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gea of destiny 血

デ「『運命の歯車編』クライマックスです」


ゼ「いよいよ俺とエレスの出会いの全貌が明らかに」


エ「それではどうぞ」

「………やれやれ」


ヴォルケノに会った後にまた魔術の訓練してへとへとになって帰って来たっていうのに、自分がどのくらい強くなったかわからない


「やっぱり一日そこいらの訓練じゃ意味ないか」



……初めてこっちに来た時よりは冷静になったかな


後は……


コンコン


「はい」


ガチャ


「ゼレカ……」


「どうした?」


死なないようにイケニエになる方法、か


「………」


俺はこの居場所を放したくない。こんど自分に不信を持ったら、立ち直るかどうかわからない


「……るから」


「ん?」


「私が!私が守るから。安心して」


「………え?」


エレスナーグに何を言われたか、しばらく理解できなかった。最初は俺の境遇の事がばれたんだと思ってた


「あはは、ごめん、変な事言ったね。……本当に、ごめん」


その言葉を聞いて、その意味がイケニエがどうこうだと気が付いた


「そんな謝る事じゃないよ。ふふっ、君も年相応なところがあるんだね」


「むぅ〜、私もう14歳だよ!」


「俺は16。それに14ってやっぱり相応じゃん」


「え!?ゼレカって私より年上だったの!?」


ありゃ、そっちに興味いっちゃったか


「そうだよ」


「異界から来たっていっても16でそこまで世間知らずだったんだ……」


おいおい、随分失礼なこと言ってるぞ?それに、人間界げかい魔界こっちじゃおそらく年齢の数え方が違うだらうし


「ああー……それは記憶喪失って事で納得しといて」


「記憶喪失なの?」


「全然」


「じゃあ納得できない」


「そうだな……もう少ししたら話すよ」


「そう……」


「?」


やけに寂しそうな雰囲気をかもしだしてる


「まぁそんなことより、今日は一日休日にしてあげたんだからゆっくり休んでよ」


「有り難く休ませてもらうな」


「じゃあ……ね」


「ああ」


ガチャ


「……」


今のエレスナーグ、あの時の華娜衣にそっくりだった


「多分、俺に言わず片付けるつもりだろ」


……今度は、失うわけにはいかない


同じ失敗を繰り返すことはしない


『それがお前の望みか?』


突如、頭の中に声が響いた


「……あんたか」


『ああ。みんなの神様マムートだ』


「(自称)が抜けているぞ」


『だから自称じゃないって』


「そんなことはどうでもいい。それより、さっきの言葉はどういう意味だ?」


『ん?ああ。そのままの意味だ。お前は大天使を殺すんだろ?それなのに危険を侵してまであの娘を助ける必要があるか?』


「あるさ。今までの俺はもう死んだんだ。だからこの場所は今の俺の唯一の居場所。それを守りたい、されだけだ」


『もしお前が死んだらどうする?お前の最愛の者を殺した大天使への復讐は、遂げられないままだ』


「……なぁマムート。お前、大天使に恨みでもあるのか?」


『っ!?』


「図星か」


『……私は…』


「いやいいさ。お前が何をしてても、俺をこの世界に生き返らせてくれたんだ。だからあんたは俺の恩人だよ」


『……恩神だ』


「こだわるな……」


『ははっ。そうか、お前は俺の想像以上に面白い奴だ』


「それはどうも」


『もう一度だけ聞いていいか?』


「構わない」


『あの娘を助ける必要はあるのか?』


「この際だ、居場所云々無しにして言う。俺を助けると言って自分の命を懸ける少女を、命を懸けて助けたいだけだ」


『……そうか。お前でよかった』


「何がだ?」


『いや、なんでもない』


マムートが合わせた両手から光が溢れる。そして両手を限界まで離す


そこには一本の紅い剣があった


「これは?」


『《煉帝剣》。その名が冠する通り煉獄の皇帝が生涯愛用していた剣』


「《煉帝剣》……」


『というのは嘘だ』


「おいっ!」


『はっはっは。しかし、死んで天国にも地獄にもいけず蘇生という煉獄で皇帝の様に願いを叶えようとするお前が使う剣の名前にしては上出来だろ?』


「……ああ」


『これをお前に託す。お前の願いを叶える為に』


「わかった。有り難く使わせてもらう」


受け取った煉帝剣を腰に差す


『まあ、お前自信の意思に従えばいいさ。お前の覚悟もわかったし、俺から言うことはなにもない』


それからマムートの声が聞こえなかった


武器の確認をして装備を整える


「さて、と。行くか」


この辺りで一番強い魔力がある場所へ跳ぶ



――闘技場


「ここって……闘技場か」

入口に着いたので中に入る


おそらくもう戦闘状態であると思っておいたほうがいいだろ。アニメやゲームでも奇襲の威力は激しいし、最初から覚悟して行く


「あの扉だ!」


走った勢いのまま扉を蹴り開ける


「!?」


その光景は予想以上に酷かった。周りには兵士がごろごろ倒れ込み、黒の液体をぶちまけ、壁は崩壊し、煙りをあげて火が燃えている。昨日の奴が斬ったときよりももっと酷い有様……


「はぁ……はぁ……くっ!ゼレカさん」


呆然と見ていると右側の壁に誰かもたれ掛かってる


「ソルーティア!大丈夫か!」


外傷が多く、服が真っ黒に染まっている箇所がある程だ


「はぁ……私の事より、エレスを……」


「エレスナーグは何処に…」


『終わりだ!!』


闘技場を振り返る


「!!」


闘技場の半分程の大きさの橙色のドラゴンが腕を振り上げエレスナーグを潰そうとしていた


反射的に身体が動く


「間に合え!」


詠唱を破棄した風の魔術で限界まで速度を高めて跳んだ


よしっ!


彼女を抱えて後方に跳ぶ


バキッ


『む?』


「っ!エレスナーグ、おい!」


その姿を見て戦慄する


彼女の小さい身体から大量の『紅』が流れてる……


「…んっ……ゼ……レカ?」


「意識はあるな。待ってろ、すぐ止血するから」


「な……ん…で……今日…は…休んで……てって……」


「喋るな、もう少しだから。よし」


『誰だ、お前は?』


橙色のドラゴンが俺に気付いた


「ゼレカ…逃げて……あいつは……バハムート。大…魔王…だから……勝てな…」


「関係ねぇよ、そんなの」


「……え?……」


「お前は命懸けで俺を守ろうとしてくれた。勝てないってわかっているのに。それと同じだよ」


エレスナーグをおろしてバハムートに向かう


「俺はゼレカ。この世界の救世主だ!」


『はっ、救世主だと?笑わせてくれるわ!』


腕を振り上げて俺目掛けて叩きつけてくる


カキンッ!


それを空間から取り出した剣で受け止める


『ほぅ?俺の一撃を止めるか』


「天光降り注ぐ裁きの雷、彼の者に終わりを。『雷の乱射ボルテイション』!」


頭上から貫通に特化させた雷が複数墜ちる


『上級魔術か!』


雷がバハムートに全て命中する……だが、気は抜けない


『なかなかだったな』


バハムートの右腕は無くなっていたが、他は大したダメージを与えられていないようだ


『死ね!』


爪を突き刺してくる。それを剣で止めるが、剣にひびがはいった


後一回、もってくれ


「汚れし魂、その罪を償う術を行使したまえ。知るべき理は我の言葉。『冥界の揺り篭』!!」


足元から怨念のような結界がバハムートを閉じ込める


そして怨念の煙りが結界の中を浸蝕していく


『ぐっ、だがこの程度、大魔王たる俺には効かん!』


「それは単なる事前準備だ」


この術も上級なんだがな


『準備だ?だからどうし…』


「消し飛べ!!『暗黒の楽園アルテエデン』!!」


漆黒の小さな球体が結界の中に顕れる。その球体が徐々に大きさを増していく


俺の闇の魔力をありったけ使った最上級魔術、禁術とも呼ばれるらしい


『グァァァア!!』


バツン!!!


冥界の揺り篭ごと巻き込んで小規模の爆発を起こした


「………」


『ふ、はっはっは!!!面白い、面白いぞ救世主よ』


全身ボロボロになりあちこちから流血しているのに笑ってやがる……。なにか自信があるのか?不死悪魔なのか?いや、それはないな。『ハデストケージ』も『アルテエデン』も連続した攻撃だから、何度も殺していることになる。じゃあなんなんだ?


「……大魔王の…力」


「エレスナーグ?」


「私達魔王には……『魔王化』っていうのが…できるの。あいつ…は『大魔王化』をして……同じ大魔王以上じゃないと…死なないようになったのよ」


「厄介だな……」


「……ゼレカ…お願い……あいつを…倒して……」


目に涙を浮かべて俺に頼む


「あいつは……私の国を………めちゃめちゃにした。そして…みんなを苦しめて、許せない……」


「……ああ。俺があいつを倒すよ。約束だ」


無理だとわかっていても、その願いを受け取る


「私の血を飲めば…あなたも……魔王と同じ力が得られるわ。……あなたなら…大魔王と同じぐらい…強くなれる」


止血した箇所から僅かに血がでてくる


「止血した箇所が!?」


「私は……長い年月血を吸って…ないもん。これが赤血をもつ者の宿命よ……。自分と…同じ血をもつ者なんていない。そのせいで……回復もしない。でも、赤血は…飲めば飲むだけ…力が得られる。だから、私を全て飲んで、ゼレカ……」


「エレスナーグ……わかった」


目を閉じて彼女の腕の傷口からでてくる血を飲む


コクン、コクン


『何をしている?』


コクン……





「でもな、全ては飲まないぜ。お前はまだ生きなきゃいけないんだから」


ドクン


……全身から力を感じる


ドクン


……俺が俺じゃないみたいに


ドクン


瞳が、紅く、紅くなっている


バサッ


服も変化した。ロングコートではなく漆黒のローブ


そして……真っ黒な『翼』があった


『なっ、まさか……赤血を取り入れたのか!?』


「……」


『くっ!荒ぶれ!我が眷属達よ!『ナイトメアカーニバル』!!」


雷と風と炎が変幻自在に襲い掛かってくる


それを片手で受け止める


『何だと!?ならば、『ジェネラルバースト』!!』


魔力を凝縮した玉を打ち出した


「………」


それを『腰に差していた剣』で両断する


『愚かな!!それを両断したら大爆は…』


ギュルル


剣が玉の魔力を吸い込んでいく


「この剣は、魔力を吸収する。だから、どんな魔術もこの《煉帝剣》の前には無力だ」


『魔力を吸収する剣!?』


俺の魔力を煉帝剣に吸わせる


『馬鹿な!!俺が、大魔王のバハムートが、こんな奴に負けてたまるかぁぁあ!!!!』


「……終わりだ。虚限煉帝剣!!」


バハムートの腕を真っ二つにし、そのまま体全体を二つに別ける


もう奴は声をあげることもできない


グチャア


闘技場の床に真っ黒い液体がぶちまけられる


足元にいる少女を抱えて観客席まで飛ぶ


「約束は果たしたよ、エレスナーグ」

許し


――恋人と仲間の仇を討つ

――そんなことを考えてた

――俺には何もできなかった


――仇を討つという意志は変わった


――他のひとを愛してしまった


――いたたまれなくなった

――答はでてる


――許されなくても


――それでも言いたかった

――ごめん………

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