勇者と共闘 参戦
アラ「ヒーローは、遅れてやってくるわね」
アラクネVision
今、この場所には私しかいない。戦闘が激しくなるかもしれないから此処の住民達には避難してもらってるの。さっきは皆に迷惑を掛けちゃったから、今度は私が頑張らなきゃ
「……っ!」
たった今気持ちを変えたと思ったら、突然大量の風が押し寄せてきた。これって……エレスナーグの魔力?とてつもなく巨大な魔力だわ……
「やはり、あの程度では足止めにもなりませんか」
「やっぱり来たのね」
こっちに来るとは思ってなかったけど
「まさか貴女一人とは……いやはや、張り合いが…」
槍の切っ先を、マーベルの喉元に当てる
「…中々あるみたいですね」
これで終わり!!一撃で仕留める為に手加減はしないわ
「おっと、危ない危ない」
私の槍は髪を数本散らしただけで空を突いた
「惜っしい……」
「貴女も幻覚に耐性があるみたいですね」
「さあ、どうだろうね」
さっきの戦いを思い返してたらマーベルは幻覚を使ってた。だから、魔力を感じる箇所全てを貫いたのに……
「予定と少し違いますが、まあいいでしょう」
「えっ!?」
そういうと彼の身体が裂けて、その中から何匹もの魔獣が出て来た
「身体から、魔獣が……もしかして貴方!『魔獣の指揮者』なの!?」
「中々懐かしい呼び方ですね」
「……そう」
戦闘耐性に入った魔獣達が私に襲い掛かってきた。でも、今の私にはそんな些細な事どうでもいい……
「魔王化!!」
直線に、ただ真っ直ぐマーベルまで突き進む!
「ぐっ、速い……」
「お前が、お前がソウシとランダを!!」
もう魔獣なんて眼中にない。それよりも、コイツを殺してやる!!
「『戦狂の魔王』、その二つ名は伊達ありませんか……」
雷と共に喉元へと突き進む
「お前が二人を殺した!だから私がお前を殺してやる!!」
鹿の様な魔獣が私の行くてを阻む、邪魔をするな!
「鳴り響け雷撃、塵も残さず消し尽くせ!!『ライトニング・ボルテージ』!!!」
槍の切っ先から無数の雷が放たれ、魔獣達を消し炭にする。そこから煙りが出て来て視界を遮る
「ちっ、何処へ!?」
でも私は、匂いでわかる!
「はぁぁぁぁぁあ!!!」
「しまっ…」
ドクっと鈍い音がして、槍の先端がマーベルの胸を貫いた
「げふっ……!」
「……」
「く、ははは、少々、魔王というものを、舐めてましたか……」
黒い液体が、胸から溢れてくる
「死ぬ前に答えて、何でアウグストを襲ったの」
「ア、アウグスト……ああ、あの辺境の国か……」
「答えて」
凍てつく様な声で問い詰める
「ふふふふ、ただ壊したかったから、ですよ」
「っ!」
槍を更に深く突き刺す
「ぐぁっ!」
「そんな……そんな理由で二人を殺したのか!!」
拳で顔を殴る。殴り続ける
「げはっ!!」
「この、この、このぉ!!!」
「はっ、ははは……一つ、忠告しておきます……」
掠れた声で、何かを私に言ってきた
「戦闘中に武器を放すなんて、油断もいいとこですよ!」
今まで殴ってたはずのマーベルが、目の前から消えた
「きゃっ……!?」
後ろから殴られた
「さっき私は言いましたよ。『幻覚に耐性があるのか』と……貴方は、先程から壁を相手にしていたんですよ」
「うっ、ううぅ……」
悔しい、こんな奴に、こんな奴に躍らされてたなんて!
「中々鋭い槍ですね……これで刺されたら、さぞかし痛いでしょうね」
もう何もかもどうでもよくなってくる……何もかも……
「それではご機嫌よう、『戦狂の魔王』」
私、ここで死んじゃうんだ……見えてる槍が少しずつ迫ってくるのがわかる、わかるんだ……
「甘いな、アラクネ。戦場で油断してると死ぬぞ」
「あっ……」
身体が浮いてるのがわかる――
誰かに抱きしめられてるのがわかる――
優しく、支えられてる――
「危なかったけど、なんとかなったな」
「……生きてたんだね」
「僕が簡単に死ぬわけないだろ?何年一緒にいたと思ってるんだ」
「うん、うん……ありがと、ソウシ……」
水属性
エレスナーグ>アスタノト>ベルゼブ≧ゼレカ≧アラクネ>メフィスト
エ「私の魔王化は水に関係ないんだよね」
アス「私とかお兄ちゃんとかはハッキリしてるのに、何でだろう?」