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46 いつもと違う放課後


 投扇興部に薫子も加わってから、二週間ほどが経過していた。


 そんな、とある日のことである。


「葵ー、待ちに待った部活だーっ!」


 放課後になると、おうぎが葵を誘いに行く。


 これがいつもの光景になっていた。


 部活とはいっても、まだ投扇興部は許可をもらっていない。


 部員はまだ4人だし、部室もない。


 部室代わりにおうぎたちのクラスに集まって、練習するか部員勧誘を進めるだけ。


 だからこそ、おうぎは目を輝かせた。


「あのさっ、今日の部活なんだけど、やりたいことがあって」


 新しいことを提案しようとしたのだが、それを葵が遮る。


「ごめんなさい。今日は用事があるから先に帰るわ」


「えぇー、用事って?」


「そ、それは……」


 わずかに言い淀んで、葵は視線をそらした。


「なんでもいいでしょ」


「そう言われると気になるなー」


「……しつこいわね」


「だって理由も言わずに先に帰るなんて、これまでなかったじゃん」


「そうだけど……」


 葵は歯切れが悪い。


 まるでなにかを隠しているようだった。


 その様子に、おうぎが眉をひそめる。


「……はっ! まさか!?」


「え、え? まさかって、なに!?」


 困惑するように慌てだす葵。


 彼女の肩に、おうぎが両手を置いた。


「葵……悪いことは言わないから、自首しよう」


「なんだと思ったのよ!?」


「いやー、人に言えないようなことなら、とりあえず悪い事かなって?」


「誤解よっ!!」


「じゃあ他にどんな理由ってあるってのさ?」


「それは……その……」


 葵はしばらく目を泳がせると、慌ててカバンを手に取った。


「おうぎに言うようなことじゃないわ。じゃあ私、帰るからっ!」


 言い終わるなり、小走りで教室を後にした。


 葵が出ていったドアを見つめて、おうぎが首を傾げる。


「葵のやつ、どうしたんだろ?」


 いつもの葵らしくなかった。


 部活に参加しないし、その理由も教えてくれないし。


 逃げるように帰ってしまうし。


 そこまで考えて、おうぎがはっと気づく。


「もしかして、葵のこと怒らせちゃった!?」


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