表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/62

43 かわいいとは?


「どうして、こんなにたくさんのお菓子を?」


 机に積まれたチョコの数々に、葵が首を傾げる。


 これに薫子が、何かを誤魔化すように苦笑いを浮かべた。


「えっと……つい買いすぎちゃって」


「いや、ついって……」


 そんな適当な理由で買いすぎるものだろうか?


 不審に思っている葵の目が、あるものを捉えた。


 大量のお菓子が出てきた薫子のカバンの中だ。


 カバンの奥に、まだなにか入っている。


「それ……キーホルダー?」


「あっ、こ、これは……その……」


 どう誤魔化すか考えるように悩み顔を浮かべていた薫子だが、言い訳が浮かばなかったらしい。


 照れたような表情で観念する。


「じつは、これがほしくて」


 そう言ってカバンから取り出されたのは、大量のキーホルダーだった。


 すべてある一つのキャラクターのものだ。


 うさぎバニーという名前の、ウサギがウサギの皮をかぶっているような独特なマスコットである。


 一部の層では人気が高く、様々なグッズが世に出ている。


 そのキーホルダーは、葵にも見覚えがあった。


「コンビニの、お菓子二つ買うともらえるあれですよね?」


「うん……今朝、見つけちゃって、つい勢いで……」


「勢いって……」


 だとしても気になることがある。


 キーホルダーの種類は全部で六つあるようだが、薫子が取り出した数はそれどころではない。


 各種三つ以上はある。


「どうして同じものを何個も……?」


「だって、とっても可愛いから、全部お持ち帰りしたくて」


「なにかしら……乙女と同じニオイを感じるわ」


 呆れたようにひとり言を漏らしてから、葵は続けた。


「そもそも、これってそんなに可愛いですか?」


「可愛いわよ! この不細工な顔とか、気持ち悪いフォルムとか、嫌味な表情とかっ!」


「ひとつも褒めてないわっ!?」


「ほ、褒めてるわよ。この可愛くない見た目が、とっても可愛いと思わない?」


「今はっきりと可愛くないって言いましたけどっ!?」


 とはいえ、うさぎバニーというキャラが人気であることは葵も知っている。


 改めて、薫子が持っているキーホルダーを見つめてみた。


「うーん……これのどこが可愛いのかしら?」


 そのつぶやきに、薫子が大きく反応した。


 彼女の両手が、葵の手をガシッと包み込む。


「知りたい!? じゃあ私がうさぎバニーの魅力を教えてあげる!」


「え……えぇ!?」


 突然のことに、葵は戸惑うしかなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ