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56 5人目


「そろそろちゃんと部活にしないとなー」


 投扇興もせずにダラダラしている状況に、さすがのおうぎも危機感を覚えたらしい。


「ずいぶん今更ね……」


「だってさー、やっぱり投扇興部作りたいし」


 このままでは、ただ放課後に集まって遊んでいるだけだ。


 もちろん投扇興をやることもあるのだが、おうぎはそれでは納得できないらしい。


「認められるには部員が五人いればいいから……あとたった一人でいいんだけどなー」


「その最後の一人が見つからないから困っているわけだけれど」


 乙女、薫子と順調に部員が増えていったから感覚がマヒしていた。


 新しい部活を作ると聞いて、積極的に参加してくれる人も滅多にいないだろう。


 しかも投扇興というマイナー競技である。


 入ってくれる物好きなんて皆無だ。


 となると、部員を五人集めるのは難しい。


「実績作って認めてもらう方法も失敗しちゃったしなー」


「あれは、やる前から無謀だったわ……」


 部活を作るには、部員五人か実績があるかのどちらかだけ。

 それ以外の方法で承認をもらうことはできない。


 けれど、どちらも可能性は低い。


 だからこそ、おうぎは薫子に泣きついていた。


「薫子さーん、何度も言うけど、生徒会なんだからどうにかできないの!?」


「何度も断って悪いんだけど、職権乱用はちょっと……」


「でも、やろうと思えばできるんでしょ!?」


「うーん……どうかな? 私、生徒会って言っても、ただの書記だから」


「次期生徒会長ってウワサじゃん!」


「それはみんなが勝手に……」


 困ったような、照れているような、微妙な表情の薫子。


 反応に困っていると、おうぎがさらに言い募る。


「今の会長はお飾り会長だから、業務は薫子さんがほとんどやってるって話だし!」


「まぁ……それは間違ってないけど」


 この情報に、乙女はこの前のことを思い出していた。


「そういえば、生徒会に乗り込んだ時、お姉ちゃんしかいなかったね……」


「あぁ、おうぎちゃんが「たのもー」って言いながら入ってきた時の」


「そうそう、すごかったよね。道場破りみたいだった!」


 楽しそうに語る二人だが、葵は呆れ気味だ。


「今時たのもーなんて、おうぎくらいしか言わないわよ」


 と、こんな話をしていたからだろうか?


 教室のドアが勢いよく開けられた。


「たのもー!」


「他にもいたわ!?」


 ビックリしながら、ドアに視線を向ける。


 そこには小さな女の子がいた。


 小柄な乙女よりも、さらに小さい。


 小学生くらいに見える。


 けれど、その服装は乙女たちと同じ制服姿で、高校生ということがわかる。


 その女の子は、迷いなく乙女の前まで進んできた。


「花里乙女、わたしと勝負しなさい!」


「え……えぇ!? どういうこと!?」


 いきなりのことに理解が追いつかない。


 みんながみんな困惑している。


 その中で、おうぎだけが何か閃くように目を輝かせていた。


「あ、五人目見っけ!」


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