同盟?〜ベルゼブ&アスタノト〜
ベ「……」
アス「黙ってたらわかんないよ?」
ベルゼブVision
現在よりも前の時間
カキンッ
「……くっ」
「ちっ」
……何だ、こいつ?いくらバハムートを倒したからってここまで俺と互角なんて、馬鹿な事が
「……はぁっ!」
「ふっ」
パキンッ
互いの剣が折れた、そのタイミングに合わせて詠唱破棄をした魔術を叩き込む
「……『カースドエンチャート』!」
……灰塵と化す炎を打ち出した。これで終わりだ
「『波の平面』」
……そう思ったらあいつも詠唱破棄した魔術をぶつけてきやがった
互いの魔術がぶつかり、蒸気となる
「……流石にバハムートを倒しただけはある。だがここからは本気で行く、覚悟しろ」
「今までのは本気じゃなかったのか。こりゃあ結構しんどいな……」
……そうは言ってるがあいつの顔には余裕の表情が見て取れる。だったら……
腰に手を伸ばして俺が『幻影』と言われる故の武器を取り出す
「……」
パァン
……終わったか
「成る程、お前の本気は『銃』だったかのか。『幻影』の名も分かるな。初めて見た奴は何が起こったも分からずに死亡、正しく幻影だな」
「何だと!?」
……まさか、こいつまでかわすとは……思ってもみなかったな。それどころか銃についても知ってる風だった
「銃か……魔界では入手不可に近いのか……」
「……そうだ、こいつは俺だけしか持っていない」
「ふーん……つまりお前も喰らった事はない、そういう解釈でいいか?」
「……ああ?それが一体何…」
パァン
「……痛っ!?」
「やっぱし、お前自身もこの幻影の速さには着いてこれないのか」
「……お前……何を……」
「今お前がしたことと同じ事をしただけだ。尤も、銃弾には『速出』の魔法を使った、だからお前の銃弾の二倍の速度ってわけだ。追い付けなくて当然」
「……銃まで……」
……俺と同等の剣術
……俺と同等の魔術
……俺と同じ武器
……何だ?
「……お前は一体何なんだ!」
「俺はゼレカ・ストイ……いや、どうせだから本名でいいか。ゼレカ・ハヅキ、人間さ」
「……人間だと?」
「といっても、今は『魔神』であるわけだけど」
「……魔神……悪魔の神。ふんっ、バハムートを殺ったぐらいでいい気になんなよ!!はぁぁぁあ!」
「『大魔王化』か。だったら……」
「弾けろ!俺に従い、終わらせろ!『大魔王化』!」
……俺の周りに赤い炎が舞った。俺の魔王化の能力の一つ、これならあいつを殺れるはずだ
「……化』」
バサッ
あいつも黒のローブを纏った。おそらくあれがあいつの魔王化なんだろ
「……最後に名乗っておく、『ベルゼブ・セクタイト・ネメシス』だ」
「最後とはまた余裕だな。『ゼレカ・ハヅキ』、さっき名乗った通りだ」
「……お前は俺が今までにあった奴の中で一番ましな奴だった。だから敬意を払ってやる」
「そいつはどうも。あっ、質問してもいいか?」
「……何だ?」
「お前はどうして孤独なんだ?」
「……何を…」
「さっきまでの戦い方をみていると、明らかに欠点の無い動きをしていた」
「……それが?」
「不自然なまでに一対一の状況、若しくは一対多の動き方だったろ。どう考えても他者をあてにしてないスタンドプレイだと思ってな」
……こいつ……
「……お前が知らなくていいことだ」
「ふーん……でもな、誰かに頼るのもいいもんだぞ?」
……
「……うるせーんだよ!!」
カキンッ
「お前に、お前に何がわかる!!俺の、あいつの何が!!」
パンッ
「……」
「わかったような事を吐かすな!!!」
パリンッ
……怒り任せに剣を振り、銃を打ち、互いの剣が砕けた
「わかるさ。お前、随分苦しんでたんだろ?」
「何で…」
「剣を交えて半分。後は、知り合いに似てたからだ」
「……」
「そいつも、やれ俺は孤独だ、やれ俺は誰にも理解されないだと言ってたからな」
「……」
「結局、そいつは他人の存在の重要さに気付いて、少しずつつながりを増やしていったんだ」
……こいつは胸に手を当てて何かを思い出したかのように語ってきた
「どうだ?お前も、他人とのつながりを持ってみないか?」
…………差し延べられた手を振り払おうとした。なのに、俺はその手を振り払えなかった
「……ろう」
「?」
「……いいだろう。同盟を認めてやる。ただし、『仮同盟』だ」
「ふっ。ありがとよ」
アスタノトVision
へぇ〜珍しいなぁ、お兄ちゃんがあんな事言うなんて
「……アスタノト」
「なぁに?」
「……仮同盟なら結んでもいい」
「うん!じゃあ早速サインするね!」
「……ああ」
「!?」
少しだけお兄ちゃんが笑った!?見間違いでも何でもなく、確かに少し笑った
「……何話してたの?」
「……ちょっと、な」
「ふ〜ん♪」
「……何だ?」
「久しぶりにお兄ちゃんが笑ったから」
「……そうか?///普段から笑ってるつもりだったが」
良かった、少しだけだけど昔のお兄ちゃんみたいになって
「ふぅ、にしても『大魔王』相手だと辛いな」
いつの間にかゼレカさんが元の姿に戻っていた
「……バハムートは殺ったんだろ?」
「俺一人の力じゃないけどな。あいつの能力が面倒だったから主から力を貸してもらったんだよ」
「主って、エレスが?」
「うん」
…………一応確認しとこうかな
「その……ゼレカさんは、エレスが『赤血』だって知ってるの?」
「知ってるよ」
「………じゃあその血を飲んだ時の作用は?」
「ああ、そういうことか。俺は別に赤血目当てでエレスに近付いたわけじゃないよ。寧ろ、毎日毎日吸われ続けてる」
「吸われ続けてる?エレスは赤血以外は吸えないはずだけど…」
「俺、つーか人間は全員赤血なんだよ」
「…………え?」
ベルゼブVision
……さっきから何を話してるのか全く分からない
「……まだサインしないのか?」
「あ、忘れてた。………はい、書けたよ」
「確かに受け取りました」
「エレスに『今度遊びに行くね』って伝えといて」
「うん」
「……最初と態度変わってるな」
「ん?ああ、とりあえず最初は礼儀正しく振る舞ってるんだ」
「……振る舞ってる、か」
「んじゃあ俺はこれで」
こいつの周りに魔法陣が現れて、身体が消えていった
「……ゼレカ」
「期限良かったねお兄ちゃん」
「……なかなか面白い奴だったからな。久しぶりに思いっきり闘りあえた」
「そっか〜」
……また闘りあおうぜ、『夢幻』
「あのー、私も居たのですけど……」
アス「あっ」
ベ「……そういえば居たな」
レ「居ましたよ!最初からずっと居ました!」
アス「落ち着きなってレイレイ」
レ「それに、そろそろ本名出してもいいじゃないですか!」
ベ「……却下」
レ「何でですか!?こうなったら意地でも言わせてもらいます!私の名前はレイ…」
アス「時間切れ〜♪」