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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
4/11

固執と役目 6/20

「本当に、俺の面倒を?」

 駿河から、あの戦いから次の日の放課後に呼び出された。

「えぇ、あの後に会議で最下位三人を退学処分する前に、実戦で試した方がって提案したら、お前甘くなったなって馬鹿にされたんだから!私より一つ序列が下なのに生意気な!」

 駿河はご機嫌斜めのようだ。

「なんか……すみません」

「いえ、謝るのは私の方よ。君の役に立てなかったんだから。

 それに謝罪する時は、君が負けた時で良いわよ。負けた時も謝るのは私の方だけどね」

 今までの彼女との会話の経験で、これ以上謝ると怒られそうなので、何も話さないことにした。いや、誰だってそうなのだが。

「それで、大空君には、カウンター技を習得してもらうわ」

「……なんで一発決着型の時代に、また古臭いカウンターなんて?」

 冷姫、真霧などといった、学年トップクラスの実力者が使うのは、一撃必殺の技、ワンパンというやつだ。

「何言ってるの、序列1位のひじり龍牙りゅうがが攻撃系戦術だから、強いイメージ持っているかも知れないけど、それは大きな間違い。案外攻守バランス良い人が、序列が高い人に多いのよ」

 聖龍牙。初の一年での序列1位。真霧が学年1位なのは、聖騎士いっぱんせい内での学年の話。少なくとも聖がいることで、真霧は2位以下という事になる。

「でも、俺、真霧の攻撃を防御できる自信は無いですよ」

「君はエースじゃない。主将キャプテンよ」

 キャプテン、その言葉を聞いて俺は固まる。その意味をやっと脳で判断して、急いで口を開く。

「いや、待ってください!あの冷姫と鳳さんに指図とか、俺如きがしていいことじゃ」

 駿河は俺の言葉を遮る。

「君は自分の考えに固執しすぎなのよ。主将、つまり殿しんがりの役目は、仲間を勝利に導くこと。古来、隊長などは殿戦で、仲間の全滅を防ぐ為に、自ら先頭を守り、仲間を逃すということをしていたらしい。そのように貴方は、仲間を逃し、体制を立て直すということも仕事のうちに入る。その時間を稼ぐ為にも、カウンターが重要になる。その役割を果たして馬鹿にする人なんて、誰も居やしない。居たとしたら、その戦略について理解出来ない人。

 そして、君はどこかで真霧君を意識し過ぎてる。あれは格が違い過ぎるのよ。多分特待生の序列10位くらいなら余裕で倒せる。

 それこそ、君如きが意識する敵じゃない」

 ……確かに俺は真霧の事しか考えていなかった。頭では倒せないと理解していても、冷姫や鳳となら……と心の底で思っていることに。

「……わかりました。俺、カウンター技を身に付けます」

「じゃあ、まずは『アタッチメント』ね。マナー違反かも知れないけど、君は何をアタッチメントしているか聞かせて」

 アタッチメント。これは整備士の仕事の一つ。チームメイトの使いたい武器、魔法などの要望を実際に生み出し、決闘内で使えるようにする事。アタッチメント(詳しく説明すると、ゲームでダンジョンに潜入する時に、持ち込むアイテムとして、またはスキルとして身に付ける事)が出来るスキルは四つまで。冷姫に例えると、鎌、風、スピード、攻撃というスタイルだろう。推測だが。

 基本的には、一つ目は武器、二つ目はサポート魔法、三つ目と四つ目はパラメータアップというのが鉄板。

 例外では真霧。あいつは武器は無し。全てサポートの闇魔法で作れるからだ。そして、魔力上昇を三つ付けているのだろう。消費の多い闇魔法の負担を削減する為に付けるのが普通だろう。

 しかし、俺はその言葉を聞いて、駿河を制しにかかる。

「実は、俺はまだ剣と音魔法しか作れてなくて、他にアタッチメントしてないんですけど……皆入学早々パラメータアップスキルとかどうして作っているんですか?そんな早さで到底作れませんよ」

 その言葉を聞いて、駿河は目を見開き、声を荒くする。

「はぁ!?市販のデータをダウンロードして使えばいいじゃない!!

 まさか君、使ってなかったの!?」

 俺の動きが止まる。

「え、市販のやつって、著作権法関係あるんじゃ?特に模擬戦とかじゃなく、正規の決闘とかになると」

「君ちょっと生真面目過ぎよ。

 まあ、確かに関係あるわよ?

 でも、この学校のシステムで、その料金は自動的に払われている。この学校の正式な決闘は、常に電脳世界(ネット)に流れている。某動画投稿サイトみたいに、視聴者の数に応じてお金が回ってくる。それのお金から自動的に払われる仕組みなのよ」

「……よく出来てますね」

 俺はそのシステムに対して、妙に感心してしまった。

「いえ、ここに退学者が最下位の原因が出てくるの。君が見るとしたら、成績上位の戦い?それとも下位の戦い?」

「そりゃ、上位ですよね」

 野次馬として、真霧と冷姫の戦いを見に行ったぐらいだ。俺はノータイムで答える。

「そう、それなのよ。再生数けたが違う。学校としても、儲かる生徒を取りたい。儲からない生徒、極論を言うなら、著作権料を支払えないほど、再生数が無い生徒ね。そうすると、学校の赤字。

 ……まあ、だからと言って、退学のシステムはどうかと思うけど」

「高校生活とだけあって、なかなかシビアですね……」

「普通の高校生活とは絶対違うけどね。

 君には、なんとしても生き残って貰うわよ。じゃあ、市販のデータダウンロードして、アタッチメントして」

 言われた通りに、携帯端末をポケットから取り出し、タッチパネルで市販のデータをダウンロードした。ダウンロードしたものは、スピード付加、防御アップ。

「じゃあ、次は私との実践ね!」

「……ん?今なんて言いました?」

「私と実践練習するのよ!」

 ……特待生序列第3位駿河雀と対峙する。それを想像しただけで、冷や汗が止まらなかった。

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