 う、美しすぎる。

 ただでさえ三次元ではなく二次元に近い容姿をした茜が、まるでアニメーションのように一回転したのだ。美しくないわけがあるか?いや、ない。美しいに決まっているのだ。

 茜が回転する一瞬、なんだか時間の進みが遅くなり、周りに花も見えた気がする。それはまあ、錯覚だろうが。

 ぎゅっ。


「ひゃっ!?ちょ、ちょっと龍星」


 思わず茜を抱きしめていた。

 抱きしめずにはいられなかった。

 茜は小柄な為、頭まですっぽりと俺の腕の内に収まる。

 いい匂いだ。

 鼻腔をくすぐるほのかに甘い香り。桃のようなでもあり、苺、バラのようでもある複雑な香りだ。どうやったら身体からこんな香りを出せるんだ。茜の神秘だ。

 ああ、俺は幸せだ。この娘が俺の彼女だって、世界中に叫びたい気分だ。


「茜は女神か?どうしてそんなに素敵なんだ」

「もうっ、大げさよ。でも嬉しいわ」


 茜も俺を抱きしめてくれる。

 暖かい。

 柔らかい。

 抱きしめたまま眠ってしまいそうな心地よさだ。


 茜の匂いと温もりと柔らかさを思う存分堪能した後、ゆっくりと離れる。

 あのままいくらでもそうしていられたが、入学式がある。

 くそっ!入学式め。

 邪魔な奴だ。

 お前が無ければ俺はずっと幸せなままでいられたのに!


「名残惜しいがそろそろ行くか」

「そうね」


 手を繋ぎ、門に向かって歩き出す。

 ふと視線を感じて振り返ると、早朝から来てくれている家政婦さんがこちらをニヤニヤした顔で見ているのを発見した。

 窓際から顔だけ出しているが、全然隠れられてないぞ。

『家政婦のミタ』さんのほうじゃなくて、『家政婦は見た』の方だ。

 まあ茜のことは家政婦さんも知ってるしな。今更恥ずかしがることじゃない。


 -----


 他愛もない話をしながら学園に向けて歩いている。

 実は学園は自宅から徒歩圏内だ。だいたい20分も歩けばついてしまう。

 うーん、なんという都合のよさ。

 だがまあ満員電車に乗らなくて済むのは幸いだ。


 学園まであと10分というところで、丁字路に差し掛かる。

 俺たちが右に曲がろうとすると、


「わーどいてー!!」


 ドンッ!


 身体にかなりの衝撃が加わる。

 なんだ、何が起きた。


「龍星!大丈夫!?」


 茜の声だ。


 だが周りが薄暗い。

 顔の前になにかいい香りのするものがある。

 これはなんだ?

 ショーツだ。薄暗いが、青と白の縞々模様だということがわかる。

 し、縞パンだと…。実在したのか。

 というかもうこれはショーツではなく、パンツだ。


 つまりこの状況は、俺の顔に女性の下半身が乗っているということだ。

 そんなことある!?


「いてて…って、きゃああ!へ、変態!」


 声の主がすぐさま俺の上から遠ざかる。


「へ、変態って貴方ねえ。元はといえば貴方がぶつかってきたんでしょう」


 茜、お前はやはりいい女だ。

 すぐさま俺の弁護をしてくれるとは。


「た、確かにあたしが走っててぶつかっちゃったけど、し、下着まで見ることないじゃない!」


 いや、その理屈はおかしい。

 ここでようやく俺も身体を起こす。背中が痛いが、怪我はしていなさそうだ。


「別に龍星だって見たくて見たんじゃないわよ」

「ううっ…。あっ!あたしのパン!」


 パンツじゃなくてパン?

 見れば確かに、俺の足元に食べかけの食パンが落ちていた。

 トーストした食パンだ。

 というか、食パン咥えた少女とぶつかってパンツ見るとかどんな古典作品だよ。

 もしやクラス一緒じゃねえだろうな。学園の制服着てるし。


「パンなんてどうでもいいでしょう。謝りなさいよ」

「なんでパンツ見られたあたしが謝らないといけないわけ!?ってああ!もうこんな時間!早く家に戻らなきゃ」


 そういって少女は食べられなくなったパンを拾い、学園とは反対方向に走っていく。

 家に戻ると言っていたから何か忘れ物でもしたんだろうか。

 向こうからぶつかっておいて謝らないどころか、暴言を吐かれたわけだが、ゴミを拾っていく姿勢は評価出来るな。…いや、あのパンは流石に食べないよな?


「あっ!待ちなさい!」

「いいよ、茜。事故とはいえ、パンツを見たのは本当だしな。それにしても縞パンとは…。実在しているとは思わなかったぜ」

「え?縞パンなら私も持ってるけど」

「……」


 マジか。今度履いて見せてくれないかな。茜なら頼めば見せてくれそうだ。


「よかったら今度見せてくれるか?」

「……いいけど…。やっぱり龍星は変態?」

「ああ、まあ縞パンは好きだな。縞パンだけじゃなく、茜が履いてたらなんでも好きだ」

「バカ…」


 彼女に変態と言われて狼狽える年齢ではない。

 欲望には素直にいこう。


 にしても、あの娘も可愛かった。

 茜並みに可愛い娘はこの世界に来て二人目だな。

 腰のあたりまであるサラサラの銀髪ストレートヘア。頭頂部にはカチューシャなのかリボンなのかはよくわからないものがあったけど、似合っていないわけではなかった。

 胸は茜より大きかった。当然のように乳袋もあった。

 そして何より、耳が長かった。エルフだ。

食パン少女エルフね。

 最愛の茜からハーレムをほぼ強制されている身としては、あの娘を狙うのもいいかもしれないな。

 若干性格に難はあるのかもしれないが。


「あの娘はダメよ」


 思考がバレている。

 何故だ。

 にしても、あの娘をハーレムに加えようとするなんて、たった5日でこっちの常識にずいぶんと馴染んできているものだ。

 あっちじゃ浮気なんてしたことなかったんだが。

 人間とは慣れる生物なんだなあ。


「まだわからんよ。出会いが最悪だっただけで、仲良くなったらいい娘かもしれないし。それに、俺はまだハーレムに入れるとは言ってないぞ」

「見ればわかるわよ」

「さいですか。まあとりあえず行こうぜ。入学式に遅刻なんて嫌だからな」


にしても、入学初日に食パン少女とぶつかって下半身を顔に押し付けられるハプニングとは…。

SNE(ソレナンテエロゲ)


 -----


 学園の最寄駅から学園までの経路に合流すると、一気に制服を着ている人の割合が増える。

 その人の流れの中に、俺は奇妙なものを発見した。

 ものというか子どもが二人だ。

 俺たちの10mくらい前を二人仲良く手を繋いで歩いている。

 小学生高学年くらいの女の子だろうか。

 ピンクと赤のランドセルを背負っている。

 これだけだと友達同士で仲良く登校中の微笑ましい小学生にしか見えない。

 だが奇妙なのはその服装である。

 後ろ姿しか見えないが、茜が着ているブレザーと同じなのだ。


 偶然の一致か?それとも…。


「なあ茜、この近くにあの子たちが着ている制服と同じ小学校ってあったっけ?」

「え?ああ、あの二人のこと?いや、ここらへんに小学校は無いわよ。というか、あの二人が着ているのは学園の制服じゃない」

「やっぱりそうだよな。ってことは学園の付属小学校の子かな」

「何言ってるのよ。そもそも学園に付属小学校なんて無いし、あの二人は学園の生徒でしょ」


 ええ?何を言ってるはこっちのセリフだ。どう見ても小学生だぞ。


「だってあの子たち小学生だろう。ランドセル背負ってるし。なんで学園の生徒なんだよ」

「小学生?あの二人が?そんな失礼なこというと怒られるわよ」

「失礼なことも何も、小学生に小学生と言って何が悪いんだ?」

「龍星、貴方さっきから何言ってるのよ。あの二人は私たちと同級生でしょ。入学式に来てるんだから」


 さっきから会話がさっぱりと噛み合わない。

 龍星と同級生?18歳ってことか?いやどう見ても小学生だ。ドワーフか?いや違うな、二人とも小さいが角が生えてる。あれは魔族だ。

 そもそも、こっちのドワーフは若干身体ががっしりしているくらいで、背丈は人族とほぼ同じだ。

 いったいどういうことなんだ。

 さっぱりわからない。


「ごめん。さっぱりわからないんだ。俺にはあの二人が小学生にしか見えないんだけど、違うのか?学園に飛び級なんてあったっけ」

「確かに背は小さめだけど、あの二人は私たちと同じ学園の一年生よ。学園に飛び級の制度は無いし、間違っても小学生じゃないわ」

「つまり…あの二人は18歳なのか?」

「ええ、そうよ。よかったわね、言ったのが私で。あの二人に直接言ってたら、ビンタされても文句言えないわよ」


 な、なんだってー!!!

 あのどう見ても小学生にしか見えない二人が18歳…だと…。

 つまり…合法ロリってことか?

 俺はロリコンじゃないけど、合法ロリには間違いない。

 こっち来て一番…は茜を初めて見た時だから、二番目に驚いた。

 異世界恐るべし。


 しかしそうなると俄然興味が湧いてくる。

 いや、俺はロリコンではないが、後ろ姿は小学生にしか見えない二人の顔が見たい。

 もしかしたら顔は18歳相当とかかもしれないしな。

 単純な好奇心だ。

 俺はロリコンじゃない。

 …いや、何度も言うと逆にロリコンっぽく見えるな。


 追い越して見てみるか?

 どうしよう。

 そこまでするのは失礼か?

 うーん。


 そんなことを考えていると、俺たちとあの二人の子たちの歩幅の違いから自然と追い付いてしまった。

 よし、自然と追い付いてしまったなら仕方ない。

 見よう。

 意を決して、追い抜くときになるべく自然に二人の顔を見る。


 うん。

 普通に小学生だわ。

 むしろあの二人を初見で18歳と見抜く茜すげぇ。

 俺には説明されても小学生にしか見えない。

 あれだ、ロリエロゲをやる際に、『このげぇむにとうじょうするじんぶつは、ぜんいん18さいいじょうです』と表示されるが、見た目は小学生にしか見えないヒロインと一緒だ。

 ただ、制服はサイズこそ違うものの、デザインは茜と一緒だった。

 やはり俺たちと同級生なのだろう。

 しかも、友達だと思っていた二人は双子の超美少女だった。

 あっちでロリドルやったら大きいお友達に大人気になるだろう。


 すごいなーこっちは。

 小学生並みの感想だが、もうそれしか出てこない。

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