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トーラス工房まったり生活記  作者: 玖堂詩乃
第1章 世界の理
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第08話 初仕事1

ある程度の説明が終わったため、ようやく生活が始まります。

 冒険者ギルドを出たユウキは、そのまま南に進み南口から外に出るつもりだった。

 しばらく歩き、南門に到着した。モンスターがいる世界はやはり町を城壁で囲って門で封鎖できるようになっているようだ。


(う~ん…門番がいるけど、これって出て行ったらちゃんと入れるんだろうか。)


 モンスター対策ならまだしも、人の通行自体が許可制だったら、身分証明ができない自分は締め出されてしまうかもしれないと危惧していた。

 門番に近づき聞いてみることにした。


「すみません。ちょっといいですか?」

「ん?あぁ、どうした?」

「門の通行って許可証とか要りますか?」

「許可証?そんな物いらんよ。あんた冒険者かい?」

「はい、冒険者です。ここに来たばかりでして。」

「そうか、門の通行はこいつで確認をするんだ。」


 そう言うと、門番の男はベルトに下げられた皮のケースから、冒険者ギルドで見た台を小さくしたような物を取り出した。


「これに手を載せればあんたが通っていい奴か分かるんだ。よければ青、指名手配犯なら赤く光る。」


(指名手配犯て…。いるんだ。)


「この確認は入る時にも出る時にもするからな。で、あんたは出るのかい?」

「えぇ、依頼を受けて狩りに行こうかと。」

「狩りって……。武器持って無いじゃないか。」

「無いですね。」

「いや、そんなサラッと返されてもな。本当にそれで行くのか?」

「えぇ、無いものは仕方ないですし。」


 あっさりした返答に門番は呆れた顔をしている。


「昨日から来る冒険者、みんな武器持ってねぇんだが、あんたら徒手空拳の訓練でも積んでんのかい?」

「そんなスキルは持ってませんが、まあ大丈夫だと思います。」

「確かに冒険者は俺たちよりも強靭だって話だがなぁ…。まぁあんたがいいなら俺が心配しても仕方ないか。じゃあこれに手を載せな。」


 言われるままに、門番が持っている台に手を載せるユウキ。すぐに台が青い光を放つ。


「よし、通っていいぞ!」

「ありがとう。それじゃあ行って来ます。」

「おう、気をつけてな。」


 門番に見送られながら門を通る。


 南から外に出たユウキは、敵が弱いのが定石だろう街の近くで獲物を探す。しかし、街の近くは同じことを考えているのか人が多かった。


(結構いるな。獲物の奪い合いはないけど空いてる所もなさそうだ。というかみんなNPCか?)


 見える場所にいる人を適当にターゲットして行くが、どうやら全員NPCのようだ。


(これだけ歩いてるのにプレイヤーに会わないなんて、どうしたんだろう。でも話を聞いた人は昨日来たって言うし…。)


 近くでは無理だと判断したユウキは街から離れて探す事にした。しばらく狩りをするNPCを横目に歩いていく。


 結構な距離を南に移動した所、段々と人が減ってきていた。しかし段々と森が近づいてきてもいた。


「ようし、ここならいいかな。」


 目に見えるモンスターを適当に倒して回っても、迷惑が係りそうに無い場所に着いた。


「魔法職だからなぁ。密集地だと横殴りになりかねない。…あ!移動してる間採取依頼の物を探せばよかった…。」


 人が密集している所では、戦闘職ではない者でも比較的安全に移動できるため、既に取り尽くされているかもしれないが。


 イベントの時には東の平原にゴブリンがいたが、南はスライムの生息地のようだ。

 目の前にグランスライムがポツポツといる。Lvは3-4のようだ。ユウキのプレイヤーレベルは8だが、経験値の無くなるペナルティーは10レベル差以上である。

 とりあえず、目に付いた奴を倒して安全を確保しつつ、ドーラの花とピール草を探しながら進むことにした。

 

「よし、マナボルト!」


 手を近くのグランスライムに向けると叫んだ。特に叫ぶ必要はないのだが、張り切っていたため口をついて出ていた。

 手から白色のプラズマがグランスライムに向かって高速で走る。バシュンッという音を立てて突き進んだマナボルトは、グランスライムを打ち据えた。

 ユウキはクールタイムが終わるまで距離を取るべきか悩んだ。マナボルトは基本魔法ゆえにクールタイムは3秒くらいである。


 だが、すぐにグランスライムが光となって消滅するのを見た。ユウキのプレイヤーレベルの高さと複数ジョブ、ミネルヴァの結晶の効果で全く相手にしない状態になっていた。

 消滅したスライムの跡に残ったドロップはスライムの粘液だった。


「ん?そういえば依頼は討伐だったな。このドロップは副収入?」


 ユウキはスライムの粘液を拾い、インベントリに放り込んだ。


「一撃ならガンガン行くか!」


 周囲に花や雑草じゃなさそうな草がないかを見回しながら、次のスライムに向かっていった。


 3匹目のスライムを倒した時、メイジとクラフターのレベルが上がりLv2になった。

 8匹目を倒した時にはLv3になった。Lv3になった時は、レベルが上がる感覚と共に脳裏にログが流れた。



  (PASSIVE)

    布装備マスタリLv1を習得した。

    杖マスタリLv1を習得した。

    マナプールLv1を習得した。

    軽装備マスタリLv1を習得した。

    採取知識Lv1を取得した。

    採掘知識Lv1を取得した。



「おぉ!?なんか一気に来たな。布装備と軽装備があるってことはメイジとクラフター両方のスキルか。採取知識はどういうスキルだろ?」


  採取知識:(PSV) 薬草などを識別しポップネームで認識できる。


「ポップネームってことは…。」


 ユウキは視線を周囲に巡らせた。スライムより少ないがポツポツとドーラの花とピール草の名前が浮いている。


「なんだと!?今までの苦労は一体…。」


 スライムを倒しながら草を1本1本ターゲットするという作業を行っていたが、これまでの成果はドーラの花3個、ピール草2個だった。難易度は草にしか見えない分、ピール草の方が高い。

 これはひどい。トボトボと浮いている名前の所まで歩いてゆく。


「うん、確かにピール草だね。orz」




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