モフモフ後編
空に……地面が浮いてる。
空に浮かぶ大陸に口をあんぐり開けたまま閉じられなかった。
クレシオール王国は浮遊大陸にあるようで高い搭のような建物がいくつも建ち翼人たちが買い物したりするところは地面だけでなく塔と塔の間も商店や住宅街らしく、多層構造の様子だった。
大陸にはいくつも浮遊島も浮いていてそこにも建物が建っていて橋でつながってる。
ひときわ大きく壮麗で高い塔が沢山建っている中心地に浮かぶ浮遊島に向かってるらしいけど降ろしてくれないかなと膝抱っこする麗人を見上げると微笑まれた。
大きい鳥の上にしつらえられた輿のようなものが乗せられててなぜかイアスール殿下に膝抱っこされて席に座るまでの悶着は思い出したくないです。
私はイアスール殿下の招きを受けて滞在する治療士ということになってます。
後ろでモフモフ耳触らないでください。
「本当にモフモフの耳ね」
そうにいうイアスール殿下からまた青黒い匂いがしている。
守護護符は出身地の素材を使うと良く効くのでクレオシール王国の草木を調べないとと思ってたら大鳥が急降下して意識が遠くなった。
私、大柄だけど気が弱いんです。
目を覚ますと列柱立ち並び薄いカーテンがひらひら舞ってる部屋でした。
柔らかい寝床に寝かされてるみたいです。
「お目覚めでございますか? 」
灰色の翼の女性? 翼人が顔を出した。
「あの……」
「クレシオールの王宮島、イアスール殿下の塔でございます」
不機嫌そうに女性は私を勢いよく起こした、大きな窓? から空が広がっていた。
縁が一周柔らかめの枕みたいになっている三、四人寝られる丸い低床の寝床から降りて窓と言うには大きい開口部から外を覗くとゆったりとした間隔を開けて配置された塔の上部と雲が動いてる。
気になって開口部に近寄って見下ろすと遥か彼方に地面と開いた大穴から下の浮遊大陸の街がかすかに見えた。
少し怖くなって開口部から後ずさった。
「これだから地上をはってる種族は」
バカにしているような声が後ろから聞こえた。
振り向くと灰色の女性翼人が馬鹿にしたように腕を組んで笑っていた。
狼獣人には翼は無いんです、しょうがないじゃないですか〜。
「姉さん、セシル治療士が起きたら連絡するように言いましたよね」
イアスール殿下の確か側近で灰色の翼人の男性ラダールさんが窓から入ってきた。
「あら、今起きられたのよ」
女性はにっこりと微笑んだ。
でも目が笑ってないです。
「イアスール殿下、お目覚めだそうです」
ラダールさんが開口部を振り向いた。
あら、イアスール様はそちらから来られるのじゃないのと床にある扉? に女性が目を向けた。
羽音がして窓から翡翠色の翼人が入ってきた。
「オノン、私、飛べるわよ」
「イアスール様? それはどういう意味ですの? 」
オノンと呼ばれた感じの悪い翼人が驚いた顔をした。
「セシルちゃんがといてくれたの」
「さようでございますか」
オノンさんが満面の笑みを浮かべた後で少し振り返って少し私を見た目付きがちょっと怖かった。
「セシルちゃんのおかげなのよ〜」
イアスール殿下が私を勢いよく抱きしめた。
豊かな胸の谷間に顔がホールドされてその趣味の人には天国なんだろうけど私は窒息で死にそうだった。
イアスール殿下、おはなしくださいというラダールさんの声が遠くに聞こえて胸の向こうに見えたオノンさんの顔がいまいましそうなのが見えた瞬間意識が落ちた。
というわけで浮遊大陸での生活がはじまりました。
「やっぱり植生が違いますね」
クレシオールの浮遊大陸には小さな浮遊島がいくつも浮かんでます。
一番おっきいのが王宮島でここからもよく見えます。
周りの小さい浮遊島にも王宮の建物があって細い橋でつながってて怖いです。
浮遊大陸はクレシオール王国の本体だけど浮いてる広大な大地も広域的にクレシオール王国で下の大地には翼人の支配を何代も前に受け入れた多種多様な種族が暮らしているとオノンさんに馬鹿にされながら聞きました。
オノンさんは翼人以外は下等生物と思っているようです。
態度にでていて悲しいけどずっといるわけでないのでいいです。
王宮島の塔が連なるその姿をみつめてからまた地面に目をやった。
風にゆれる青白い草は多分護符に使える。
王宮島を離れて少しだけほっとしてます。
イアスール殿下が囲い込むようにベタベタしてくるのは実は……少しお家騒動があるようです。
あとひとによっては地上を動く私たちを見下してる人もいてちょっと危ないみたいです。
天人伝説とでも言うのでしょうか?
翼人至上主義者と他種族融和主義者の対立があるようです。
だからここに降りるときもイアスール殿下がついてこようとしてラダールさんに引っ張られていきました。
イアスール殿下は、世継ぎの君として目されるたのにある日突然罹った青黒い謎の病気? 呪術? で飛べなくなり少しやけになってあの落下事件のとき大鳥から飛び降りたらしいです。
やっぱり飛べるのが王位継承権の条件みたいですね。
もう儚くなってもいいとおもって……でも呪術? が解かれて復帰したら現王の下の兄弟が攻撃を仕掛けるかもと護衛兵をつけてくれたけど……こんな大型ワンコなんて相手にしないよね。
基本的に平和な研究生活のはずですよね?
本当に興味深いと思いながら地面に目を落とした。
羽音がいくつもする、いつの間にか護衛兵がいない。
「地面に這いつくばる動物が生意気ですわ」
「何を熱心に探してるんだ? 」
「ワタクシの呪術をとくなんて興味深いデス」
三人の翼人に囲まれてます。
「あ、あのなにかごよ……」
言いかけたところで冷ややかな眼差しに言葉がつまる。
タマキさんなら攻撃魔法をぶちかましていますよ。
オノンさんとどっかで見た性別不詳の赤い翼人……あの青黒い呪の匂いがする青黒い翼がローブから出てる謎の翼人
「計画の邪魔したものが見たくなってな、あやつも趣味が悪い」
赤い翼人が嘲笑した。
「地這いごときが殿下にはべるなどおこがましいですわ」
オノンさんは鞭を取り出した……かごを抱えたまま後ずさる。
本当に護衛兵はどこに行ったのですか?
「そちらの草で何をつくるのデスカ? 」
青黒い翼人が私の手元をのぞき込んだ。
け、気配がなかった。
怖い、怖い、怖い、怖い……
逃げなきゃ、逃げなきゃ行けないのに……足が動かない。
「とらえよ」
赤い翼人が腕を上げた。
オノンが鞭を振るった。
私は思わず目をつぶった。
……いつまでたっても痛みは来なかった。
「うちの大型ワンコに手を出すなんていい度胸だ」
「今晩は鳥の丸焼きですね」
何日も前に別れたはずのウニシス君とタマキさんが杖を構えていた。
オノンさんが鞭を取り落としたのが見えた。
「這いずる生き物が生意気ですわ!! 」
ふるえる右腕を左手で抑えてオノンさんがわめいた。
ウニシス君の雷撃が直撃して煙が少しあがってるみたいです。
「下の魔法使い……興味深いです」
青黒い翼人の目が楽しそうにきらめいて翼を広げた。
次の瞬間に衝撃波が私達をおそって地面にたたきつけられる。
動けない……足音が聞こえる。
「でも、まずはこちらの子犬デス〜」
青黒い翼人の脳天気な声に少しだけムッとした。
私だって……私だって……アリーナお姉ちゃんみたいにちっちゃければ……キリルさんみたいにちっちゃくて戦闘能力があれば……狼族の戦士として……
「王宮で近衛騎士してたもん! 」
思い切りよく起き上がったら固いものにぶつかった。
「痛い」
「痛いデス〜」
青黒い翼人に頭付きしたみたい。
「先に魔法使いどもを始末せよ」
「這いずる生き物なんてどこがいいのよ! 」
赤い翼人とオノンさんがわめいた。
「タマキさん、ウニシス君逃げて〜」
私はあたりを見回した。
「火焔爆裂」
「雷撃」
炎と雷がオノンさんと赤い翼人をおそった。
タマキさんとウニシス君が少しボロボロになりながら詠唱しているのが見えた。
「そのカネヅルサンたちはダメデスね」
青黒い翼人が翼を振るうとたちまち魔法が消された。
「金づる言われてるぜ」
ウニシス君が荒い息で笑った。
腕が不自然にたれてる。
「そんな連中にセシルっちは渡せないな」
タマキさんは足をかばってる。
血が……血がでてる。
治さなきゃ……治さないといけない……
私は立ち上がろうとしてたちあがれなかった。
「子犬は私の研究材料デス」
青黒い翼人が私を押さえつけてる。
「いや、離して治さないと」
「キケンな魔法使いたちはもっとダメージをあたえてからデス」
青黒い翼人が翼を広げた。
ダメ、ダメ……
「虫の息で良いデスね」
浅黒い翼人が力を放った。
「ダメーー」
私は自分の全ての力で二人をおおった。
お願い、二人を助けて〜。
青黒い力が二人を覆った。
次の瞬間霧散してダメージを受けた様子のない二人をみて全身の脱力感を覚えた。
「子犬はバカデスね」
青黒い翼人がキラキラした目で私を抱き上げた。
オノンさんが汚物を見るように私をみている。
赤い翼人は興味深そうに二人を見てとらえるようにいつの間にか戻ってきた護衛兵増量版に命じてる。
どうしよう……怖い……
「その子を抱いていいのは婚約者の私だけよ」
綺麗な翡翠色の翼の麗人が舞い降りた。
「イアスール」
赤い翼人がイアスール殿下を見た。
「ヴィアシスト様、私の婚約者を返していただきますわ」
イアスール殿下が艶やかに笑った。
「ワタクシの呪に縛られたオカタがオコガマシイ」
青黒い翼人がクツクツ笑った。
わーん不気味です〜。
「もう、縛られたりしませんわ」
イアスール殿下が両手を腰に当てて胸をはった。
うん、仮結界を張っといたからしばらくはね。
イアスール殿下がレイピアを構えて青黒い翼人に向けた。
「セシルを離しなさい! 」
気高いその様子は胸があるのにまさに王子様だった。
レイピアで青黒い翼人につきを入れる。
私が青黒い翼人に赤ちゃん抱っこされてるので攻撃しにくいらしい。
「ふるえてマスか? 」
青黒い翼人が私に顔を寄せた。
怖い、怖いけど……
私は戻ってきた力を青黒い翼人の胸に思いっきりぶつけた。
反動で地面に思いっきりたたきつけられた。
コロコロと茂みに転がり込んだ。
青黒い翼人がむせこんでるところにイアスール殿下がつきを入れて鮮血が翼からあふれる。
青黒い翼人はうめいてしゃがみこんだ。
「次はあなたよ」
レイピアをびしっとヴィアシスト様? に突きつけたイアスール殿下かっこいいです。
「やれ、一時飛べなかった不適合者を排除せよ」
ヴィアシスト様? が護衛兵増量に命じた。
護衛兵増量が躊躇なくイアスール殿下に襲いかかる。
「だめ、やめて〜」
「炎柱乱舞! 」
「雷撃破! 」
タマキさんとウニシス君の声がして火柱と雷柱が落ちて護衛兵増量が吹き飛ばされた。
「僕達がいるのを忘れないでもらいたいな」
タマキさんが優雅に杖を振った。
わーん血が足から出てます。
「這いずる下級生物が生意気よ」
オノンさんが鞭を振るった。
ぴしっと鞭がタマキさんにあたりタマキさんが顔をしかめた。
「ちょっとおいたがすぎるよとりどんちゃん」
「うちの愚姉がすみませんね」
タマキさんの言葉に反応して上から網がかけられた。
「ラダール遅いじゃないの」
ラダールさんが別口の護衛兵を引き連れて飛んでいた。
みんな網とか槍とかもってる。
「お前たち我が甥(姪)はやすやすと呪にかかった軟弱者、それに従うか? 」
ヴィアシスト様が空に呼びかけた。
「あら、叔父(叔母)様が命じたことじゃないですの」
艶やかにイアスール殿下が笑った……目がわらってないけどね……
別口の護衛兵たちは動揺せず網を投げた。
「我らが主は王国とイアスール殿下のみ」
あわせる声が頼もしいです。
敵の護衛兵も網にからまりつつあります。
「姉上、なぜイアスール殿下を裏切ったのですか! 」
「うるさいわね、私は這いずる生き物は嫌いなのよ、ヴィアシスト様〜助けてくださいませー」
ラダールさんの責めるような目をオノンさんがしっかり見据えてからヴィアシスト様にモゾモゾ手を振った。
ヴィアシスト様がちらっとみてイアスール殿下に視線を戻した。
オノンさんが絶望的な顔をして網の中でしゃがみこんだ。
あ……すごく捕まった灰色の小鳥っぽい。
「あら、部下を捨てるのね」
「しょせんは利害の一致の関係だ」
「あら、寂しいわね……」
「うるさい」
微笑んだ形の目のイアスール殿下と睨みつけるヴィアシスト様が視線を合わせた。
「まあ、関係無いわ、でも……私の……大切な人を巻き込んだのは許さないわ」
イアスール殿下が冷たい視線でレイピアをヴィアシスト様に突きつけた。
空気が凍るってこのことですよね。
「ふ、ふん、お前など」
ヴィアシスト殿下が下がってあたりを見回した。
ヴィアシスト様の味方? はすべて捕らえられている。
「仲間……手下がいないと何も出来ませんの? 」
冷ややかな眼差しでイアスール殿下がヴィアシスト殿下に迫る。
「や、やめろ、来るな」
怯えたヴィアシスト様が後ずさって大樹にぶつかった。
その首の脇にレイピアが刺さる。
あら、外してしまいましたわとイアスール殿下が妖艶に微笑んでレイピアを引き抜いた。
そのまま今度こそ首にレイピアを突き刺そうと勢いを引いた。
「やめてください! 」
「やめなさい! 」
私の声を打ち消すほどの大きなりんとした声がして紫色の羽根が舞い落ちた。
麗しい紫色の翼の美人が護衛兵を沢山連れて舞い降りた。
「国王陛下……」
ヴィアシスト様がつぶやいた。
動作を一時止めたイアスール殿下がもう一度ヴィアシスト様を突き刺そうと腕を引いた。
「ヴィアシストには相応の罪を問うわ、だからやめなさい」
「私の大事なものを沢山奪ったのですわ」
狂気じみた翡翠色の瞳がギラギラしている。
「このクレシオールの世継ぎとしておさえなさい」
威厳に満ちた国王陛下の声と強い眼差しをイアスール殿下はため息をついた。
「……わかりましたわ」
イアスール殿下はヴィアシスト様から離れた。
すごく口惜しそうな顔に私は茂みから転がり出てイアスール殿下の足にしがみついた。
回復の魔法をそこから送る前にイアスール殿下にぬいぐるみみたいに抱き上げられた。
「慰めてくれるの? あなたを囮に使ったのに」
とんでもないことを言いながらイアスール殿下が私の頭を撫でた。
えーと……囮ってなんですか?
ふとあたりを見回すとタマキさんとウニシス君が気まずそうに私に笑った。
あとから聞いた話によると王立魔法研究所に来たのは解いても解けない翼を縛る呪いの解呪のヒントを求めるためだったんだけどタマキさんとウニシス君の戦闘能力を見て連れ帰れば確実に目をつけられる呪いの解除者の私を囮に妖しい王族ヴィアシスト殿下一味をあぶり出して制するために雇ったんだそうです。
でもオノンさんが関わってるのは気付かなかったみたいです。
信頼されてなかったのかしらとイアスール殿下が寂しげに笑ったのでなんか責られなくなっちゃいました。
私はイアスール殿下の翼をなでて回復魔法をかけた。
疲れてると落ち込みやすいから少しでも休めるように……
「叔父(叔母)様は……かつては一番優しい叔父(叔母)様だったのに……」
イアスール殿下が網を巻きつけられて連行されていくヴィアシスト様を悲しそうに見上げたのでよりいっそう回復魔法を使った……ら力が抜けて……ああ、また意識が……心配そうなイアスール殿下の声が聞こえるけど……無理……答えられな……
気がつくといつもの塔の部屋のベッドの上で誰かに抱きかかえられてた。
風の爽やかな匂いの意外にガッチリした腕の持ち主はやっぱり……
「イアスール殿下……」
私は翡翠色の髪にうもれて目をつぶる翡翠色の美人翼人の名前をつぶやいた。
綺麗な桜色の唇がかすかにうめいて静かに瞳が開いた。
翡翠色の瞳と見つめ合う、イアスール殿下は甘やかに微笑んで私を抱き込んだ。
なんか思い出したらふるえてきた。
「セシル、大丈夫よ」
イアスール殿下が優しく私の背中をなでた。
「……こわ……かっ……」
涙が溢れ出てイアスール殿下にしがみついた。
大丈夫よと言い続けながらイアスール殿下は私の背中をなで続けてくれた。
「ねぇ、セシル……私はあなたを囮に使ったけど……」
優しい声が聞こえる。
思わず顔を上げると真剣なイアスール殿下の顔が見えた。
「あなたを愛してるわ」
こんなことがあったのに手放せないくらいと少し寂しそうに微笑んでイアスール殿下が私にき、キスした。
え、えとそのあの……
「私の事どう思ってるの? 」
麗しいイアスール殿下の甘やかな囁きに私は考えた。
色々振り回された……でも……やっぱり……
「す……き……好きです」
私は翡翠色の瞳を見つめた。
「本当なら女性性質の私を男性化させたのだから責任取りなさいよ」
嬉しそうにイアスール殿下は私にもう一度キスをした。
せ、責任ですか?
私はそのまま翡翠色に包まれた。
このまま流されるのも……いえ大すきなんですけど……
「あ、あの……すごく大っきい狼獣人ですけどいいんでしょうか? 」
普通サイズの女性狼獣人より少し大柄なんです。
アリーナお姉ちゃんがちっちゃいだけに里の幼なじみには『うーちゃん』があだ名でした。
うどの大木からです……
「何気にしてるのよ、私より小さいくせに可愛いこと気にして可愛いわ」
イアスール殿下が私の額にキスした。
「あ、あと狼獣人の血が混じったら翼人にならないんじゃ……」
飛べない翼人は不味い気がする。
王位継承権とかでヴィアシスト様が飛べない奴に従うなとか言ってたような……
「王種だから大丈夫よ、モリターイェルのエルフの王族も伴侶がどんな種族でもエルフでしょう? 」
「王種? 」
「必ず、産まれる種族がそちらになる強い優性遺伝を持つ一族よ」
安心して私の子を産んでちょうだい。
と続けてイアスール殿下が獲物を狙う目で私の服のリボンを解いた。
そういえば……アリーナお姉ちゃんのところのちび王子もエルフだなぁと他人事のように思ったら目の前に綺麗な翡翠色の瞳があった。
「往生際が悪いわよ」
私は翡翠の翼人にベッドに沈められた。
えーと……私……お嫁に行くみたいです〜。
その後クレシオール王国の浮遊大陸の王宮島からしばらく出られなかったのはいい思い出です。
イアスール殿下……お願いだから里帰りさせてください……
たまには動かない大地を踏みしめたいんです……
イアスール殿下〜愛してるからにげませんよ〜。
読んでいただきありがとうございます♥
おまけにもう一話イアスール殿下目線を投稿します❤