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第01話 発表会1

 量子コンピューターが実用化された時代。

 膨大な演算をサーバーが瞬間処理し、端末側が微細な表示を行えるようになった。必然的に人々の娯楽は仮想世界へと移り、様々なVRゲームが散歩感覚で楽しまれている。

 しかし、大きさと値段の問題により、家庭に普及したのはヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)による表示と思考制御による操作のみの簡易端末であった。


 ある日、VRシステムの大手システム会社傘下のゲームメーカーが1本のゲームを発表する。


 VRMMORPG『ファヴニルオンライン』


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☆某ゲームショウにて


「本日は、私共フェムトソフトのカンファレンスへお越しくださいまして、真にありがとうございます。私、解説をさせて頂きます、プロデューサーの藤堂雅彦とうどうまさひこと申します。こちらはアシスタントで名前は割愛させて頂きます。」


 プロデューサーを名乗る男とアシスタントの女が舞台の中央に並んでいる。アシスタントは質問などをする時に客席にマイクを持って行くのだろう。観客は入り口でVR対応HMDが配布され、全員がそれを被り座席に座っている。


 主人公【九条結貴くじょうゆうき】はこの客席の一つに座って発表が始まるのを待っていた。この会社が発表しようとしているソフトは、事前に情報がプレリリースされていて、生産・経済・冒険の3つを高いレベルで実装した作品とされている。結貴は生産が軽視され、レベル上げやPvPに比重を置くゲームに飽きており、このゲームの発表を楽しみにしていた。


「それでは、当社の発表を始めさせて頂きます。」


 藤堂は舞台袖に合図を送る。周囲が暗くなり、HMDのバイザーが遮光され暗闇に閉ざされる。待ったのは数秒か、暗闇の中から淡い光が立ち昇り、その光が濁流となって目の前を吹き荒ぶ。その濁流の中を突き進むような感覚の後、視界が開けた。


 目の前に広がっていたのは平原と山々、右には広大な森が見え、平原と森の間を川が流れている。平原にはゴブリンのようなモンスターが歩いている。自分は小高い丘からこれらを見下ろしていた。


(街が左に見えるってことは初期マップか?最初のモンスターがゴブリンなのは定番か。)


 結貴が景色とモンスターを観察していると、平原の左の方から人が走ってきた。皮のような装備に短剣を持っている。


(短剣職…街から来たのか?)


 その短剣職とおぼしき人は手近なゴブリンに一直線に走り込む。あと数歩という所まで来た時、全身から仄かに赤い光が噴き出し始めた。


(あれはスキルかな?)


と思った瞬間、短剣を腰溜めに構え、ゴブリンの胴体目掛けて高速の一撃が放たれた。


ヒュゴッッ! ズドォーーーン!


 刺突とは思えない音が響き渡る。

 結貴は公式サイトで公開されていた極少ない情報の中から短剣職のスキル紹介を思い出していた。


(あれは短剣スキルのアクセルシュートかもしれない。紹介映像がなかったから印象からだけど。)


 アクセルシュート:(ACT) 短剣スキル。一点に力を集中させた突撃で硬い敵にも対抗できる。極低確率で即死効果。


 スキルには使用者が任意に発動するアクティブスキル(ACT)と、常に待機し自動発動するパッシブスキル(PSV)がある。紹介されていたのは初期に覚えられる基本スキルのみであったが、主人公は確信していた。


「ここは、始まりの街の横に広がる平原です。御覧頂きましたのは、短剣職であるスカウトのアクセルシュートというスキルです。」


 ゴブリンはその一撃でライフを削り切られたのか、地面に崩れ落ちる。数秒後には体が光の粒に変わり、空中に放散していく。その跡にはドロップアイテムだろうか、角が落ちている。

 短剣使いは角を拾うと、体の前に空間の切れ目のポケットような物を出現させ、拾った角を落とし込んだ。視線をポケットから周囲へと移すと、ポケットはすぐに消え去った。


「本ゲームは生産・経済・冒険を主眼とし、中でも生産が果たす役割は重要なものとなっております。フィールドやダンジョンにいるモンスターを狩り、生物素材を集める。フィールドから鉱石を掘り出す。野草や果物を採取する。それらを加工する。完成品を販売する。皆様には興味を持つ分野で経済活動を自由に行っていただくことになります。」


そう言うと、ジョブシステムの説明を始める。


「本ゲームには戦闘職のファイター・スカウト・メイジと、生産職のクラフターが御座います。ジョブは途中で自由に変更することができます。これは生産・流通が重要であるために、ジョブの偏りが出ることを防ぐための措置です。ただし、ジョブの変更には神殿で祝福を受け、前回の変更から12時間のインターバルを必要とします。プレイヤーは自身のレベルとジョブレベルの2つを持ちます。」


(ジョブは後から変更できるのか……なら最初は戦闘職で稼いでから生産職を進めようかな。)


「プレイヤーレベルとジョブレベルはそれぞれにレベル差ペナルティが適応されます。高いプレイヤーレベルで低いジョブを育てようとした場合、プレイヤーレベルの適正地で狩りをしてもジョブレベルには経験値は入りません。育てる場合は低い方に合わせて狩りをしてください。その場合プレイヤーレベルには経験値は入らないでしょう。装備のレベル制限はジョブレベル依存です。」


(高レベルエリアでパワーレベリングするのを防いでいるのか。それぞれでペナルティーがあるなら、高レベルプレイヤーも低レベルエリアへ戻ってくるから、レベリングが遅れがちな生産職もパーティーに入れそうだ。装備はジョブレベル依存か…まぁパワーレベリング対策してるならそうだよな。でもインベントリの容量って50枠だったような…複数職育成は厳しそうだな。クラフターのJBインベントリで荷物の入れ替えしようにも12時間インターバルだと24時間かかるのか…面倒だな。自由に変更できるが、飽くまで職が偏った場合の処置ってことか。)


 PLインベントリ:(ACT) 50枠を持つ。スタックは1枠100個、装備類は1つ1枠。プレイヤー用。

 JBインベントリ:(ACT) 100枠を持つ。スキルレベル1ごとに10枠増える。クラフター系列用。


 育成方針について考えていると、不意に視界が浮き上がった。周りに意識を戻すと、どうやら浮かされて移動を始めるようだ。徐々に速度を増しながら上昇していく。山の方へ向かうようだ。

 山が近づいてくると、山道が(ふもと)に辿り着くところに洞窟が見える。体はその洞窟へ向けて滑空してゆく。次は洞窟の中を案内されるのだろう。


 洞窟の中を滑るように飛びながらしばらく進むと、不意に開けた場所に着いた。そこには5人のパーティが見える。やはり洞窟はパーティーでなければ厳しいのだろう。盾を持った長剣重装備1人、短剣軽装備1人、長剣の軽装備1人、杖のローブが2人。お手本のようなパーティー編成だ。


(いやプロモーションだけどね。)




思わず書き始めてしまいました。

発端はこんな生産系ゲームあったらいいなというのを妄想することからなので、以後どうなるか不明です。

それゆえにまったり生活ということで。


初作にして思いつきなので不定期更新です。

そもそも更新するのだろうか・・・。


PS.主人公の名前の振り仮名間違えてたので修正しました。

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