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27/62

27 似てない


 初めての大会に出た翌日。


 放課後に、乙女はいつも通りおうぎたちのクラスに来ていた。


 今日はまだ投扇興の練習はしていない。


 一つの机を囲むように、三人で座っている。


 乙女の正面にいる葵が、驚いた様子で目を見開いている。


「まさか、あの薫子さんといとこだったなんて……」


「お姉ちゃんのこと知ってるの?」


「知ってるもなにも、この学校では有名人じゃない」


「そうなの!?」


 逆に驚かされる乙女に、おうぎすらも呆れた様子を見せる。


「だって、入学式のときに在校生代表で挨拶してたし。生徒会役員で、次期会長は間違いないってウワサもあるし」


「あぁ、そういえば……」


 入学式で、檀上に立っていた薫子の姿が思い出される。


 納得している乙女に、おうぎはさらに付け足した。


「あと、ファンクラブもあるんだっけ? なぁ、葵?」


「え!? あ、う、うん……そそ、そうらしいわね」


「なんでそんな驚いてるの?」


「な、なんでもないわっ!」


 葵は何かを誤魔化すように咳ばらいをすると、乙女に向き直る。


「と、とにかく薫子さんは有名人なのよ。そんな人といとこなんて、すごいじゃない!」


「私がすごいわけじゃないけど……」


 とはいえ、いとこを褒められるのは嬉しい。


 乙女は薫子のことが大好きだから。


 自然と笑みを浮かべていると、おうぎが不意に首を傾げた。


「いとこって言うけど、あんまり似てないね」


「え……!」


 確かに乙女と薫子では、全然似ていない。


 どこにでもいる平均値の女の子と、高身長で美人で完璧超人の女性。


 似ても似つかない。


 そのことに、おうぎが目を細めた。


「乙女……まさか?」


「まさか、ってなに!?」


「薫子さんが美人だからって、勝手にいとこって言ってたり?」


「お姉ちゃんのことは確かに好きだけど、そんなウソつかないよっ!?」


「えぇ……ほんとに?」


「ほんとだってばっ!」


 慌てて答えるけれど、疑惑が晴れる様子はない。


 日頃のおこないがよくなかった。


 美人やかわいい人に対して乙女がおかしくなることは、数々の悪行が証明している。


「信じてよー!」


 悲鳴を上げるも、自業自得である。


 ここから誤解を解くのに、かなりの時間がかかるのであった。


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