二話:帰って寝た
「ただいまー」
さて、家に帰ってきたわけだが、
「ハード、何処で調達したものか……」
あれから、蓮の家でその日最後の一戦をし(勿論勝った)、蓮と三日後の正式サービスにハードが間に合ったら、広場で待ち合わせる約束をさせられた(その腹癒せに、正式サービスが始まる迄に夏休みの課題を終わらせる事を約束させた)。
「まあとりあえず、なんか飲むか」
玄関から――そういえば靴すら脱いでなかったな――移動し、リビングの扉に手を掛けようとしたところで
ガチャ
扉が開いた。
こんなときになんだが、この扉はリビング側からなら押して開き、玄関側からなら引いて開く扉である。つまり何が言いたいかと言うと、
スッ
例えもの凄いスピードで開いたとしても、避ければ何の問題もない。
「っち」
おいおい、この妹、舌打ちしやがりましたよ。
「お帰り、椿ちゃ……お兄ちゃうにゅ!?」
「ただいま、桜」
「酷いよ!! お兄ちゃん!! こんな可愛い妹にデコピンするなんて酷いよ!!」
「椿ちゃんなんて言おうとするからだ」
「えっ!?そっちなの!?扉の事はいいの!?」
妹としては俺のちゃん付けよりも扉の事の方で怒られたと思っているようだ。
「扉は当たってないからな。それとももう一回デコピンされ「い、いい!」なんだ、つまらない」
桜のおでこに手を伸ばそうとしたら喰い気味で拒否された。
「そ、そう桜もお兄ちゃんなら余裕で避けられると思ったからやったんだよ!」
うわ……、勝手に期待して、それを押し付けるなんて…………俺が嫌いなことじゃないか。それを知らない妹じゃない。ということは、やはりデコピ――
「そういえばお兄ちゃん!今日は蓮さんの家に行ってたんだよね!」
桜のおでこにもう一度手を伸ばそうとしたら、話を逸らされた。
「あぁ、まぁ、よく知ってるな」
「だってお兄ちゃん朝からリュック背負って行ったのに荷物減ってるし、昨日金がないって嘆いていたから確実に本屋行ってないし、本屋行ってないなら蓮さん家以外考えられないし」
……妹は伊達じゃないということか……。今日はもう寝よっかな…………。
「え!?お兄ちゃんどうしたの!?なんで階段を上っていくの!?」
「いや、桜が俺の事よく知ってくれていて嬉しいよ……だから寝かせてくれ」
「ちょっと、お兄ちゃん。私はまだ話が……」
後ろでなにか聞こえるが知らない。俺は寝るんだ。
そうして俺は自分の部屋に入って、リュックを放り投げてベッドに飛び込んだ。
二話目でもう携帯執筆が嫌になってきた……