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エピローグ

 曙光が星明りを追い立て始めた頃、君は再び丘にやってくる。

 昨夜は強い風が吹いていたが、蜂の死骸は墜落した時と同じ姿勢を保っている。尾部を空に突き出した様は、かしいだ墓標を連想させる。

 本はまだ残っていた。

 君は両膝を地につき、それを拾い上げ、文字を指先でなぞっていく。もし、この文字の意味を知ることができれば、〈巣〉の秘密を解き明かすことができるかもしれない。〈巣〉がどこにあるかを突き止め、侵入することもできるかもしれない。

 君は目を閉じて夢想する。

〈巣〉の奥に突き進んでいく自分の勇姿を。

 蜂たちを蹴散らす自分の勇姿を。

 太古の知識や地上から奪われた財宝の数々を〈巣〉から持ち帰ってくる自分の勇姿を。

「必ず……行ってみせる……」

 そう呟いた時、君は何者かの気配を感じて我に返る。

 目を開けて振り返ると、そこに猫がいた。大きな灰色の猫だ。

 君は思わず後退りする。

 すると、猫は君の顔を見上げて、ウインクでもするかのように片目だけを瞬きさせる。

 目にゴミが入ったのかもしれない。

これにておしまい。

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