乙女か!
デ「事情により紹介はお休みです」
――リリードネメシス
「到ちゃ…ぐふっ!」
何だこの紙量……
「……来たか、さっさと手伝え」
「一体何をやらかしたらこんな量になるんだよ?」
「……お前が何も話さずに一人でカタンテア……ヘルヴォートに突っ込んだからだ」
「えーっと『連合条約』『後継者』『統一合否』……こんなに書類あるのか」
「……ああ。これに懲りたら一言言え」
「そうする。流石に何度も魔王相手にしてたら……『食糧改善』?」
「……」
「『建築許可』『強い武器が欲しい』『仕事が無い』……おい」
「……何だ?」
「まさかとは思うが、九割以上お前の執務じゃ…」
「……ソンナコトアルワケナイダロ(棒読み)」
「バレバレじゃねぇか!なんだその棒読み、明らか嘘!正にヘタレじゃねぇかよ!」
「……おい、最後おかしいだろ」
「触れないって言ってたぞ」
「くっ!メフィストのやつ……」
「乙女かお前は!触れて気絶って、恋する乙女か!」
「……そういうお前はタラシだろ!会うやつ会うやつみんな恋人か!」
「そんなわけないだろ!大体タラシって言うな!」
「ならヘタレと言うな!俺はヘタレじゃなくてそういう耐性がないんだよ!」
「ぜぃ……ぜぃ……」
「……はぁ……はぁ」
くっ、息が切れた。ベルゼブもみたいだけど。何時以来だっけなこんなに言い合いしたの……
ん?そういえば……
「アスタノトは?こういうやり取りをしてる時っていつも居た気がするんだが」
「……今謁見中だ」
「あぁ………初めて会った時のあれか。お前の事だから廃止にしたのかと思ってた」
「……俺も廃止にしようと思ってたんだが、お前や部隊のやつらに会って気が変わった」
「………ぷっ!」
思わず吹き出した
「……何だ」
「お前、初めて会った時と性格変わりすぎ」
「……変わったか?」
「変わったさ。初対面のやつにいきなり闘い挑んこと考えると革命並に」
「……そんなこともあったな」
「さて、と。それじゃあこの書類の山を片付けるか」
「……ふっ、やっと手伝う気になったか」
「部下の願いを聞くのも隊長の務めだ」
「……ありがとな、隊長」
「お互い様だ」
それからしばらくは黙々と書類を捌き続けた。けど暇だ……。というわけであの話を持ち出すか
「そうだ、メフィストから伝言預かってきたんだ」
「……?」
「『終わったらゲノムルーツに来て』だって」
「……は?///」
「ん?どうした。男が真っ赤になってもなんともないぞ」
「……隊長、いやゼレカ。相談に乗れ」
「(想像はつくけど)何だ?」
「……お前はエレスナーグと、い、いつもど、ど、どうしてるんだ?///」
「んー……キスから始めて」
「キス……!?///」
「その後は押し倒すか無理矢理押し倒されるかして…」
「待て、それは普通じゃないんだろ?///」
「そうか?俺が人間の時だって恋人とは5、6歳の頃からそういうことしてたしな……」
「わかった、わかった、もういい、俺には出来ないということがよく分かった!!///」
「じゃあ………アスタノトにしてる時のようにすればいいだろ」
「……そういえばあいつには普通に触れるな」
「えっ………まさかお前、シスコン拗らせて襲っ……」
「してない!!いくら俺でも妹に手を出したりは………して……な…い…ぞ?」
「……」
「……」
「………出したんだな」
「……出してない」
「じゃあその沈黙は何だ?」
「……俺『は』出してない。変な薬飲まされて理性失った時にそんなことがあった気がしなくもないが……」
「魔界は人間界と違って血縁同士でも、女性同士でも、重婚もできるんだからいいんじゃないか?」
「……そうだけどな」