一話:ソフト貰った
不定期&亀更新ですが宜しくお願い致します<(_ _*)>
『ようこそ、自由なる世界へ! 突然で悪いが君達がこの世界でどう生きるのか、どんな物語を紡ぐのか、それを私は楽しみにしている。だから早く行きたまえ。それでは、自由な人生を!!』
そうして俺は、自由なる世界へ旅立った。
――――――
「ゲームをしよう。椿」
友人とスマ○ラをしている最中に言われた。
「どうしたんだ? 蓮。ゲームなら今しているじゃないか、暑さのせいで脳が溶けたか?……ああ、いやお前の変な言動はいつものことか」
「酷くねっ!?」
ちょっと涙目で返された。正直、男の涙目など見ていたいものではないな。
「なんだ心配してやったのに。それにしても、夏休みの宿題を写させてほしいと来てみれば、それよりもゲームだと言い、あまつさえそのゲーム中にゲームをしようなんてどういう了見だ?」
この男、夏休み始まって一週間も経たないで宿題写させろとか宣ってきた。
「それについては、悪かった。だがな、マジで面白いゲームがあるんだよ!」
W○iリモコンを手放して連が詰め寄ってくる。あ、勝った。
「『Free Style Online』っていうVRMMORPGを知っているか?」
「ああ、なんかよくCMでやってるやつか?」
『Free Style Online』はイストワール社が製作しているらしいVRMMORPGだ。イストワール社の新型VRギア『エレクラウン』と同時期に発売されるとあって、今話題のゲームである。
「そう、よくCMでやっている『Free Style Online』だ。興味ないか?」
興味はあることはある。が、
「興味はあっても買えねーよ」
高いのだ。流石に最新のVR技術を使ったゲームということあって、金欠学生には手が出せない値段になっている。さらに言うと、俺はVRギアを持っていないので『Free Style Online』のソフトが有ってもハードが無いからどっちにしろ出来ない。
「いや実はな、俺『Free Style Online』のソフトを持ってるんだよ。でn痛っ」
……っは、ついデコピンをしてしまった。まあイラッときたから仕方ない。蓮だから仕方ない。
「で、何だ自慢か?」
「ちげーよ!! 俺はβテスト版参加したから優先権あってそれで2つソフト買ったんだよ!!」
「ふむふむ、やはり自慢か?」
もう一度デコピンしてやろうと蓮の額へと手を伸ばす。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。一つは俺の分として、もう一つはお前にやるつもりだったんだよ」
少し焦り気味に言われてしまった。冗談だったのに。
「そうか、それはすまなかったな。余りにもそのほんのりとしたドヤ顔がうざくて早合点してしまった」
「お前は謝る気があるのか……」
(ドヤ顔をするならもっと自信ありげに……やられてもウザいか。まあ、いいや。)
「何を言う。この溢れんばかりの誠意が感じられないのか?」
「誠意ってなんだっけー……」
蓮が遠い目をしている。どうしたものか……
「とりあえず、ソフトは貰えるのか?貰えないのか?」
「………………ッグファ!?」
よし、正気に戻ったか。聞いてもまだ遠い目をしていたので、ボディーブローで意識を戻してやった。
「ぅぐぅ。な、何だ、どうしたんだ?」
「いやだから、『Free Style Online』のソフトは貰えるのか?貰えないのか?」
「あ、あぁそこにある袋に入ってるから、帰りに持ってってくれ」
「そうか、じゃあありがたく貰うとするよ」
「ふぅ、その顔が見れただけでよしとするか。学校での笑みは作り笑いだしなぁ」
と、蓮が顔を綻ばせながら言った。そうか、俺も頬が緩んでいたようだ。
「じゃあもう一回対戦したら帰るかな」
「うーし、やるか」
お便り待ってま〜す