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キャラ変え?!あたしの王子様

作者: 華姫

この作品はわたくし華姫の初めての作品です。

あまりうまくはないと思いますが。大目に見ていただけたら嬉しいです。

                  

プロローグ あいつ

河崎 璃音!! 中学二年三組元気いっぱい女子校生!!

青春真っ盛りで、学校生活も順風満帆なのだ。 

「璃音~今度のカラオケ、男子と一緒に行くんだけど璃音も行く?」

友達の、沖野 詩織が話しかけてきた。

男子とか…。

「ツン王子が来るならいいけど。」

「誘ったよ!!ちょっと苦労したけど。」

あたしたちが噂している通称“ツン王子”とは、本名 塚田 隼人君まさにツンデレ王子な人なんだ。

う~今日も、クール!!いいねぇ。小説を読む姿も絵になる。

「ふん。カラオケなんかくだらない。」

「どうせ歌下手なんだろ?」

なんて言っているのはクラスでもトップのどS 笠間 健人。どSのくせにまあ顔はいいという憎いやつである。

「少なくともお前よりはうまい自信がある。」

ニヤッと不敵な笑みを浮かべる。隼人君に絡むなんて・・・、調子に乗りやがる。

「ふん。うるさい、俺は歌など歌わん。お前らがあまりにしつこいから。」

「ツンデレてるねぇ。そのツンツンの裏の顔オレ知りたいなぁ。」

・・・。知りたい!!!“ツンデレ”って言われているのだから“デレ”の部分もあるんでしょ!!見て見たいなぁ!!

「ふん。俺に裏も表もあると思う?お前じゃあるまいし。」

「な!!くぅ~いじめ概のないやつだぜ…。」

堂々とした感じがまたいいなあ…。

「何見とれているのよ!!日誌一緒にとりに来てよ!!」

「わかったって。ちょっ、待ってよ!!」

カラオケ・・・・・。めちゃ楽しみぃ~









       1章    俺様、ツン様、ドS様!?

カラオケ当日。まさかの詩織欠席・・・・・。ありえないんだけどぉ~!?

「あれ?女子河崎だけ?もう一人は?」

げ!?ほかの女の子誘ってなかったの?詩織・・・。じゃあ、女子って・・・あたしだけ!?

「じゃあ今日は璃音のこと独り占めできるってわけね!!」

何言ってんの!?進藤 慶人。話したことないのにいきなり呼び捨てですか?

「あたしひとりじゃ面白くないと思うよ?ここはあたし帰るから、男の子同士楽しんだほうが…。」

そのほうが、あたしも気を使わなくていいだろうし・・・。一回目で一人はつらい!!

「そんなことないって!!この状況めちゃいじめやすいし!!」

爽やかな笑顔であんたは何言ってんの?

「ああ。別に帰ることはない。こいつらが勝手に盛り上げるだろう、テキトーにのればいいのだ。」

いやいや。そんなこと心配してないんだけどさ。

「ということで!!歌いまくるぞぉ!!」

ちょ、ちょ、ちょっと!!待ってぇ~!!


なんて感じで始まったカラオケ・・・・・・。

「KARASI!KARASI!オウイエス」

健人&慶人で“KARASI”まあ上手。あたしもプライドなど気にせず、タンバリンをたたきまくる。

「璃音タンバリン神がかっているよね!!うまい!!顔チョー真剣だし!!ゴルゴっぽい」

ゴ、ゴ、ゴルゴですって!?女の子にゴルゴ?

「健人だって歌っているときテンションあがりすぎて鼻の穴でかくなってたし!!」

「言うねぇ!!璃音…おっと間違えた、ゴルゴさん。」

「うるさい!!鼻デカ!!」

睨み合っていると“クスッ”と、どこからか笑い声が聞こえた。

今笑ったのって…隼人!?

「うわっ!!初めて見た。隼人の笑顔、ぎこちないな。」

「え?いま笑ってたのか?隼人のおならかと思った。」

クールだからか、よく健人にいじられているなあ。

「うるさい!!」

あはは、やっぱ来てよかっためちゃ楽しい。


帰り。

「バイバイ!!璃音。今日は楽しかった。」

「二人ともそっち?」

「あっ?ああ。きょうは・・・な。」

今日は?・・・・?まあいいや。一緒の帰り道の人は、隼人だった。

「璃音。今日は来てくれてありがとう。」

?なんで隼人君がそんなことを?今日は嫌々じゃなかったのかな?

「おお俺の家にこないか?」

マジで?!う、う、嘘でしょぉ~!?

「いやなら別にいいんだが。」

「行きます!行きます!絶対行きます!」

なんで?もしかして夢?!な訳ない

「じゃあどうぞ。入って。」

・・・・・・。白い壁の、青い屋根の、庭に花壇のあるかわいい家。

にあう


「あの・・・・・。今日は、俺お前に言わなきゃいけないことがあるんだけど・・・・、その。」

なんか照れてる…。かわいいなぁ。言わなきゃいけに事ってまさか“好きだ!!”とか。な訳ないけど。

「中1の時から好きだ。」

何を?学校のこと?まさか…あたし!?

「へ?へ?へ?だ、だ、だれが!?あたし!?」

「ああ。」

うそだ!うそだ!?うそだぁ~!!??へ?夢?これあたしの妄想?!馬鹿なあたしは全力でなぜか隼人を殴る。

「あっ!?ごめん。夢かと思って…。マジごめん。」

「俺のこと嫌い?」

う!?それはあり得ない!!なんで隼人を殴ったのかな?あたし。あっそうだ、あたし痛いこときらいなんだ。なんて頭の中で変なことを考えてしまった。

「ううん。嫌いじゃないよ!!むしろ好き。うれしすぎて何が何だか分からなくなって。」

「ならいい。」

満足そうに微笑む隼人。

「お前は今日から、俺様のものだ。」

隼人ってこんなこと言う人だっけ?

ていうか、キャラ違うよね。俺様系?

「隼人キャラ違わない?」

「まあな。俺様はキャラ変え王子とも言われたことがあるからな。」

・・・?キャラ変え王子!?

「へぇ~。クラスのツンツンキャラも、ダテ?」

「まあな」

ダテかよ!?まぁいいか。

「ほかのどんな男にもひかれちゃ駄目だぜ。俺のものだ。絶対。」

?!萌え系?ていうか、ツンデレのデレの部分!?初めて見た!!

「何赤くなってんの?食べたくなる。」

何系?!いやこうゆう系はいろんな意味で勘弁してほしい。

「くすっ」

笑われた?!こんな時は私から仕返しするの~

「隼人はあたしの何が好きなの?」

こんなこと聞かれたら困るに決まっている。

「全部。かわいいから。」

・・・!?無敵かよ!!

「あ、あ、あたしは。その。全部。」

なんであたしがこんなことを?!・・・?!顔…隼人の顔が!!真っ赤!!

「そ、そ、そうか。まあ、当たり前のことだ。」

かわいい~!いじめたい。

「顔真っ赤?!なんでぇ?」

「うるさい!!」

「なんでぇ?」

などと言うバカな会話を続けて今日が終わっていった。

でも、でも!!最高~!!!!














          2章    嫉妬

「でなっ。今週俺らVS華学でバスケの勝負することになったわけよ」

自慢げに話す健人。

「詩織と璃音試合見に来てくれない?“差し入れで~す!!”とかあったらチョーうれしいんだけど…。」

やるわけない。まあしてやってもいいけどそんな風にはしない。

「うちらはOKだけどさ。うちらだけでいいわけ?松村さんグループはいいの?」

松村さんグループ慶人、健人、隼人“3スターズ”の親衛隊“ローズシスターズ”の隊長松村 桃恵さん美人で大人っぽいあとついでに副長の中富 加代子さんかわいいけどちょっとチャラい。

「いいよ。あの人たちなんかアイドルのコンサート見にきたみたいなテンションで疲れるし恥ずかしいんだよね。前なんかさあ、うちわに隼人君ファイト!!って書いてあるやつあってさあ、ウケて、ウケて、ボール取られたし…ありえないから。」

なんて言うか、そういう人もいるよ。ほかにもきっと…たぶん。

「そ~、そ~、それから全くあの人たちと隼人しゃべってないよね。」

隼人照れているんだ。かわいい。

「じゃあ、今度は静かに応援するね。」

「ありがとよ。」

たのしみぃ。


帰ろうとして図書館の前を通ると。

「ちょっと河崎さん。最近3スターズの方々と仲いいわね。私たちローズシスターズのメンバーにならないかしら。あなたくらいなら副長越しも夢じゃないわよ」

ゲッ。なんで?あたしそんなグループ入りたくないよ~!!

「ごめんなさい。あたしは、グループで応援とか、親衛隊とかじゃなくて、友達として応援したいから。親衛隊とかに入っちゃうと、位置関係も変わっちゃうでしょ?だから、やめとく。」

「そう。残念ね。分かったわ、じゃあ私たちはこれからライバルね。正々堂々どちらが3スターズの隣にふさわしいか勝負といこうじゃないの。よろしく。では、ピアノのレッスンがありますので私はこれで失礼。」

ふんわりと薔薇のにおいを漂わせ、彼女はあたしの前をさっそうと通り過ぎて行った。


帰り道。コンビニの前で

「ほんとに来てくれるのか?」

と心配そうに隼人が私の顔をのぞく。

「もちろん。」

ちょっとの気がかりは、あの松村さん・・・。確かにうちわの件で隼人が彼女のことを好きになるわけはないけど、美人だし。バスケのことも絶対嗅ぎ付けているに決まっている。何を仕掛けてくるか…。

「璃音?なんか今日あった?」

隼人・・・。いつもより真剣な顔ということは、心配してくれているのかな?今日はちょっと。

「松村さんが…。」

「桃恵でいいですわ」

!?どこから声が?

「璃音。でいいわね?・・・、あら偶然。隼人様じゃあありませんか。あのときは申し訳ありませんでした。どうしても勝っていただきたかったので…ですが、辱めてしまったのも事実。もうあのようなことはいたしませんわ。ですから、もう一度試合を応援させていただけませんか?」

なっ!!図々しくない?

「ああ。あのことはもういいよ・・・。分かってくれたんならそれだけで十分だけど・・・。試合のことは、別にいいけど一応健人と慶人にも伝えておいたほうがいいだろう。」

いいの!?

「ええ。分かりましたわ。」

・・・。負けるもんですか。

「あたしもっ。試合の応援行くんだ!!」

「あら。そうなの、お互い精一杯応援いたしましょう。おっと、ほどほどに・・・でしたわね。」

絶対に隼人に“ありがとう”って言わせてやるんだから。

「すみません隼人様。少し二人だけでお話が。」

「ああ。」

二人だけで?!そ、そ、そんなぁ!!


気になる・・・。でも遠い・・・、聞こえづらい。

「~です。」

なんて言っているの?ぎりぎりまで近づくと

“だから、今日はわたくしの家に。”

“早く行こう!!”

という会話が聞こえた…。早く行こうって?桃恵のうちに?

「あら。まだいらっしゃいましたの?」

「ごめん!!今日はお前と帰れない。」

どういうこと?

「え?ちょっと!!」

「ごめん!!また明日!!」

そう言い残して隼人は桃恵と走って行っちゃった・・・なんで?


次の日の学校。

相当なショックを受けた。朝、隼人はいつも一緒に登校してくる慶人と健人とではなく、桃恵ときた。楽しそうに、ニコニコと・・・・・・。

「おはようございます。璃音さん、あら!!どうされたの?眉間にしわができていますわよ。寝不足かしら?ああ。獅子舞のまねをなさっていらっしゃるの?似ていらっしゃいますわよ。オホホホホホホ。」

獅子舞のまね?!そんなのするわけないし!!

「あら。おはよう…あれれ?目の下にくまができているよ?ああごめん。パンダのまねか、似てるよ最近ぽっちゃりしてきたものね。あ~ごめんね~。」

仕返し&秘儀、睨む!!

「ふん。」

「べ~だ!」


放課後

「おい。今日はなんか変だぞ。」

ふん!!“俺様のものだ”おれさまのことだけみて”とか何とか言っていたくせに!!

「知らないっ!!」

「朝のことはだなぁ」

!?そんなの気にしてないもん!何よ。あんたなんか・・・・

「朝が何よ!!あたしのこと好きとか言っておいて!!もう浮気?飽きっぽいんだね?あ~あ~分かりましたよ!!あんたなんか!!あんたなんか!!!25歳で結婚して子宝に恵まれて、豪邸に住んで、幸せいっぱいでブクブク太ればいいじゃん!!このメタボ!!!!!!!!」

言いたい放題言ってから、ダッシュ。

「待て!おい!!俺はまだメタボじゃねえ!!!」

否定するとこそこ!?ほんと意味わかんない?

とにかく我武者羅に走った。そこでついたのはなぜか怪談で有名な元体育館。今は、ぼろぼろのなんだか不気味な場所になっている。

ぎぃ~・・・

「誰もいませんよねぇ~。すいませ~ん。」

やっぱ帰ろう!!と思った時・・・足をひねってバランスを崩しあたしの大事にしているストラップがぼろぼろになった床の隙間に挟まってしまった。

「嘘でしょ~!?なんで?あたしなんか悪いことした?確かに隼人に悪いこと言ってしまったけど・・・そんなぁ隼人だって・・・・・・・。は・・や・・と・・・。」

“俺のものだ。”

「ごめん隼人。」

なんて言ってる場合じゃない!!う~ん。腕を伸ばしてストラップをとる。

「つかんだ!!うわぁ~!!!!」

痛~。がーん!!下に体重をかけすぎて床が抜けてしまった。

「もうヤダぁ~」

何で?今日はほんと嫌だ。ありえないから~。穴…深いな…立ってもぎりぎり背が足りない。こんなんだったらもっと牛乳飲んでおくんだった。

ぎぃ~。ごん。ぎぃ~ぎぃ~

何の音?何の音?

「そりゃあ、あんなにいろいろ叫んで恥ずかしくなって穴に入りたくもなるだろうけど…ほんとに入るやつがあるかよ。」

この声・・・隼人・・・?

「まあ、入りたくて入ったわけじゃないだろうけど」

ニッ。と笑ってストラップをぶらぶら揺らす隼人。あっ、ストラップ?穴に落ちるときつかんだストラップ放り投げちゃったんだ!

「隼人・・・・。おそいよ!!んもう。待ちくたびれたんだけど。」

「あはは。かわいくねぇ~な、助けてほしくねえの?」

!!

「ひどぉーいいもん。ぐすっ」

「なにも泣くことねぇだろ!!」

「嘘泣きだし。バカ」

隼人・・・、ありがとう

「それより昨日は何で桃恵と一緒に帰ってたの?」

これだけは聞かずにはいられない。

「桃とは親戚で、俺のいとこ・・・桃の兄ちゃんが久しぶりに帰ってきたから。」

なんだ・・・。

「ならいいや。」

「なにが?」

「べつに~ところで、さっきは何でここだってわかったの?」

ずっと気になっていた。校舎からここまで少しだけど距離がある。あたしの走って行った方向だけでわかることは難しいと思うんだけどな。

「ん~。勘、というか校舎の近くを探していた時スゲー音が、聞こえたから来てみたら、お前のストラップが落ちてた。」

スゲー音って急に変な音聞こえたら怖くてあたしだったら逃げちゃうな。

「隼人怖いの大丈夫なんだね。」

そういうところは男の子っぽいなあ。

「あ?ああ・・・・・・。」

?・・・。

「隼人知ってる?この近くにすんごく怖いって有名なお化け屋敷あるの。」

隼人の顔が一瞬ゆがむ

「ああ。一度でいいから行ってみたいと思ってた。」

ほんとに?体の拒否反応かは、わからないけれど冷や汗をかいている。

「行ってみようよ!!」


“怪談の館”なんて言う不気味な名前のお化け屋敷に二人で来てみた。本当は私も怖い思いをするのは嫌いなんだけど・・・。どうしても隼人のことが気になってきてみた。

「ほんとに入るのか?」

「当たり前じゃない!!怖いの~?」

茶化してみる。隼人の顔は真っ青・・・。なんか悪いことしちゃったかな?


「うぎゃー?!」

?!何?って、ただの鏡じゃない。

「はは、は。なんだ。俺様か。いやーイケメン過ぎて悲鳴が出ちまったぜ」

ナルシスト?誤魔化すこと下手だなぁ

「ねえ。いい加減離れてくれない?鬱陶しい。」

ずっとあたしの腕にしがみついてくる。

「あ?お前が怖くねえなら別にいいが。怖いかな?みたいな。」

なんて言いながら。あたしの制服の袖をちょっとつかんでくる。かわいい

お化け屋敷を出ると急に

「全然怖くなかったな。」

なんて強がり始めた。

「もう一回行く?」

「やだ。」

ふっ。やっぱ怖いんじゃん。まあ今日はかわいい一面も見れたしいいか。






         3章   まさか?!前編

珍しく朝早く学校に一人で登校したあたしは、やつの新たな一面を見た。

「よっ。うっしゃ!!」

「へ~。スポーツも得意なんだ…。健人って。」

それは、朝の静かな体育館でバスケットゴールに華麗にシュートを決めていた、健人だった。

「うわ?!いたんだ。」

「今来たの。ふーん、シュートすごいじゃん。」

「こんなの当り前だし。あっ、ごめん。お前はできないか~。」

ムカつく!!シュートくらいもっと華麗に決めてやるんだから

「できるもん!!」

「やってみろよ。」

ふん!!やったぁ!!ゴール!

「どうだ!!」

思いっきりボールをパスしてやる。

「おっと。危ねえなあ。じゃじゃ馬娘か。」

違いますぅ。おしとやかな乙女ですぅ。

「・・・・・・。」

急に健人が何もしゃべらなくなった。

「どしたの?」

「おいじゃじゃ馬。・・・、隼人とは、うまくいってるか?」

うつむいて小さな声で何聞いてくるのよ。

「当たり前じゃん。なんで?」

「・・・・。別にいいだろ!!もうすぐ隼人が来る。こんなところ見られたら叱られるから。行けよ。」

?こんなところ?意味わかんない、練習の邪魔だったらはっきり言えばいいのに。回りくどいな。

「はーい。がんばってね。」

微笑むとそっぽを向いて“ああ”って言った。健人らしくないなあ。


         ちょっと休憩。健人編

昨日あいつらがお化け屋敷に入っていくのを見た。なんか異様にムカついた。

放課後の体育館はもう使われていたから今日の朝バスケのシュートを打ちまくった。びっくりした、璃音がいた。

「へ~。スポーツも得意なんだ…。健人って。」

なんて言われた時。苦しかった。俺は・・・・。

あいつが、シュート打ってみせる!!見たいなこと言ってきたとき、うれしかった。カレカノ見たいって思って。隼人がうらやましい。でも、隼人を恨んでるわけではない。あいつはおれの親友だから…。馬鹿だな、俺。まったく聞く気はなかったんだ。ただ、璃音の気持ち少し疑ってたから。俺のことどう思っているか。でも正直知りたくはなかった。璃音のほんとの気持ち・・・。なんであんなこと聞いちまったんだろ?答えを聞いた途端耐えられなくなった。じゃじゃ馬。好きだ。とは、言えない。


           3章    まさか?!後編

教室に戻ると、健人の言った通り隼人がいた。やっぱ行動パターンは大体わかるんだな。

「おはよ。」

「・・・。こい」

急に隼人が階段にあたしを呼んだ。

「なに?」

「朝。健人と楽しそうだったな。」

みてたの?

「言っただろ。俺だけを見ろ、ってあいつは、あいつは・・・。お前が好きなんだよ!!」

そんなわけないよ。じゃじゃ馬とか、ゴルゴとか言ってきた健人があたしなんかを好きになるわけないって。

「ありえないよ、そんなの…。あたしそんなにもてるタイプじゃないし・・・。」

「ちげーよ!!俺はあいつとずっと一緒にいたからわかる・・・、それにお前は俺様が惚れた女だ。もてないわけがねえ。それとも何か?俺様に見る目がねえっていうのか?」

んな!?何言ってんのよ!!そういうキャラほんとテンパる。

「なにいってるの?そんな隼人・・・らしくないし。」

「うるせえ。お前はただ俺様の言う通り・・・」

「何が俺様よ!!いつも自分勝手だし。それならあたしが何しようと勝手でしょ!!」

あーもうむかつく!!俺様、俺様って!!

「はあ?俺様はいいんだよ!!」

「もう!!いい。隼人!!じゃあね!」

意味わかんないもん!!あたし悪くないし。隼人ばっかりずるいよ!!


そんな感じのケンカがあり、今日は一日あいつと口聞かなかった。

「ちょっと璃音!!今日なんか雰囲気悪いよ!!」

詩織が帰りに言い寄ってきた。

「なんの雰囲気よ。」

「もちろん、璃音と隼人君の雰囲気よ!!なんかお互い近づくなオーラが漂ってたよ」

近づくなオーラ?意味わかんない。あいつ何で怒ってるのよ!怒るべきはあたしでしょ。

「別に!!あんな奴どーでもいいし。詩織帰ろう!!」

「えっちょっと璃音?待ってよ!!」

ふん!!隼人なんて…隼人なんて…。

「おい、はやちん。璃音とどうしたんだよ!!」

くっ。そこは聞かないでおこう健人・・・。

「うるさい。健人黙ってろ。」

本で顔を隠しながら隼人が言う。学校キャラ守ってるつもりかよ。

「じゃあ、さようなら!!健人、慶人、塚田君!!」

「さようなら。河崎さん。」

むか!!知らない!!


詩織と別れてから、このむかむかした気持ちを抑えるために綺麗な夜景の見える丘に来てみた。やっぱいいなあ。いろんな悩み忘れられそう。

“お前は俺様のことだけ見ていればいい”

“お前は俺様が惚れた女だ!”

“あはは、かわいくねーな。助けてほしくねえのか?”

何で?なんで……こんな時に限って隼人の言葉が頭の中を回っているの?

「璃音!!元気ねえなあ。そんな時はやっぱここだよな。俺のお気に入りの場所。」

!?健人?!

「ううんべつに。」

「璃音今日朝から、元気ねえ。俺なんかしちまったか?」

健人は直接的には何もしてないけどさ・・

「ははーん。隼人と喧嘩したな。」

「え?なんでわかるの?」

「顔に書いてある。ウソウソ、勘。」

健人、明るくって優しくって、なんかその優しさが心にしみて…涙出そうになるよ。

そう思っていたら、そっと健人が横にきた

「泣くなよ。」

そっと頭を撫でてくれた・・・・。何で?今日は優しすぎるよ。仮にもドS王子でしょ?

「なんかキャラじゃないよね?いつもと違うし…なんかたくらんでる?」

「あはは、ひどいな…。雰囲気的にからかえないよ。」

なんか悲しい笑顔。心配してくれてるの?それとも・・・。

「璃音。隼人・・・嫌いになったか?」

隼人?

「もう知らないよ!!あんな自分勝手な人。」

本当に・・・・自分勝手で、わがままで・・・でもとっても優しくて。

「俺、あいつとは昔からの付き合いだからわかるぜ。あいつ本当に不器用だから…」

分かってるよ!!あたしだって昔からずっと隼人のことを見てたから。

「でも。もう我慢できない、分かんないよ!!隼人の気持ち勝手に考えて勝手に行動して!!あったしもうムカついた、というか吹っ切れた。未練も何も・・・・。」

ないもん・・・・。

「そうか・・・もうこれ以上隼人のことは言わねえ。だけど俺から一つ伝えておくことがある。」

伝えておくこと?どうせ、隼人はいつまでもお前のこと忘れねぇよ。とか何とか友情発言するんでしょ。

「何よ。」

健人が後ろに回る。

「こっち向くんじゃねぇぞ。・・・・俺は、誰かさんみてぇなおもちゃがねぇと面白くねぇ。」

は?おもちゃ?

「だから何よ」

「だから、ずっと俺のそばにいろよ。」

えっ。今・・・なんて?

「健人・・・・。」

「ダメ・・・か?」

・・・。健人の気持ちは嬉しい。でも、告白されて気づいたよ、隼人に言われた時よりドキドキしなかった。それどころか、気持ち悪いほど恋しくなった。隼人・・・・。あたしにはやっぱり隼人しかいない。

「ごめんねっ、健人・・・・・。気持ちは嬉しいし、健人のこと嫌いじゃない。だけど今やっと気づいたよ。あたしには、やっぱ隼人なんだってね。」

ごめん。ごめんね…健人。

「あははは、嘘に決まっているし。馬鹿だな、璃音は。」

へ?嘘?

「感謝しろよな。お前のほんとの気持ち教えてやったんだからな。俺最高のキューピットだな。」

にこっ、と笑う健人。なんだ…ウソか。でも怒りは覚えない、むしろ感謝してる。

「行けよ。」

急に声が低くなる・・・。うつむいてしまった。その時、あたしは見てしまった。

健人の頬に流れる一筋の光る涙。

ごめんね、健人。あんたの気持ちは私の心の中に大切にしまっておくね。

「ありがとう。健人。」

「ああ。頑張れ。」

本当にありがとう。いつまでも仲良くしてね、健人。













4章  隼人と璃音 ~前編~

隼人!隼人!!隼人!!!どこにいるの?あたしが悪かったよ。出てきて!お願い!!あたしを嫌いにならないで!!


とにかく町で隼人のいそうなところを走り回った。

なんでいないの?なんでこんなにも会いたい時に限っていないの?

この町で一番あたりの見渡せるビルの屋上にきた。・・・ここにも隼人はいない。

「なんでよ!!謝りたいのに本人いなかったら謝ったって意味ないじゃないの!!大好きなのに・・・・大・・好きなのに・・・・。俺様のくせに・・・・隼人・・・」

隼人・・・

「俺様で悪かったな。璃音。」

この声は、隼人?怒ってる?嫌いになった?怖くて振り向くことさえできない。

「はやとっ!」

振り向こうとしたら、隼人の腕か私に絡んできた。ギュッと抱かれた。隼人のにおい…。

「そんなに大好きか?俺様気分最高。朝はごめん、でも俺様はこんなキャラだから・・・嫌いになった?」

隼人のこえ、優しさ、あったかさ、全部全部が懐かしい。なんでかな?

「ううん。すごく、すごく好きだよ。隼人も、隼人もあたしのこと嫌いにならないで?」

「俺様が璃音のことを嫌いになる?ありえない。太陽が降ってくるよりもありえない。」

くくっ。そこまで好きなんだ。あたしのこと、

「じゃあ、あたしも地球がなくなるよりもありえないよ!!」

「クスッ。」

「あはは、ははは!」

隼人。隼人はあたしの全部だよ。いつかこの気持ち全部伝えられたらいいのにな。


ちょっと休憩2  隼人編

くそっ。何が自分勝手だ。俺様はいつも俺様だ。自分勝手は当たり前だろう。何がダメなのだ?大切にされるのは嬉しくないのか?鈍感な女だ。あいつはいつも鈍感だ、二年生の初めのころから熱い視線をぶつけてやっていたのに、気づきもしねぇ。それに、健人があからさまにお前のこと好きみたいな雰囲気なのに気付かねぇ。鈍感な女だからこそ、俺が守ってあげなきゃいけねぇんだ。それなのに・・俺様は・・・。

「璃音を守れる、合わせてあげることができるのは俺様だけだ。待っていろ!璃音!!」

とは言ったものの、なぜか知らないが全くいないんですけど。いったんクールキャラに戻り冷静に考える。

「あいつは、怒ったりムカついたりすると高いところに行く習性がある。ということは、景色の見える丘とか、高いビルとかか…」

も!もしかしたら。健人に!!こ、こ、こ、告白されているのかも!?な訳ないか・・・。あいつは俺のことずっと好きだったと言っていたからそれはあり得ないだろう。

「そうだ!!そういえば、よくこの町が見渡せるビルがこの近くにあるはず。」

と思ってきてみたが…

「いねぇじゃねーか!!」

さみしく一人で突っ込んでしまった。

まさか今頃、健人と璃音でラブラブイチャイチャ・・・・。ハハハ、ない、ない、ない、よなぁ。

「ちくしょー!!」

太陽に向かってそう叫ぼうとしたとき、

「隼人!!」

璃音の声が聞こえて屋上の扉が開いた。なぜか焦って水タンクの後ろに隠れてしまった、何やってんだよ俺様は。

「何でよ!!謝りたいのに本人がいなかったら謝っても意味ないじゃないの!!大好きなのに・・・大・・好きなのに・・・・。俺様のくせに・・・・。隼人・・・」

璃音。謝るべきは俺様だろうけどなんて言ったらいいんだ?でもこれ以上璃音に悲しい思いわさせるわけにはいかねぇ。

「俺様で悪かったな。璃音」

何言ってんだ!?謝るんだよ!!勇気を出せ塚田隼人!!

「はやとっ」

なんだかわけがわからず抱きしめてしまった。

そっちの勇気じゃねぇー!!謝る勇気だー!


とにかく言葉はあやふやだけど謝れてよかった。

俺様は璃音のこと一生嫌いになんかならねぇ。だから・・・嫌いになるなよ!!璃音。


     4章  隼人と璃音 ~後編~

なんやかんやで隼人と仲直りをしたあたし。

「ねえ、隼人。なんであたしがここにいるってわかったの?」

それだけは気になる。いつもほんとに来てほしいとき出てきてくれるまさに王子様みたいな存在。

「・・・?えーと…璃音って怒ったりしたら高いところに行く習性があるから。」

習性?!なんか言い方が嫌だ。

「ふーん。あたしのこと見ていてくれているんだ。」

?!今あたしさらっと何言った?

「ああ。いつも観察している。」

観察?!なんかあたし実験動物みたい。観察やら習性やら、ひどくない?

「あっそ。」

「あっそ。とはなんだ、あっそうとは。」

いつもこんな感じのケンカならいいけど、前みたいのはちょっとこりごり・・・・・。

「隼人!!」

「なんだよ・・・。」

隼人がこっちを向くと同時に隼人の右ほおに軽くキスをした。

「な、な、な・・・・」

隼人の顔も真っ赤だけど、あたしの顔も赤いと思う。だって人生初のキスですもの。

「隼人どう?うれしい?」

なんてこと聞いてんのよあたし?!

「当たり前だろう。うれしいに決まっている。」

なんてこと普通に言ってんのよ隼人?!

「馬鹿。あたしのほうが隼人のことずーとずーと好きなんだからね。」

甘えんぼキャラになってみる。

「ハハハ、俺様のほうが上だ。」

隼人だけ。あたしには隼人だけだから。








        5章     永遠の友達?

日曜日のことだった。お母さんから買い物を頼まれた。だるかったけど近くのスーパーによって帰るとき、近道のためちょっと人通りの少ない狭い路地を通った時のことだった。

「ねぇ、君この狭い路地どうやったら出れる?迷子になっちゃったんだけど・・・。」

あたしと同い年くらいのキャップをかぶった男の子と、その後ろに同じくらいのかんかん帽をかぶった女の子が話しかけてきた。どっちも顔は見えない。

「このまままっすぐ行くと大通りだけど、後ろに行くとスーパーにつくよ。どこに行きたいの?道案内するよ。ここいらは、詳しいから。」

「ありがとう。じゃあ、駅まで教えてくれない?」

そういうことで駅まで道案内をすることになった。不思議な子たちだな。なんであんなところで迷子になっていたんだろう?

「ここだけど。」

「やっと着いた。本当にありがとう、それじゃあ。」

気を付けて。


学校

「昨日、不思議な男の子たちが話しかけてきてさ。」

「不思議な男の子?!何不審者か?何かあったら俺様に電話しろよ。」

不審者ではないんだけどさ。

「何もなかったけど。」

「そうかならよかった。どんな奴らだ?」

「わかんないの。帽子を深くかぶって顔は見えなかったし。後ろに女の子が隠れていたんだけど・・・。」

ほんと、あの子たち不思議だったなぁ。

などと話していると、もうホームルームの時間になった。

「はいみなさん。今日は転校生の紹介です。」

転校生?

「柊木 智君という名前ですよ。妹さんが一つ下の学年にいるので、妹さんとも仲良くしてくださいね。じゃあ、柊木君は入って。」

柊木 智君か。

「初めまして!智ッス。仲良くしてくだせぇ。」

なんか元気な子だなぁ。でもこの声どこかで聞いたような…。

「あっ君は!!」

そう叫んで勢いよく走ってきた。

「昨日の、キュートガール!?昨日はありがと!名前は?」

あ!!昨日の道案内をした男の子か!へ―案外かっこいいな。

「名前?えっと、河崎 璃音」

・・・。ちょっと図々しい。ていうか・・・

隼人恐いよ!?本で顔隠しているつもりなんだろうけど、殺気が!?ん?手がグーの形で親指だけ下を向いている!?いやいや、恐いから、もうヤンキー越してるから。

「璃音かぁ。いいねぇ、璃音。俺の名前覚えておいてね。」

「はい、柊木君。まだ、ホームルームの時間ですよ。そういう個人的な自己紹介は後でしてくださいね。」

「あはは、はーい。」

先生ナイス!!あれ?慶人の顔がこわばっている。なんでなんだろう?


ホームルームも終わり、休み時間

「ねぇ、慶人。なんでそんなに顔こわばっているの?」

「慶人?!」

智が駆け寄ってきた。

「久しぶり!慶ちゃん。妹なら元気だよ!!なんだぁ慶ちゃんこの学校に通ってたんだ。会いたがっていたよ、萌音」

萌音?

「お、お久しぶりです。智様。萌音様はお元気ですか?それはよかった。」

智様?!萌音様?!

「ハハハ、相変わらず堅いなあ。まあそこが、慶ちゃんらしいけどさ。でももうそんな堅苦しいしゃべり方はいいよ。もうクラスメートだから。」

この二人になにがあったんだろう。

「なら遠慮なく。もう堅苦しい敬語はやめておくよ、智」

「それよりも、璃音。この校内案内してくれないか?広くて迷子になっちゃいそうだね。」

そうかな…。痛!急に後ろに引っ張られる。

「おいてめぇ。俺の璃音になに手出してんだよ。今日が命日になりたくねぇだろう?」

隼人!!学校キャラ崩壊してるよ

「ふふ、命日・・か。」

なんなのこの余裕逆に恐い。

「てめぇ」

隼人、やめなよ!と言おうとしたとき

「やめろ。隼人。」

慶人が智の前に立つ。

「なっ。慶人!!」

「やめてほしい。」

どうしたんだろう、なんかいつもの慶人じゃないみたい。まるで智の用心棒だ。

「大丈夫だよ、慶ちゃん。こんなやつ。じゃあ慶ちゃんが案内してよ。」

慶人?隼人がショックを受けている。

「はい。」

「ちょ、慶人どうしたの?」

「ごめん。隼人、璃音。」

慶人・・・・。


智が先生にこの学校のことをいろいろ聞きに職員室に行っている間に、あたしたちは慶人に、智との関係を聞いた。

「慶人!!どうしたのよ。智との関係は?」

「・・・。小さいころから、弱弱しかったあいつの、用心棒代わりを俺はしていたんだ。一応、俺も智もお金持ちであったから武道の一つも学んだもんだが・・・あいつはほんとに力がなくて、俺が守ってやってたんだ。そんな中の、ある日のことだった、俺たちは外で遊んでたんだ、ちょっと目を離したすきにあいつがいなくなっていて、あいつがいたところに一枚の紙が…誘拐されたんだよ、確か小3くらいの時。しかも皮肉なことに、俺と間違えて誘拐したらしい。」

知らなかった。智と慶人にそんな過去があったなんて。

反応から見て、隼人も健人も知らなかったみたい。

「一応、爺にも連絡して、俺はそのまま追いかけた。たぶん空き家だったと思う。そこに智は監禁されていた。助けようとしたが、ガキがいくら武道を会得しても年のかけ離れた大人数人に勝てるわけがない。捕まっちまったんだ。もうその時智はボロボロだった、犯人たちがいなくなった隙にあいつを逃がすのが精いっぱいだった。それからは・・・わからねぇ。気づいたら家のベットで寝てたんだ。そんで、ここは危ねえ、ってことで引っ越すことになった。ちょっと怪我がひどくてな、最後まであいつと会わず引っ越しちまった。全部、全部おれのせいだ。全部」

そんな!!慶人のせいじゃないよ。なんて軽々しい言葉言えない。

「すまねぇ。なんも知らねぇで。」

「いや。俺的にはもう一つ重要な問題があって。」

もう一つの重要な問題?こんなに壮絶な過去よりもすごい問題てなんだろう。あたしでよかったら力になりたい。

「その・・・・あのだな・・・」

もじもじした慶人が語ろうとしたその時

「慶人さん?!やっぱり慶人さんですよね!!」

聞いたことのない、かわいい声が教室の扉のほうから聞こえだ。

「萌音ちゃん!!久しぶり・・・・。あのときはごめん。」

そうか!智の妹さんだ!!会うのも久しいんだろうね。

「良かった!!生きていて、って大げさですよね。元気でよかったこの6年間心配していました。今後とも、私とお兄様をよろしくお願いいたします。あら?あなた方は?」

かわいい人だなぁ。

「俺は、塚田隼人こっちのガキは笠間健人、この美少女は、俺の彼女、河崎璃音だ、かわいいだろう?」

美少女!?恥ずかしいよ!!

「誰がガキだ!?」

健人も怒ってる。

「うふふ、確かにかわいい方ですね。それに健人さんも愉快で楽しそう。」

いい人だなぁ

「気を付けてね、萌音ちゃんこいつらは、サドとバカばっかりだから・・・・あっこの子は、あたしの友達の沖野詩織。」

「よろしくッス!!」

「うふふ、よろしく。詩織さん、璃音さんそれじゃあ」

萌音ちゃんが帰ったと同時に、慶人が大きくため息をついた。まさか・・・・。

「ねぇ、慶人、萌音ちゃんのこと好きでしょ?」

「な、ん、の、こと?」

明らかに動揺してる。

「ふーん。そうだったんだ。みーんなー聞いてくれー!!」

サドの健人が大声で叫ぶ。

「やめろ!!やめてくれ!!!やめてください!!」

かわいそー。これでうちらには、ばれちゃったね。

「やめなよ。健人。大丈夫よ!!内緒にするから・・・さて、この二人を両想いにする作戦なんだけど・・・。」

「やめてー!!!」

あはは、楽しい!!あたしって案外Sかもしれない。

「おい。楽しそうじゃん。何話してんの?」

智!!

「璃音。今日は、話があるんだ。来てくれないか?あっそうだ!!慶人もね。」

「気をつけろよ。璃音。」

「そんなやましいことはしないから大丈夫だよ。」

大丈夫、何かあったら隼人が守ってくれる。


屋上

「何?」

なんなのこの緊張感のある空間。

「璃音の彼氏は隼人なの?」

彼氏!?

「そうよ!!いつだって守ってくれるあたしの大事な人よ!!」

「いつだって守ってくれる・・ねぇ。」

智が、屋上の手すりに寄り掛かる。

「智!!すまなかった、あのときは。怖い思いをさせてしまって。」

慶人?

「いいんだよ。別に君のせいではない。」

「だがっ!!」

慶人は本当につらい思いを引きずってきたんだな。

「いいと言っているだろう?そんなに言うのなら、璃音と隼人を別れさせてくれないか?そうたら俺は嬉しい、あのことはなかったことにしよう。」

そんな!!

「慶人は何もしてないじゃん!!」

「彼がどうしてもと言っているんだ。」

ニヤッと笑った。智の裏キャラが出た。

「・・・。すまん。」

慶人!?

「智…。ごめん俺お前のことも親友と思ってるが、隼人、健人、璃音とも親友なんだ。」

「ふっ。ウソだよ、俺の伝えたかったことは」

そういった瞬間錆びついた手すりが不吉な音を立てた。

バキッ!

手すりが折れた。

「智!!」

「うわ!?」

必死に手を伸ばす智。

あまり智に近づいていなかったから手が届かない。智ー!?


パシッ!

慶人が智の手首をつかんだ。良かった。安心している場合じゃない

「慶人・・・、璃音・・・・どうして?」

「理由なんてないよ!!人を助けるのに理由なんていらないでしょ?」

「璃音・・・。」

くっ。力が足りない。

「智!!すまなかった、俺!!これからもお前と一緒にいたい。用心棒でも、友達でも何でもいいから!!」

慶人・・・・智…

「慶人・・・俺も!俺も友達としてお前といたい!!」

うわ!!隼人と健人が来て後ろから引っ張ってくれた。

「たすかった~」

「良かったなお前ら!仲直りしたみたいでよ!!」

隼人。やっぱり隼人はいい人だな。

「隼人。俺はお前と友達になるつもりはない。」

智!!酷いよ!!

「俺もだ。」

隼人まで!!

「俺らはライバルだ。」

「ああ。」

なんだそういうことか、って何のライバル!?

「行くぞ!!璃音!!今日はデートだ!!」

「行くぞ!!璃音!!この町を案内してくれよ!!」

は?ライバルってそういうこと?!メチャクチャめんどくさい。

「なんだとぉ~?璃音は、俺と遊園地デートするんだよ!!」

「遊園地デートなんていくらでもできるだろう?今日は、街を案内してもらう!!迷子になるとすごく困るしな」

ほらほら、また、面倒なことになってきたよ!!

「じゃあね!あたし、詩織と萌音と遊ぶから!!」

全力ダッシュ!!

「待て!!じゃあ萌音と慶人と、俺と璃音でダブルデートなんてどうだ?」

「何?萌音と慶人?!慶人!!どういうことだ!?」

今のうちだ!!

「待て!!璃音!!」

「璃音!!ダブルデートは?」

「何言ってんだ隼人!?」

バーカ!








         6章       恋愛

「おはよう!!璃音!!」

お、お、お、おはようじゃないよ!!智まさかの朝からリムジンでの登校ですか?

「お金持ちは違うね。」

嫌み交じりに言う・・・。

「そうだ。俺と結婚したら、璃音もお金持ちの仲間入りだぞ!!」

「いや、別にいい」

なんて話していたら、廊下から、

ドドドドドドドドドド―――!!

なんかすごい音が聞こえた、

「おい!!!!璃音に触るな!!!」

隼人の派手な登校

「うるせぇなあ。璃音も迷惑しているじゃん」

うん二人とも十分迷惑

「行くぞ!!璃音。こんなガキと一緒にいると馬鹿が移る。」

「それはこっちのセリフだ!」

うるさい!!!!

「ははーん。やきもちやいてるの?智く~ん。」

「んな訳ないだろ、地獄に帰れ。」

「こっちのセリフだ。」

あっ、詩織だ!!

「オハヨー詩織!!昨日さあ、お母さんがね、おみそ汁に入れる塩と砂糖間違えてさ」

あいつらは無視して詩織に話しかける

「あはは、何それ!」

やっぱりあいつらよりも女子同士のほうが気楽でいいわ

「無視された―!?」


帰り道

「おい璃音。」

「何隼人。」

いつにもまして真剣な顔

「もうあいつとしゃべるな。」

「何で?」

別にしゃべるくらいどうってことないじゃない。

「俺様は本気で妬いているのだ。」

ああ、そう、まあうれしいけど・・・

「じゃあしゃべるくらい許してよ。」

楽しいお話だってしたことあるじゃない・・・・。

「よし!!なら、一対一で話すのはだめだからな、それでいいだろう」

「あーもう知らない!!」

そんな約束を交わした数日後のことだった。


「え~っと、塚田隼人君は欠席です。」

今日、隼人欠席?珍しいなぁ。風邪なら帰りにでもお見舞いに行うかな?

「はいじゃあ、ホームルームを終わります。」

ふー。今日は何だか暇な一日になりそうだなぁ。

「璃―音!!今日はうるさい奴いないからさぁ。ゆっくりしゃべれるね。」

智がMax笑顔で走ってきた。

「ごめん智。隼人に、二人きりでしゃべるなって言われているから。」

あとで面倒臭くなるから…。

「え~。じゃあ内緒で会おうか、放課後」

だから・・・。

「じゃあ、そういうことでまた放課後!」

は?!

「え!?ちょ、待って!!」

智は走って行ってしまった…。自己中だな。まぁ、今日一日さければいいか。


放課後

「詩織!!今日は早く帰ってどこかで遊ぼうよ!!」

1~6時間目の中で智は一回も話しかけてこなかった。逆に気持ち悪い。

「珍しいね、璃音が早く帰ろうっていうの…。でもさ、隼人君のうちにお見舞いに行かないでいいの?」

そうだ!行かなきゃまずいよね。

「一緒に行こうよ!」

「二人の邪魔はしたくないから、璃音一人で行きなよ。あたし実は、萌音ちゃんと遊ぶ約束してあるから。」

え?!じゃあ、あたしも…。

「おっと、もう行かなきゃ、じゃあね璃音また明日。」

詩織?!おいてかないで&ヘルプミー!!!!

くそっ。こうなったらこそこそと早く帰ろう。


どうにか、学校の校門までこれたけど・・・。

「璃―音!」

マジですか?!聞こえなかったことにして逃げる!!

って、智足速くない!?

「追いついた、ひどいな、璃音聞こえなかったのかな?」

どうしよう!?そうだ!!

「ごめん、ごめん、ならさ、隼人のうちに一緒にお見舞い行こうよ!!それならうちに行くまでたくさん話せるでしょ!!」

ナイスアイデア!!なんか変なことがあったら、隼人の家に走ればいいじゃん!!

・・・。変なこと?変なことって何?自問自答

「ん・・・まぁいいけどさぁ。」

「じゃあいこ!!」


なんだか不思議なことに警戒していたこともなくただ楽しくしゃべって隼人の家についた。

やっぱり、智はいいやつなんだよ、今日は警戒しすぎた・・・なんか悪いことした。

「ねぇ、璃音。俺も隼人のお見舞い行っていい?」

「別にいいんじゃない。いいわけはあたしに任せて。」

ピーンポーン

インターホンを押す。

「は~い。」

フラフラと隼人が歩いてきた。

「え?!隼人大丈夫?」

「璃音か・・・。見舞いに来てくれたのか・・・・ありがとな。」

熱があるんだ…無理して出てきてくれたのかな?

「ん?智?」

「ああ、智はね、最近ここいらは危ないからって送ってくれたの。みんな用事があって。」

「ああ、でも俺帰るよ。」

え?一緒にお見舞いするんじゃなかったの?

「あとは二人でごゆっくり」

智?


「お母さんとかは?」

「仕事。」

そっか。

「大丈夫?ごめんね。なんか無理させっちゃった?」

顔真っ赤だし。

「だ・・い・・丈夫だよ。璃音が来てくれただけでほんとにうれしいよ。」

やっぱ無理してる。

「寝てて。できることはあたしがするから。」

「すまない。今日は、変な事とかなかったか?」

心配してくれてるんだ。

「すまん。下から薬を持っていてくれないか?」

「うん。」


薬、薬・・・。あった。水とかもいるよね。

「隼人・・・・!!隼人!!」

部屋に戻るとさっきよりひどくなってる!!

「大丈夫!?隼人!!隼人!!」

「ああ・・・・。薬あった?」

「あったよ!はい。早く休んで!」

「ありがと」

なんでなんだろう?ほんと何もできない。

役立たずにもほどがあるよ。隼人なら…こんな時きっと行動を起こしてくれると思うけど何をどうしたらいいか分からない。心配しか出来ない。

「心配してくれてありがとう。俺もすぐに治さなきゃな。」

隼人があたしの頭を優しくなでてくれた。隼人

「はやく治してね。」


次の日

なんかわからないが、元気に登校してきた隼人。彼の生命力は半端じゃない。

「おはよう!!璃音。昨日はサンキュー!!」

病み上がり…だよね?

「おはよう・・・治ったの?」

「おう。璃音のおかげでな!熱も下がった。」

ミラクルな奴だ。そう思っていたら

「隼人。俺からお前に決闘を申し込む。」

と、智か叫びながら走ってきた。

「は?決闘?何の?」

「璃音をかけての決闘だ!!どうだ?お前も男だろう?」

・・・・。迷惑だし、決闘ってなんか古くない?

「待て!!隼人、智!!智お前は昔から弱いだろ?こいつにはかなわないし。校内でそんなのがあったら退学、または停学だぞ!!」

慶人が間に入る。

「じゃあ放課後公園ならどうだ?別にいいだろう?」

「ちょっと待って!!隼人は病み上がりだよ?そんなのしたら危ないし、あたしも迷惑だよ。」

あたしも反論する。

「どこが病み上がりだ?こいつは元気じゃないか。それにいつまでも俺たちで璃音を取り合っていたらそっちのほうが迷惑だろう?決着をつける。または、こいつが気に入らねえから決闘を申し込んだことにする。」

そんな・・・。まさか・・・昨日一緒にお見舞い行こうって言ったのは?嘘だよね?智はそんな人じゃないよね?それに、隼人も受けるなんて言わないよね?こんなことのために無理しないで・・・。

「いいだろう。そのかわり、俺が勝ったら、もう璃音にかかわるな。」

「待って隼人!!ダメだよ!!」

やめてよ!!

「ああ、その代わり俺が勝ったら、璃音と別れろ。」

「やめてって言っているじゃん!あたしの気持ちは無視するの?酷いよ!!」

あたしは前からずっと前から・・・・・

「そうだ。一番大事なものをお前たちは忘れている。二人ともいっぺん頭を冷やせ。」

慶人が一番わかってくれているなんて。呆れた・・・・。

「行こう。璃音。」

「うん。」

「璃音。」


「あいつらバカだからさ・・・許してやってよ。ヤンキーにあこがれているんだよ」

慶人と屋上に来ている。

「わかってるんだけどさ。もう暴れまわりすぎて、あの二人ウソつくのが当たり前になってるんだよ・・・昨日だって、隼人のお見舞いに、智一緒に行ってくれたんだよ。なのに、今日は病み上がりの隼人に決闘?意味わかんないよ。男の子の考えてることってわからないよ。」

「だよね。俺もわかんない。だけどさ、あいつらもそれだけ君が好きなんだよ。」

ははは。そんなのあたしが迷惑するだけだよ・・・・。好きってそういう風にしか表せないのかな?

「きっともうすぐ隼人が来るよ。俺は智を慰めにでも行くか・・・・。」

「ありがとう。慶人、あたし正直ショックだったよ、一番あたしの気持ちわかってるのが慶人だけで。そんなことないかもしれないけどさ…。慶人も萌音ちゃん泣かせるんじゃないよ!!」

でも・・・きっと隼人はわかってくれてたんだろうな・・。表現できなかっただけで・・・「俺は隼人みたいな間違いはしないよ!!」

あたしもしないよ。


屋上で待つこと5分。決心するのに時間がかかったんだろうけど、おそいよ!!女の子をこんなに待たせるとは。

「璃音。俺、あいつが嫌いだ。あいつと楽しそうにしゃべってる璃音も嫌いだ。」

「あたしも嫌いよ。智と喧嘩して勝手にあたしを巻き込む隼人が嫌い。」

「だけど、俺、璃音は、俺と一緒にいる璃音は大好きだ。こんなに好きなのに表現の仕方がわからなくて、どうしたらいいか分からず。いつも…。悪いとは思ってる、でも、俺こういう性格だから、俺様で、わがままで、自己中で、ダメダメな俺だけど。」

分かってるってそんなことくらい。

「一緒に、これからも一緒にいてくれないか?」

当たり前じゃん。あたしだって同じ思いなんだから。

「どうしようかな?だってこれからもこんなことあると迷惑だし。面倒くさいし。」

ちょっと意地悪してみる。

「なっ!?じゃあ好きって証拠見せればいいんだろ!!」

は?!証拠?!

「こいよ。」

「え!?ちょっ!!」

目をつむって待つ

「・・・・。何してるんだ?」

「は?!何してるんだ?じゃないよ!!」

「ポケット見てみ。」

ポケット?中を探るとそこに入っていたのは、一通の手紙

ラブレター?いまどき古くないですか?・・・・隼人と智ってなんか考え似てる・・・古いところとか・・・

そんなことを考えながらも手紙を見てあたしの顔は熱を帯びた。

「大事にするねっ」

「俺もお前を大切にする」

「だいすき」


手紙に入っていたもの

あたしと隼人が写っている写真。そこに堂々と描かれていたのは、愛々傘だった。


END


※この物語はフィクションであり、人物名などは実在の人物・団体等には一切関係ありません。本書作品・写真等の無断複写・転載を禁じます。



ここまで読んでくださった方々へ

初心者なので、もしかしたら誤字などがあったりするかもしれません・・・

作品を書いている中、たまに隼人のキャラがわからなくなったりもしてしまいましたが、自分なりに頑張ったので大目に見てくれたらうれしいです。

本当にありがとうございました。

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