13.「ダイエット、やってみようかな」
たるんだ精神を鍛え直すために、朝早くに起きて、ウォーキング。町内をぐるっと3週して、家に帰る。
シャワーを浴びて、汗を流す。
朝シャンなんて、私できる女っぽいわー。しかし、鏡に映る私は肉付きのいい、よすぎる女。
スレンダーに、とまでは言わない。
どっちみち、私は背が低いからカッコいい女の人にはなれないだろうし。
せめて、普通体型になりたい。否、なるのだ。すべて私の努力と忍耐しだい。
痩せてからも、気を抜いてはならぬ。ちょっと気を抜くと、丸くなるから。全体的に。間食を一切減らすといつか爆発するから、少しは食べてる。
甘いものは、女子の強い味方だし。
朝御飯はしっかり食べる。その代わり、晩御飯は少なめ。野菜をもりもり食べる。
部屋で、学校に行くまでストレッチをしていたら、妹の桃子が部屋に入ってきた。
「お姉、ちょっといい?」
「どうしたの、桃子」
「桃子……お姉みたいにダイエット、やってみようかなって」
「いいじゃん。応援するよ」
「ホント? 嬉しい。あのね、桃子、クラスでデブって馬鹿にされてて、でも痩せるって言い出したらお母さん心配するでしょ? だから中々言い出せなくて……」
桃子は、気の強い私と違って、大人しい。まぁ、そういうところが女の子らしくて可愛いと姉の私は思うんだけど、桃子は自分の性格があまり好きではないようだ。
お母さんのことを気遣ってダイエットのことを中々言い出せないあたりも、桃子らしい。優しい子なのだ。
私は勘違い野郎にボロクソ言われてから、即ダイエットを始めたから、家族が心配してくれてたとか、考えてなかった。
よくいのししみたいな性格してると評される意味が、今わかった気がした。
何か決めると、そのことに一直線になる。周りが見えてないのも含めて、いのししっぽいのだろう。
私も、桃子の優しいところを見習わねば。
「一緒にダイエットしよ。お母さんには、クラスで馬鹿にされてること、言わないでおく? 桃子が痩せたら、馬鹿にしてきた子達、吃驚するよ、絶対。頑張ろうね」
「ありがとう、お姉!」
嬉しそうに笑って、ダイエットを一緒に頑張ることを決めた桃子だったが、ジムを抜いた私のダイエットメニューを見て、青ざめていた。
震える声で、「お姉、これ全部やってたの……?」と聞いてきたので、「時々は息抜きしてたよ」と返しておいた。
これにジムでの運動をプラスしたら、桃子は死んでしまいそうだ。
……大丈夫かな。
ちらりと心配もしたけど、私の妹だ。きっとやり遂げるに違いない。
とりあえず、一緒にストレッチをして、学校にお互い向かった。
「うぃっす、朝野」
「八橋、おはよう。あれ、鹿地は?」
「あいつ、風邪だって。もう秋だってのに、半袖で腹出して寝たんだと。アホとしか言い様がねぇわ」
鹿地は、八橋曰く年中半袖ハーフパンツで過ごすような子供だったらしい。普段の、ふわふわした雰囲気からは想像ができない。
学校ではちゃんと長袖着てるし。
八橋と鹿地は幼馴染みだから、小さい頃の話とかお互いに知ってる。
見た目がかなりボーイッシュな八橋と、女の子らしい鹿地が並ぶと、カップルにしか見えない……らしい。おまけに、中身は女子同士なので、ボディタッチもある。
それが、一部のマニアに受けていると言うのは、言わないほうがいいのだろう。
知らぬが仏。言ったら八橋とか怒りそうだし。怒ると怖いのだ。鹿地は気にしなさそうだけど。むしろ面白がって八橋にべたべたしそう。
風邪、風邪か。帰りに鹿地の家寄ろうかな? 八橋は行くだろうから、ついていっていいか聞いてみよう。
「ねぇ、帰りに鹿地の家行ってもいいかな? お見舞で。八橋は行くでしょう?」
「いいけど……あいつの家、男兄弟しかいねぇから、男臭いぞ?」
「平気。じゃ、決まり」
お見舞に持っていくとしたら、何がいいかな。鹿地は甘いものが好きだし、プリンとかいいかも?




