ツインズ《問題編》
Author:井鷹冬樹
ジョンとマークの双子がテーブルに座り、お互いがクイズを出している。
「ねぇねぇ、お父さんクイズしよー!」
「おお! クイズかぁ、やろうじゃないか!」
「クイズしよー! 僕、暗号考えたんだよ~」
「ほぅ! どれどれ」
お父さんは、マークが見せてきた暗号文を見てみる。
《9 12.15.22.5 4.1.4.4.25》
「おう……これは困ったなぁ」
父は暗号文を見て内心、冷や汗をかいている。
正直、ヒントを下さいなんてこの子たちに言えるわけがなく、悩んでいる。
「すごいじゃないか!? 二人とも! お父さんちょっと分かんないや」
「ヒントおしえてほしいの?」
ジョンが繰り返して言う。
「ほしいの?」
数分、父は暗号文と戦うが、既に分からなかった。
「分からないなぁ。パパ、ギブアップだよ。降参だ。教えてくれ!」
「どうする?」
「どうしよー?」
二人は耳打ちしながら、父を置いて、こそこそと話している。
数秒してマークが父に言った。
「いいよー教える!」
父はわざとらしい笑顔で答える。
「本当か! ありがとう」
マークは暗号の書き方を自らレクチャーしていく。
「まずは、この数字を一文字ずつ変換していくんだー」
「だー」
鉛筆を持ち、小さな手で父に分かりやすく解説する。
「A=1 B=2 で考えるからアルファベットは26文字。あとはこれを変えて並び替えるんだよー」
ジョンはマークのあとに説明を加えていく。
「で、9=Iになるよね~。15=Oだからそうやって直していくと……」
父は、マークが書き始める文章を見ている。そこには、父に宛てたメッセージだった。
《I LOVE DADDY 大好きパパ‼》
双子は笑顔で父に解いた暗号が書かれた紙を手渡す。
「はい、これ。あげるー」
「あげるー」
父は心から息子2人からのメッセージに心から溢れ出る涙の水滴。
「ありがとう。お前たちを心から愛しているぞ!」
「僕たちもだよ!」
「うん」
仲良く二人は父の膝へと乗り、父の体を自分なりの力でギュッと抱きしめていた。
数日後。
ジョンは、昼寝から覚めて、一階のソファーのあるリビングに向かっていき、テーブルに一枚の手紙が置かれているのを見つけた。
手紙はジョンとマーク宛だった。送り主は父。
「パパからだ!」
手紙を開き、文面を見てみると、何かの文字列の様。
文面の下には、追伸と書かれたものがあった。二人にはわかりやすく書かれているらしい。
ジョンは追伸を見てみる。
《ジョンとマークへ。この前のクイズを憶えているかな? 今回はパパが出題するぞ! 二人で解いて、パパやママを見つけるんだ! がんばれよ!》
まだまだ幼いジョンにとってよく分からない文章もあるけど、とにかく状況は把握できたらしく、上で昼寝をしているマークを起こしに向かった。
「おーい! マーク! マーク!」
「んん」
「マーク! マーク!」
ジョンの叫ぶ声に、マークは目をこすりながら、目の前で見つめるジョンをぼんやりと確認した。
「な、なぁに?」
「パパからメッセージだよ。ボクたちにクイズだって」
ジョンは手紙を手渡す。
「これよんでー」
マークは渡された手紙に書かれている文章を凝視する。小さな黒い目に、写る文章。
パパの字は達筆すぎた。綺麗に書かれているが、なんとか読み取るのに時間が掛かった。
文章は追伸と一緒に書かれたもの。
《Wuhh Krxvh》
「なんだろうね?」
「ねー」
ジョンは暗号とは別の行に書かれている文字を読み出した。
「まだつづきはあるよ」
《これだけでは難しいだろう? だから君達、探偵チーム諸君は、この謎を解き明かす為のヒントを三つあげよう
ヒント① 私の名前はシーザー・スミス、君たちのパパだよ。
ヒント② 三月三日 三の日だな!
ヒント③ ちゃんとずらした物を直さないといけないよ。
「三つのヒントがあることはボクたちに解いてもらいたいんだろうね」
ジョンは、寝ぼけ眼のマークを見て告げる。
「マーク解こうよ!」
自分の頬を強く揉んで目を覚まさせながらジョンの顔を見た。
「君もそう思ってたんだね? 実はぼくも! 解こう!」
二人は元気よく、ハイタッチ。
『イエーイ!』
双子の探偵が謎を解き始めていく。まずは、問題をじっくりと読んでみる。
名前についてジョンは着目した。
「なんでパパは自分の名前を強調したんだろうね?」
「名前に関係あるのかな~?」
「かな~? でもパパの名前僕たちの名前に似ているね。最後スミスだね」
「だね~。もしかしたらシーザーに何か意味があるのかもね?」
双子はそれぞれ、暗号という謎を解く為にヒントがつなげる答えの道を模索する準備にかかる。
「じゃあ僕がこの三月三日について調べるよ」
「了解です~。じゃあ僕がパパの事について、調べてみるよ~」
ジョンは家中を走り周り、シーザーという言葉の単語を探し回っていく。
マークは近くの子供用テーブルに座って三月三日が示す、ヒントの解釈を模索する。
おそらく、この暗号と何か関係があるのかもしれないと考えにらめっこすることにした。
その頃、ジョンは、パパの部屋にある本棚の本を模索している。
父は仕事柄、色々な本を集めており、本棚は小さな子供にとって大きな壁に見えた。
ジョンはそこに目をつけ、小さな体を駆使していろいろな本をあさりまくる。
シーザーと付いた本は片っ端から探すが、シーザーという単語が付く本は到底見つからない。
「あれ? ないなぁ。シーザーっていう名前の本ないなぁ」
すると一番上棚から分厚い本が一冊床に落ちてきた。
「あ、落としちゃった」
ジョンは本を取り、題名が見える。暗号の解き方。
「これなんだろう?」
そのあいだにマークは色々と三という数字を用いて試行錯誤してみる。
しかし、暗号は余計、分からずじまいになった。
彼は悩む。
「なんでだろう? 三は合っているはずなのに……」
「マーク! マーク!」
大声で兄の名前を呼びながら、ジョンは、部屋にいるのマークに声をかける。
「ねぇねぇ、見てよ。この本」
「なにさ?」
ジョンが見せてきた本。
それは、著者名に父親の名前が書かれている本。
《暗号から考える理論型解決方法 著者 シーザー・スミス》
「この本。面白いんだ~。色んな暗号が書かれてるんだー」
「へぇ、読んでもいいの?」
「いいよ!」
ジョンは本を手渡した。
一ページ、一ページずつ慎重に、慎重に、マークは本をめくっていき、書かれている事を見て、暗号の解き方を探す。
「見つからないね」
「ねー」
「わからないねー」
「ないねー」
マークはため息をついて何ページもある本を小さな指で力を使いながらめくった。
するとあるページに辿り着き、マークの頭に閃きが発生する。
「ねぇ! ジョンこれ見てよ。お父さんと同じ名前だ」
ジョンもマークに言われたとおり、そのページを見て反応した。
「あ、本当だ」
「もしかしてこれ……」
「やってみよう!」
二人はすぐさま紙とクレヨンを取り出して、暗号をとき始める。
片方が、暗号の解き方を支持し、片方が紙に記していく幼い少年が、一つの暗号という謎を解きはじめていく!
そう。まさに二人は、双子の探偵である。
二人は解く、解く、解く!
さて、読者の皆様はお分かりだろうか?
暗号を是非是非、解いていただこう。
今回は選択肢を用意した。
①隣人 テリーの別荘
②自宅 ツリーハウス
③裏のドリーの家
④近所 メリーの牧場
この四つの選択肢に答えがある。
さて、気になる答えは回答編! ご期待ください
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