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53話 合流

遅くなりました(汗)

スマホになかなか慣れず、手間取っていまして……

ゆっくりですが更新していきますので、宜しくお願いしますm(_ _)m

 戦いを終えた零は合流地点にたどり着く。しかし、そこに翔の姿は無かった。

 菊島の日記は決して長いものではなかったが、しかし、それなりに時間は費やしていた。

 考えられる可能性は二つ。

 一つは、翔が何かしら重要なものを見つけたこと。

 もう一つは、翔が交戦中、あるいは戦闘があった場合だ。

 零が敵と出会わなかったことを考えると、恐らくは後者だろうと零は考える。

 今は少しでも時間が欲しかったが、翔を置いていくほど零は非道ではない。

 合流地点に背を向け、零は翔の方へと向かう。

 長い通路を歩き続けると、明らかに一カ所だけ異様な光景が広がっていた。

 扉が吹き飛び、周囲には焼け焦げたような跡があった。

 そして、その部屋の中には二人の人間が横たわっていた。


「翔!」

 零は駆け寄ってその名を呼ぶ。体中に酷い火傷を負っており、素人目に見ても明らかに致命傷だった。

 だか、僅かに息があった。

「零、か……」

 かすれる声で、翔は返事をした。苦しそうに呼吸をする姿を見て、零は翔の命が助からないことを悟る。

「何があったんだ?」

「アイツだ……」

 力なく指を指した先にいるのは胸にナイフが刺さりすでに絶命している少女だった。

 美しく艶やかな黒髪に華奢な体。美しいはずの彼女だが、自らの血をまき散らし、苦しそうな表情を浮かべているために台無しになっている。

 その容姿に見覚えのあった零は、すぐに事情を察する。

「わかった。後は楽にしていろ」

「いや、まだあるぜ……」

 苦しそうな声は相変わらず、しかし、おどけたように翔は笑って見せた。

「アイツは、蝶花と同じように魔道具無しで魔法を使いやがった。ウォーライクの技術はそこまで来てるんだろうよ」

「あの能力を増産化したのか?」

「そこまではわからねえ。ただ、もう一つ厄介な奴がいる」

「誰だ?」

「直接見たわけじゃないけどよ、この部屋にいた失敗作を皆殺しにした奴がいるみたいだぜ」

「この部屋のを全て……だと?」

 辺りを見回しながら零は問う。その問いに対し答えたのは翔ではなくあたりの光景だった。

「ここにはかなりの数がいたはずだが……一人でやったようだな」

「ああ……」

 翔が肯く。あたりに広がる魔物の死体はどれも一撃で、尚且つ引きちぎられたように真っ二つになっていた。

 しかし、よく見ると中には明らかにやりすぎではないかと疑うような死

体もあった。

 元の形状が分からなくなるほどに踏み潰され、その身でカーペットを演じる死体。

 四肢を何処かに無くしてしまった死体。

 荒く、しかし確実にしとめるその技術は狂戦士(バーサーカー)と呼ぶに相応しかった。

「そろそろ、行った方がいいんじゃねえか? 時間が無いだろ?」

 翔は苦しさを押し殺し、いつもの軽そうな笑みを浮かべようとするが、あたりを包んだ重い空気は簡単には払えない。

 しかし、翔の表情から必死さを感じ取った零は、己の任務を遂行するためその場を去ろうとする。

「なあ、零――」

 後ろからかけられた声に振り向くと、翔が自分の魔道具であるナイフを持っていた。

「――頼んだぜ」

 そっと投げられたらソレを受け止めると、翔は意識を手放した。

「……ああ、任された」

 届くはずもなかったが、零はそう返事をした。


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