27 似てない
初めての大会に出た翌日。
放課後に、乙女はいつも通りおうぎたちのクラスに来ていた。
今日はまだ投扇興の練習はしていない。
一つの机を囲むように、三人で座っている。
乙女の正面にいる葵が、驚いた様子で目を見開いている。
「まさか、あの薫子さんといとこだったなんて……」
「お姉ちゃんのこと知ってるの?」
「知ってるもなにも、この学校では有名人じゃない」
「そうなの!?」
逆に驚かされる乙女に、おうぎすらも呆れた様子を見せる。
「だって、入学式のときに在校生代表で挨拶してたし。生徒会役員で、次期会長は間違いないってウワサもあるし」
「あぁ、そういえば……」
入学式で、檀上に立っていた薫子の姿が思い出される。
納得している乙女に、おうぎはさらに付け足した。
「あと、ファンクラブもあるんだっけ? なぁ、葵?」
「え!? あ、う、うん……そそ、そうらしいわね」
「なんでそんな驚いてるの?」
「な、なんでもないわっ!」
葵は何かを誤魔化すように咳ばらいをすると、乙女に向き直る。
「と、とにかく薫子さんは有名人なのよ。そんな人といとこなんて、すごいじゃない!」
「私がすごいわけじゃないけど……」
とはいえ、いとこを褒められるのは嬉しい。
乙女は薫子のことが大好きだから。
自然と笑みを浮かべていると、おうぎが不意に首を傾げた。
「いとこって言うけど、あんまり似てないね」
「え……!」
確かに乙女と薫子では、全然似ていない。
どこにでもいる平均値の女の子と、高身長で美人で完璧超人の女性。
似ても似つかない。
そのことに、おうぎが目を細めた。
「乙女……まさか?」
「まさか、ってなに!?」
「薫子さんが美人だからって、勝手にいとこって言ってたり?」
「お姉ちゃんのことは確かに好きだけど、そんなウソつかないよっ!?」
「えぇ……ほんとに?」
「ほんとだってばっ!」
慌てて答えるけれど、疑惑が晴れる様子はない。
日頃のおこないがよくなかった。
美人やかわいい人に対して乙女がおかしくなることは、数々の悪行が証明している。
「信じてよー!」
悲鳴を上げるも、自業自得である。
ここから誤解を解くのに、かなりの時間がかかるのであった。




