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君の笑顔を……

デ「終了ー」

エレスナーグVision



――ニンブルケティック・冥府の丘――






「どうして………」


大天使が逃げてからソルもゼレカも意識を失ったまま目を覚まさない


あの時私が大天使を倒せていれば、二人が傷つくこともなかったのに……


私にもっと力があれば、そうすれば……


なのにどうして……


「どうして私には力がないの!?」


私はこのニンブルケティックの魔王なのに!


こんな……


こんなんじゃ……


「力が欲しいかい?」


「!?」


後ろから突然声が聞こえてきた。油断はしてたけど気配に気づけなかったみたい


「あれ?あなたは……」


どこかで見た顔……たしか……


「お忘れかな?同じ連合軍の《カタンテア》の魔王、スゥオークだ」


ああ……そういえば


「そうだったね。それで、さっきの言葉は?」


「聞いたままさ。力が欲しくないかい、とね」


……力


二人を守れる……力


私は……


「欲しい……力が……」


「ふっ……そうか。なら……」


待ってて、ソル、ゼレカ。今度は私が守るから!






ゼレカVision


目が覚めたら、ベッドにいた


「ここは………俺の部屋か……っつ!」


腕が、脚が、背中が、体中が痛む


たしか、ヴァジラに刺されたり吹っ飛ばされたりしてたっけ……


「……そうだ!!こんなことしてる場合じゃねぇ!」


急いで扉を蹴り開ける。身体が軋んでるなんて気にしてる場合じゃない!


「わっ、と。気をつけて……って、ゼレカさん!?」


「クレアか!エレスがどこかに居るか知らないか!?」


「姫様ですか?そういえば先程から御姿が見当たりませんけど……」


「くっ!」


ヤバイ、早く見つけないと……


「どうしたんですか?そんなに慌てて」


「今回の調査隊の件は事故じゃなかったんだ!」


「事故じゃないって、じゃあいったい……」


「人為的に仕組まれた罠だったんだよ!それにその中に連合軍の奴が絡んでやがる。そいつが裏切ったんだ!」


「う、裏切った!?何で連合軍を裏切る必要があるんですか!?」


「ああ。普通はそんな必要ない。だが、そいつがニンブルケティックだけを目標にしたらどう考える?」


「この世界だけっていうと……あっ!」


「まず間違いなくエレスが目的だろ」


赤血……体内に摂取することによって膨大な力を得ることができる血液


「で、でも、どこの魔王が裏切ったか分からなければ捜しようが…」


「その見当もついてる。…」


「カタンテア……ですよね?」


不意に、後ろから声が聞こえてきた


「ソル!?」


「駄目ですよソルーティア様!まだ安静にしてないと!」


「くっ、ゼレカさん、間違ってましたか?」


「いや、そうだと思う。でもなんで分かったんだ?」


「以前、ヘルヴォートを倒したと…報告された時の事を覚えていますか?」


「ああ。そういえばあの時……」


なんかソルの様子がおかしかったな


「本来、ヘルヴォートはカタンテアの内部にあったのですが、カタンテアは連合軍に加盟するにあたり、表立って悪事が出来なくなってしまった」


「それでヘルヴォートを……」


「はい。元々、カタンテアは世界を支配下に置こうと考えていましたから、力を欲しているのは当然です」


「……ありがとうソル。それだけ分かれば十分だ」


「エレスを、助けてあげて下さい」


「言われなくても助けるさ。クレア、ソルを頼んだ」


「はい。ゼレカさんも気をつけて」


「ああ!」


エレス……俺はもう間違えないから……


君を、悲しませたりしない……


カタンテアを思い浮かべ、テレポートを発動して思いっ切り跳ぶ






エレスナーグVision


―カタンテア・信仰の塔―



「まさかこんなに簡単に引っ掛かってくれるとは思わなかった」


「本当。単純だよね」


「スゥオーク様、ご苦労様です」


「……くっ」


騙された……まさかカタンテアが裏切ってたなんて。早くこの縄を解いて皆に知らせなくちゃ


「おっと、残念ながらこの縄はノロイの魔法が掛ってるんだ」


「理解。僕の特別の魔法だよ」


「ノロイ。あまり調子に乗っては駄目ですよ」


「まぁいいじゃないかレウル。こいつは実際強えんだし」


「現実。そうだぞレウル」

「やれやれ……」


魔法……だったら


「………我が身に刻まれし魔王の力。我が呼びかけに応え、その力解放せよ。『魔王化』!」


これで普通の魔法なら全部無力化できる!


「ほぅ……それでどうする?」


「しってるでしょ。魔王化なら普通の魔法を全て……無力に……あれ?」


縄は今だに私の両手を縛っている……なんで?


「たしかに、魔王化は他の悪魔達と区別できるように普通の魔法は効かない。『普通』の魔法なら、な」


「驚愕。僕の力も見せてあげる。我が身の魔王よ、我に応え、解放せよ。『魔王化』!」


「……っえ!?どうして魔王じゃない悪魔が魔王化を……」


その姿は骨を纏ったようで、魔王特有のまがまがしい魔力が滲み出ている


「ふっ。大天使が俺達に力をくれたんだよ」


「大天使がっ!?」


そんなまさか……


「おかげで俺は魔王も大魔王も越えた存在になったんだよ!!これで世界を支配できる、だけどその前にもう少し力が欲しいんでね。その為にお前をさらってきたわけだ」


「……私を……殺すの?」


「そんなもったいないことするかよ。せっかくの赤血、それも女なんだぜ?」


「………」


ゼレカ……ゼレカ……


ごめんね……私が弱いから


守れるようにっていったのに……


我が儘なこと言って……


「もう一度……あなたの顔が、見たかったな……」


――


『俺は君の事が好きになったよ』


――


初めて言われたあの言葉……


お父さんやお母さんやソルに言われるのとは違う言葉……


「………ゼレカ」


バァンっ!


「ん?」


「不明」


「あれは……」


勢いよく扉が開いた


その主は、真っ白なこの部屋には不相応な程黒い格好で、左右の目の色が黒と緑だった


「待たせたね、エレス」


「ゼレカ……っ!」







ゼレカVision


「痛っ」


着地には成功したのに、全身痛んでやがる


俺が思ってる以上にダメージが残ってるのか


でも……!


「エレスが待ってんだ。俺の身体なんて知ったことか!」


目の前の巨大な塔の中に入り、その螺旋階段を上る


「はぁ…はぁ…」


…………なんだか見覚えがあるな……今の俺……


前にもこんなふうに疲れ切って走ってた


『コンどモマニあわナいンジャネぇか?』……!!くそっ、また……


『アア!ドウスレバいい?マタウシなうのか?一人ニなるのか?』


だまれ……


『目の前でコロサレるのか?』


だまれ!!


『アア、ゴメンよ梨絵、多矩夜、英司、カナ……』


だま………えっ?


『ア?ドウシタ?』


今、なんて……そうか……


『ナンダ?』


「ふっ、ははは……ずっとお前は俺だと思ってたけど、お前は俺じゃない!」


『ハァ?俺は正真正銘葉月零花ダ!』


「違う!お前は葉月零花じゃない!お前は……『葉月霊花』だ!」


『……』


「お前は歪んでた俺だ!一人ぼっちだった、空っぽの俺だ!!」


『……チッ』


それっきり声が聞こえなくなった


………よかった、零花(俺)はゼレカ(俺)だった……


それだけ分かれば、もう怖くない


華娜衣……いや、叶


零花(俺)はお前を忘れないから、ゼレカ(俺)は他のひとの為に覚悟を決めていいよな?


最上階であろう、大きな扉を蹴り開ける


バァンッ!


そこには紅い衣を纏った少女が、見間違えるはずもない彼女がいた


「待たせたね、エレス」


「ゼレカ……っ!」


「お前は……」


「スゥオーク!やっぱりお前がアシュラと!」


「その通りだよ『夢幻の魔神』。あの天使が忠告したのがよくわかった」


「エレスは返してもらうぞ!」「それは無理な相談だ。それより……」


「油断。後ろに注意!」


異空間から剣を取り出し、振り返り様に斬り掛かる


「わかっているさ、そんなこと」


くっ……強がってみせても、身体が悲鳴を挙げてやがる


詠唱を破棄して雷を上方に放つ


「上のそいつもな!」


「なかなかですね」


「意外。こいつ強いな」


それはこっちの台詞だ。いくらダメージがあるからって魔王以外の奴がこんなに強いか?


「ノロイ、レウル、もう少し止めてろ」


「了解」


「はい」


「はあぁぁぁあ!!」


「何だ!?」


ふたりまとめて戦っててもスゥオークの方を視認する


「魔王化か……」


「ゼレカ、気をつけて!そいつアシュラから力をもらってるの!」


「何!?」


「はっははは!これで俺は無敵だぜ!!」


骨の様な鎧をつけてその上から土らしきものがかかってる。あいつの姿から見て、恐らくこのガキも魔王化してやがるな……魔王でもないのに


「厄介極まりないぜ……」


ただでさえ身体が言うことを聞かないってのに、魔王補佐と魔王クラスと大魔王クラスの奴相手かよ!


「レウル、ノロイ、もう少し止めてろ!」


「作戦。りょーかい」


「わかりました」


魔王補佐の方が突っ込んでくる


「お前ひとりで俺が止められるとでも?」


「そんなつもりはありません、よっ!」瞬時に雷が放たれた


「詠唱破棄!?まさかこいつも……」


「よそ見してる暇はありませんよ」


次々と火球、雷撃、土塊が襲い掛かってくる


「くっ!」


「成功。捕獲完了」


退いた先に魔法陣が出現した。これが狙いか!


「ちっ!」


「静聴。僕の魔法は特別でね。拘束に優れてるんだ。スゥオーク、早く早く」


だが、こんなもん!魔法陣という特性を利用して全方位に魔力を放出する

「驚愕。あの拘束を解くなんてね」


俺も驚きだよ、破るのに殆どの魔力を使っちまった……


「スゥオーク様、作戦変更です!」


「分かってる。喰らいな、俺の最大最強魔法!『ギガンテックデモリッション』」


とても小さい土の球が放たれる。そんなもの、今の俺でも避けられる!


「避けてみろ。後悔しないんであれば、な」


土球の直線から横に跳んだ後で念を押してきやがった。後悔だと?


「っ!?」


いつの間にか、俺は誘い込まれてた……エレスの前に!このままだったら確実に当たる。今からだと、エレスを連れて避けるのは間に合わない……


「終わりだ!!」


そうだ……今のまま喰らったら確実に死ぬ


守る事は考えない、身体全てで球を防ぐ


「がっ……!」


「ゼレカ!!」


俺に触れた瞬間爆発が起こった。俺には何があったか理解出来てない


まともに腹に直撃し、

貫通こそしてないものの腹部が大量の血を噴き出しながらぽっかりえぐれている


「はっははは!いくら魔神でも、この技の前ではただの雑魚!」


「強力。おお!スゥオークの魔法前よりも強くなってる」


「だろ?」


『あっははは!』


どくどく


血が流れ、身体がゴッソリ……無くなっていく気分だ。結局俺は負けたのか……やっと、自分と決別したのに。所詮……この程度か


「……カ」


これで終わり……何もかも……意識が暗く、暗く沈んでいく……


「ゼ…カ」


……呼んでる?誰だ?


「ゼレカ、ゼレカ!!」


エレ…ス?君が……俺を?


「やだ、死んじゃやだよ!!」


死ぬ……?俺は……また……何も出来ないで……


「お願い……お願いだから……死なないで……」


何かが俺に落ちてきた。温かい……これは……涙?何で……君は泣いているんだ?……そうか。俺が……俺が泣かせたのか


「エレス……」


力を振り絞り、名前を呼ぶ


「ゼレカ!!」


「もう……泣かなくていいよ。何も、怖いことなんてないよ。俺が……傍にいるから。だって俺は……魔神だから」


「うん……うん……」


俺の血濡れた右手をエレスの手が包んで、とても温かい……


俺は、守りたい。この温かさを、この笑顔を……!!


「君の笑顔を……守りたい!!」


それが俺の気持ちだ!!


「なに、これ?」

腰に差している剣から闇の魔力が溢れる


その闇が俺の全身を包み込む


「傷が……」


身体の痛みが無くなっていく、その代わりにエレスの温かさが身体に満ちてくる


そうだ……これは……


真っ黒なマントを羽織り、右目が紅く輝く


そう、記憶の中でも、俺ではない俺もなった『魔神化』だ


エレスから血を貰って得た『守る為』の力


「ゼレカ……?」


「ありがとう、エレス。俺を呼んでくれて」


「……うんっ!!」





エレスナーグVision


私はただ、その光景を見ているだけだった


「がっ……!」


「ゼレカ!!」

慌ててゼレカに近寄る


どくどく


「あぁ……こんなに血が……」


結局私は見ているだけだった。多分縛られてなくてもそうだったと思う


「ゼレカ!」


私は何もできない……ただゼレカの名前を呼ぶことしか


「ゼレカ!」


回復してあげることも、守ってあげることもできない……だから、せめて名前を呼ぶ


「ゼレカ、ゼレカ!!」


あぁ……このままじゃ……


「やだ、死んじゃやだよ!!」


いなく……ならないで!


「お願い……お願いだから……死なないで……」


涙がこぼれ落ちる


「エレス……」


私を……呼ぶ声


「ゼレカ!!」


よかった……よかった……


「もう……泣かなくていいよ。何も、怖いことなんてないよ。俺が……傍にいるから。だって俺は……魔神だから」


「うん……うん……」


ゼレカの右手をにぎりしめる。手放さない為に……!


「君の笑顔を……守りたい!!」


唐突に声が聞こえた


まるで合図になったようにゼレカの剣が光り始めた


「なに、これ?」


剣から闇が溢れ出る


「傷が……」


みるみる塞がっていく


光りが収まるといつの間にか真っ黒なマントを羽織ってゼレカが立っていた。そして、その右目が紅く輝いていた


これって……『魔神化』……またさっきと同じ……


「ゼレカ……?」


恐る恐る名前を呼ぶ


でも、杞憂だったみたい


「ありがとう、エレス。俺を呼んでくれて」


その応えが、何より私を安心させる


「……うんっ!!」




ゼレカVision


「何!!?あの状態から完治したのか!?」


「不明。致命傷だったはずじゃ……」


「大丈夫ですノロイ、スゥオーク様。また同じ手筈…」


「遅い」


真っ赤な剣を取り出し詠唱破棄のできる奴を斬る


「レウル!」


「心配。レウル!くっそ!」


「何処を見ている、『冥界の揺り篭』!」


詠唱を破棄してこの魔術を放つ


「残念。びっくりしたけど当たらない!」


俺の背後に周りさっきの魔法陣が浮かび上がる。だが、まだ完成はしていない


「『暗黒の楽園』!」


俺の魔術の方が早かった。と言っても、今の俺にそんなもんは効かないけど


「あ……がっ……」


「さて、後はお前だけかスゥオーク」


俺がこいつらを始末してる間に随分魔力を溜め込んでみたいだな。どうせさっきと同じ土塊だろ


「ノロイ、レウル、お前達の思いは無駄にはしない!消えろーーぉ『ギガンテックデモリッション』!」


放たれた球体は俺とは別の方向に飛んでいった


「どこ目掛けて放ってるだ?」


「よく見てみろ!」


俺じゃなくてエレスの方に向けて撃ちやがった


「どうした、助けないのか!!」


エレスと目が合う。だけど、その目には一片の恐怖もない


「大丈夫、何も怖くないよ?」


俺に確かめるように問い掛けてくる


「ああ、なんせ俺は『魔神』だからな」


その問い掛けに軽口で答える


そうだ、今の俺なら間に合わないなんてことは有り得ない


「ふふふっ」


「はははっ」


「何笑ってやがんだ!!」


右手を伸ばして球に触れる


再び土の球体が弾けた


さっきと同じ衝撃


「………ふっ、こんなもんか」


特に防御もしてない


身体が弱ってるとこんなものが強く感じるのか、それとも魔神化の影響で俺が強くなってるのか。まぁ、どっちにしても……


「残念だったな」


睨みつける


確かな殺気を込めて


「ひっ……!」


先程とは打って変わって逃げ腰になる


「あっ、飛んで逃げるつもりだよ。ゼレカ、つかまっ…」


「逃がすか、よっ」


俺の背中から一対の真っ黒な翼が生えた


正確にはマントが翼の形になってるだけだ


「あれ?翼……」


「く、くるなぁぁあっ!!」


「お前は、俺の大切なひとを傷つけた。これがその報いだ!」


大量の魔力を吸収して黒と紅に変色した『煉帝剣』で両断する


「『虚限煉帝剣』!!」


床を蹴った推進力と共に全てを真っ二つにする勢いでスゥオークを捉え煉帝剣で斬り上げる


「お前には、断末魔すら挙げさせない!」


あいつの身体が無機質な音を地に落ちていく


「これで終わりだ」


剣を仕舞いエレスのところに戻る。術者を倒したから縄が解けてるな


「ゼレカ……飛べたんだ」


「ん?見たことなかったっけ?」

「初めてみた」


翼を揺らしてみる


そういえばバハムートの時はエレスが気絶した後に飛んだんだっけ……


「……ゼレカ、あのね…」


「心配することないさ。俺や皆が居るから」


「えっ?」


「君が言おうとしたことの応えになってるでしょ?」


「……うん」


「だからこの話はおしまい。せっかく再会したんだから、もっと楽しく、な」


「ふふっ、そうだね」


ゆっくり落ち着いた俺たちを尻目にミシミシ音が鳴る


「なんの音?」


「……やり過ぎたか?」


地響きがした後、塔が崩れてきた


………本気出しすぎた、反省反省


「逃げるよ」


「うん!」


ザックリと斬れて外が露出しているとこから飛んで下に降りる


「よっ、到着」


「よいしょっ」


俺とエレスが着地した直後に塔が完全崩壊した


「結構危なかったな」


「そうだった?魔王化してるから無事だったと思うけど」


「魔王化しててもあの縄は解けなかったじゃん」


「あれは特別に魔王化を封じる魔法陣を縄にした魔法だったんだよ。それを考えるとゼレカの力すごいよね」


「って言っても、元々は君の力なんだけど」


「……」


背後から思い切り斬り掛かられた。でも今の俺は魔神化の最中、気付かない方がおかしい


さて、こいつはカタンテアの残党か、天使か。


まぁ今の俺ならどうとでもなるか


「……隊長?」


「ん?ベルゼブ?」


聞いたことのある話し方に俺を隊長と呼ぶって……


「……何だ。もう片付いたのか」


「塔が壊れてるもんね」


「アスタノト」


ひょっこりベルゼブの後ろからアスタノトが顔を出した


「怪我無かった?エレス」


「ところで、どうしてふたりは此処に?」


「……ソルーティアから頼まれたんだ」


「ゼレカさんとエレスが危ないからって」


「ソル、あの身体でそんなことを……」


「よっぽどエレスが心配だったんだな」


俺も相当ボロボロだったからなぁ……


「まぁ、何にせよ俺もエレスも無事だし、無駄足踏ませちったな」


ローブが揺れる


「……隊長!?その姿は……」


「いつもと雰囲気が……」


「久しぶりだろ?初めて会った時以来になったから」


「……それがあんたの魔神化だったのか」


「そゆこと」


「じゃあエレスもゼレカさんも無事だったし、帰ろうか」


「……そうだな」


駆け付けてくれたふたりとソルに心の中で感謝する


「帰ったらどうする?」


「ん〜と、血が飲みたい」


「いきなりそれかよ……いいけどさ」


エレスと他愛もな話しをする


「なんか久しぶりにゼレカに会った気がするんだ」


「実際しばらく会ってなかったな」


そんな話をしながらニンブルケティックへの帰路に着いた


今回の事は死と隣り合わせで俺たちは沢山傷ついた


実際ヴァジラの時だって俺とエレスとソルが、今だって俺とエレスが死んでたかもしれない


だけど、それでも得る物の方が多かった


自分と決別して、魔神化も制御して、愛するひとの笑顔を守れることができた


「ゼレカ、聞いてる?」


「ん?ああごめん。君の笑顔に見取れてた」


「むぅ〜、それなら許すけど」


「それで何の話しだっけ?」


まぁいいか。今は、この時間を楽しもう

デ「いゃあー長かった。ストーリー進めるのが長かった!」


ゼ「度々更新止まってたからな」


デ「日常なら即思いつくけど、ストーリーはちゃんと設定に基づいてなきゃいけませんからね」


ゼ「まぁ何にせよ、重たい話しは終わったわけだ」


デ「というわけで、次回からはまた日常編再開です」

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