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罪人と少女と崩壊世界  作者: 黒肯倫理教団
四章

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最終話 光

 零が目を覚ますと、そこは病室だった。

 時計の針は午前四時を刺しており、まだ日は出ない。

 ふと違和感を感じて起き上がると、六花がいた。零の目覚めを待っていたのだろう、少し心配そうな表情で寝息を立てていた。

――ようやく、終わった。

 包帯に巻かれた自分の体を見て、何があったのかを思い出す。

 菊島を死闘の末に打ち倒した零はその場で意識を失った。おそらく、誰かが運んできたのだろうと零は思った。

 あらためて辺りを見回すと、枕元に書き置きがあることに気づいた。

『目が覚めたら、中央の方に来てほしい』

 水野からの書き置きだった。




 ドアを開くと、中では水野と志宮が待っていた。

「よく来てくれたね、零君。さあ、そこに座ってくれ」

「いや、立ったままで構わない」

「一応君は怪我人なんだ。体を大事にしてくれ」

 水野に促され、零は仕方無くソファーに座る。

「さて、ほとんどの報告は夜千夏君から受けているから今はいい。それよりも、伝えなければならないことがたくさんあってね。ええと、どれから話そうか……」

「臨時都市の被害から話してくれ」

「分かった。志宮」

「はい」

 志宮は書類を取り出すと、報告を始める。

「今回の戦いで、現在254人の死亡者が確認されています。他、重軽傷が1500人ほど出ています」

「シェルターに避難したんだろう? 何故死者が出た?」

「ウォーライク側からの妨害工作に遭った。これは私の至らないせいだ」

「内部に忍び込んだ工作員に関しては、全員捕縛し、現在取り調べをしています」

「そうか」

 零は頷く。

「それと、翔君のことだが、彼は……」

「死んだのだろう?」

「ああ、残念だが」

 水野は本心から残念そうにうなだれる。その言葉に偽りはなかった。

「次に、前々から行っていた生き残りの捜索なんだが、先日、他の集団を確認した」

 その言葉を聞いて零は驚く。

「見つかったのか?」

「ああ、そこの住人曰く、ほかにも複数の集団が存在するらしい。何故今まで見つからなかったのか不思議なくらいだよ」

「彼らとは既に交流の準備をしています。相互の技術を教えあうなど、今はその程度ですが」

「私たちを含め、五十万人もの人間があの事件から生き延びていたわけだ。逆に言えば、それしか生き延びられなかったわけだが、それでもあの壮絶さを考えれば、十分多い方だろう」

「技術を教えるとして、魔道具はどうするんだ?」

「そこに関してはかなり悩んだが、全て廃棄することになった。あれはすばらしい技術だが、残しておくには危険すぎる代物だからね」

 もちろん、本人の了承を得られればの話だがね、と水野は付け加えた

「俺は構わない」

「そうか、それはよかった。実は、他の皆には既に了承を得ているのでね。一人だけあまり乗り気でない者もいたが」

「東條の事か」

「ああ。彼自身も魔道具の危険性は認識していたから、渋々了承してくれたよ」

「そうか」

 零は頷いた後、自分の装備していた魔道具を志宮に渡していく。

「……」

「翔君の魔道具か」

 零が渡すのをためらう姿を見て、水野が察する。

「いや、大丈夫だ」

 そう言って零は魔道具のナイフを志宮に手渡した。零から魔道具を受け取り終えた志宮は、

それを廃棄場へ持って行こうとする。

「……良いのかな?」

「仕方が無いだろう。それに、翔も魔道具を残しておきたいとは思わないはずだ」

「そうか……志宮、そのナイフは刻印を取り除いて翔君の墓に備えておいてくれ」

「分かりました」

 そう言うと、志宮は部屋を出て行った。

「さて、長くなってしまったようだし、そろそろ解散しようか」

「ああ」

 零が部屋を出ようとすると、水野に引き留められる。

「最後に、お礼を言わせてもらいたい。ありがとう」

「……ああ」

 そう言うと、零は部屋を出て行った。




 病室に戻ると、六花が目を覚ましていた。

「あ、おはようございます、零さん」

「ああ」

 まだ午前五時前だったが、既に六花は目を覚ましていた。

「その、お疲れ様でした」

 笑顔で苦労を労う六花に、零はようやく終わったのだと実感する。自分はこの笑顔のために戦ってきたのだと、零は改めて思った。

「零さん、その、あの……」

 六花は何かを言おうと口をぱくぱくさせるが、どうにも言葉が続かなかった。

「これからも一緒にいてほしい、だろう?」

 零に自分の言いたいことを見透かされ、六花は顔を赤くする。

「は、はい……こ、これからも一緒にいてくれますか?」

「勿論だ」

 零の返事を聞いて、六花はこれまでにない最高の笑顔を浮かべた。

 直後、病室に外からまぶしい光が差し込んだ。

「あ、太陽が……」

 六花は眩しそうに目を細める。六花は久々に見る太陽を少しでも長く眺めたいと、零と共に久々の日の出を眺め続けた。

 その日、世界は光を取り戻した。


最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

本作は二作目ということで、出来る限り話に深みを、文章に魅力をと、自分なりに頑張ってみました。

まだまだ稚拙な文章ですが、ゆっくりと向上させていきたいと思っています。


本作では零と六花を中心として、様々なキャラクターを書くのが楽しかったです。

個人的には完全な悪役を書くのが苦手で、佐倉や結原、菊島のように何らかの事情を入れて深みを出したいなと書いていましたが、そのせいか完全な悪役ってあまり書けなかったかなと。


本作での経験を元に、次回作でもっと良いものを書けるように頑張りたいと思います。

感想などいただけると、励みになると同時に参考にもなるので、書いていただけると嬉しいです。


次回作はまだ未定ですが、見かけたときに読んでいただけたら嬉しいです。

最後にもう一度、皆様、読んでいただきありがとうございました。

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