勇者と共闘 因縁
ソ「……よしっ、クリア!!」
バルチスvision
『魔獣の湧水』、この場所がそう呼ばれる訳を僕はついこの間知った。この火山の地下深くにあるマグマ溜まり、そこから魔獣達が現れてるんだ。それをアルフォートと一緒に見つけた時は少し冷静でいられなかったけど、彼のお蔭で攻めるのを踏みとどまれた。だからこそ、今回は根こそぎこの場所を叩く!
「あっつ……、身体の中から蒸される感じだ……」
なんて、カッコいい事言った割りにはカッコつかないな……、本当に暑いから仕方ないか
「あー……夏場エアコンが壊れてる感じ……」
アラクネの例えが見に染みて分かる。窓開けても暑くて開けなくても暑い、寧ろ開けた方がほんのちょっと涼しい風が入ってくるみたいだ
「む〜……」
『大丈夫かエレス?』
「大丈夫じゃない……ゼレカは暑くないの?」
『今は煉帝剣だからな、暑さとか感じない』
「羨ましい……なんとか出来ない?」
『密閉されてれば氷と風で冷やせるけど、外と繋がってて周りがこれじゃあどうしようもない』
密閉されてるなら……そういえば今来た道も所々穴が空いてたな。だったらこの真上から入ってくればよかったんじゃないか?
「今思ったんだけど、私もエレスナーグも魔王化すれば飛べるんだからこの上から入ればよかったと思うんだけど?」
アラクネが僕と同じ疑問をもってくれた
『確かに有効だとは思う。けどそこに行くのが目的じゃなく、そこでさっきの魔王を仕留めるのが目的なんだ。だったら魔力を温存するのが得策だろ』
「あー、それもそっか」
僕は勇者だから『魔王化』っていうのがどんな風になるのか分からない。でもゼレカの言った事が本当ならかなり魔力を使うみたいだ
そんな他愛も無い考えを遮るように、周りの魔力が重くなった。流石は魔王、皆はとっくに気付いてたのか
「……この奥ね」
真っ直ぐな道だったはずなのに、ここからは左に大きくカーブしている。明らかに今までと違うのを意識しながら奥へと進む
「気付いてる?」
『勿論、この先に少し大きめの魔力だ。それと……』
「もう一つとても大きな魔力がある。これは誰のだろう?」
『ベルゼブ達じゃないのは確かだね。それに、この先にいるわけじゃない……出来る事なら今は避けたいな』
いつの間にか暑さを感じなくなってた。カーブに差し掛かった辺りから温度が少しずつ下がって来てるな。ということはこの先に……
「ここまでご苦労でした、魔王の皆さんと勇者殿」
開けた場所に出た途端、マーベル・ベンクが現れた
「よくもまあ、こんな辺鄙な火山の地下まで来ましたね」
それより気になるのはあいつの後ろにある蜂の巣みたいな機械だ。大きさは大体30メートル程だけど、犬小屋の入り口のようなのが幾つも付いてる
「勿論よ、貴方のせいで私達がどれだけ苦しんだと思ってるの!!」
「アラクネ、冷静に冷静に」
「でも!」
「僕だって今すぐ斬り掛かりたいけど、こういう時こそ落ち着かなきゃ。前回は半分パニックになったままだったから、今回は冷静にだよ」
鞘に納まってる柄に手を掛けながら言っても説得力ないか……
「『夢幻』の姿がないのは死んだからなのですか?」
『生憎だが死んではないぜ。お前を仕留めるにはいいハンデだ』
「おや、これまた興味深い格好ですね。戦い終えたらじっくり調べましょう」
「残念だけど、僕達は負けるつもりなんかない!」
剣を引き抜き構える。その動作がどうしようもなく懐かしさを覚える。今度は負けない、絶対に勝つ!!
雷属性
アラクネ>ベルゼブ≧アスタノト>ゼレカ>メフィスト>エレスナーグ
アラ「ここはやっぱり私よね」
ベ「雷が具現化したみてえだからな」