オオカミさんお電話する
「お兄様~!聞いてきいて!次の日曜に私デートするの!」
私がそう言うのと同時に、ぶはっ!と隣に座ってミルキ特性山羊血ジュースを飲んでいたお兄ちゃんは、盛大に中身を吹き出した。あらら、高級絨毯があっという間に殺人現場の証拠品になっちゃったわ。
「デート!?なっ、誰とどこに行くんだ!」
土曜のうららかな午後。いつものように尊敬するお兄ちゃんのところへお菓子をせびりに行き、雑談のついでに何気なくちょっと自慢してみたら、想像以上の反応を返されてしまった。金色の瞳をギラギラさせながら、私を鋭い視線で射抜いてくる。
もう、お兄ちゃんはシスコンなんだから~。
「え~それはねぇ……あり?」
あれ、どこだ?というか、私…リアンくんの連絡先知らないよ!
「ごめんお兄ちゃん!今聞いてくるから!」
「おい、こら待て、だから誰と行くんだー!」
なんてこと。私はリアンくんの恋人(将来の)のはずなのに、まさか彼にとっては連絡先を交換する間柄ですらなかったなんて!これは由々しき事態よ。急ぎリアンくんに突撃しないと!
「あら、兎人の部族長のお宅の連絡先だったら分かるわよ~」
なんと、流石ですお母さん!ナイスアシスト!もしリアンくん以外が出た場合は、未来の義父・義母および家族の方達には良い印象を持ってもらうために、できる限り猫を被って礼儀正しく話すよう注意しよ~と♪
***
「はい、どなたですか?」
むむ、誰かな?随分若そうな男の子の声…歳近そうだし、そんなに丁寧に話さなくてもいいかな?
「もしもし、私ミルキと言います。リアンくんはいますか?」
「リアン?ミルキさんはリアンとはどういった関係の人?」
「はい。恋人です(将来の)」
「えぇ!?恋人!」
受話器越しに大きなで叫ばれたせいで、近づけていた右耳が痛いよ。電話に出ている此奴は誰なんだろう?なんだか、かなりのアホの子臭がするわ。
「あなたはリアンくんの…弟さんですか?」
100%年上ではないなと当たりをつけて尋ねた。でもセレナの情報には2人兄弟って書いてあったから、弟ではないだろうね。
「違うちがう!俺はリアンの従者で犬人のピーター。リアンとは同い年さ」
なんだ犬っころか。
まるで、えっへんと効果音が付きそうなドヤ声ね。同い年、だから何よ?まあ、お馬鹿に付き合ってるほど私は暇ではないので、さっさとリアンくんに代わってもらわなきゃ。
「それで至急リアンくんに聞かなきゃいけないことがあって電話したんですが、代わってもらえますか?」
「ああ、そうなんだ。でもごめん。リアン風邪で寝込んでるから出られないんだ」
それを早く言え!
ピーターが言い終わるのと同時に、私はリアンくんのお宅へと当然の如く駆け抜けた。待っててね、私が風の速さでリアンくんの元まで飛んでいくから!
name:シディアン
look:黒のポニーテール/金の瞳
age :♂19
class:ミルキの兄
personality
狼人部族長の次期後継者
男前な性格、微シスコン