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インターバル
――夜。
君は寝台に横たわっているが、眠ってはいない。目を開き、闇を見据えている。
結局、〈巣〉から本が出てきたことは村の誰にも教えなかった。面倒なことに巻き込まれたくなかったからだ。本に触れてしまったことを知られたら、村から追放されてしまうかもしれない。
(いや……違う。そうじゃない)
君は心の中でかぶりを振る。本のことを皆に伝えなかった理由は保身のためだけではない。あの本を誰にも渡したくなかったからだ。
そう、君は本に惹かれ始めている。
本に魅惑されていることをはっきりと自覚した瞬間、身体を強張らせていた恐怖心が溶けて流れ落ちていった。鼓動が激しくなり、目が冴え、指先が熱くなる。激しい怒りが湧き上がる。情けない悲鳴をあげて本から逃げ出した数時間前の自分に対する怒りだ。
その怒りに突き動かされ、君は決心する。太古の知識を手に入れるチャンスを逃すわけにはいかない。
君はゆっくりと起き上がる。
次回は2015年6月7日頃に投稿予定。