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フラワーハウスにご招待

ゼ「どうぞ、こちらへ」

ゼレカVision



「……そうだ、フラワーハウス行こ」


しばらく様子見に行ってなかったしな



――フラワーハウス


「フラワーハウスなのに全然華やかな建物じゃねぇ」


今更だけど。そも、フラワーハウスって名前にしたのは華やかとか洒落たもんじゃなく、俺の名前を使っただけだ。いや、どうでもいいんだけどな


ゴシック調の扉を開けた俺に気付いたのは、今現在ここの管理人――バルチスだ


「うーっす」


「あれ、どうしたんですかゼレカさん。まさか、また遠征じゃ……」


あー、うん、実はまたなんだ……とか言ったらどんな反応すんだろ?


「ただ久しぶりに様子見に来ただけだ」


流石に毎回こいつをからかうのも何だか悪い気がしたから止めた。……エレスにからかわれた自分と重なって見えるのは気のせい


「ほっ、よかった……」


そんなに嬉しいか?まあ、魔神の俺には分からない悩みだな


「それより、なんだか数が増えてないか?」


「そうなんですよ!散歩に行ったらその辺りの魔物を倒して、自分の下僕にしちゃうんです!!」


俺がこのフラワーハウスの管理をこいつに任せた時点での数は十数程度、ざっと見たとこ今は数十程度に増えてる。大方伝説クラスの仕業だろ


「だろうな……よっし、ざっと見てくるか」


自分の苦労を永遠と語ってくる苦労人を余所に、首謀者の元へと歩を進めてく


カツン、カツンと足音が景気良く鳴る。訂正しよう、景気良く鳴らしてる。音に反応した魔物達が俺に挨拶――という名の威嚇やダンス、遠吠えなんか――をしてくる。何だか、檻の無い動物園に来た感覚だなぁ……そういえばよく華娜衣達と行ったっけ。カバが速いとか、キリンの舌が長いとか……


『ふっはっは、誰かと思えば夢幻ではないか』


いけね、ぼーっとしてた。突然テレパシーに近いものが聞こえてきて足を止めた


「おう、元気やってるか?」


巨大な鮫の姿をした魔物が地中から顔を出してきた。近隣の悪魔からはグランシャック、又は生きた『災害』と呼ばれてる。が、大層な二つ名を持つ割に本人(?)は友好的な性格、加えて淋しがり屋である。何故そんな奴が『災害』と呼ばれるのかというと、その巨体をもって『じゃれてくる』からだ。全長が数百メートルの巨大な鮫が友好的にじゃれてたら、地震の十や二十起きてもなんら不思議は無い。悪意がないのが分かり俺が連れてきたんだ


『元気元気超元気。仲間は居るわ飯は旨いわ退屈しないわ、良い事づくめだ』


これが生きた『災害』の本性だぜ?フレンドリーこの上ない


「だろうな。逆にそれで楽しくないってのは可笑しいぜ」


『確かにそれは可笑しいの』


心底楽しそうに笑ってやがる……面白い事言ったつもりはないんだが?


『おおそうだそうだ、お前が来たら言っておこうと思ったんだが』


少し困った風に顔をしかめた


「何かあったのか?」


『何にもないのだ』


おい、コントじゃねぇか。まーた笑い始めやがった……


「はぁ、コントも良いが、散歩ついでに魔物を手下にするのは止めてほしいとよ」


『む、手下?』


訳が分かりませんとばかりに疑問符を浮かべやがった


「ここの管理人が『魔物増えてる!?』ってよ」


『ああ、あれはそれがしと同じ様な境遇だったのでな、つい連れて来てしまった』


「それじゃあしょうがねえか」


流石伝説クラス、度量というか、慈悲深いというか……


「そういう事ならいいさ。俺からバルチスに言っとくよ」


『頼んだぞ』


「じゃあな、また来る」


理由が理由ならバルチスも文句言わないだろ。最悪所有者が俺からバルチスに移り変わりつつあるアルフォートに頼むか。今度真面目にシェイドと相談してみるか……俺よりバルチスに懐いてるって


『ピィっ!』


「ん?ああ」


こいつはマグマドラコの幼体。成体のマグマドラコが月に一度の大移動をする直前に産まれたのを預かった。普通は半月で成体になるから大移動に間に合うように移動してから産むらしいが、こいつは『炎竜の幼体』と呼ばれる潜在能力の強い部類に入り出産日が狂ったらしい


『ピィ、ピィピィピィ!』


「随分元気が良いな。次にお前の母親が来たら帰してやるから、元気でいろよ?」


『ピィっっ!』


俺の言葉が通じたのか、より一層元気に鳴いた。成体になれば普通に会話出来るのにな。ちょうどシェイドの事考えたらマグマドラコに遭遇した、これは必然ですかね?


「んー……」


「主」


最近随分聞き慣れてない声が頭上から聞こえた


「アルフォート、ちょうど良かった」


「何用だ?今は暇だから存分に聞いてやるぞ」


そう厳粛な態度の割に髪を自分で弄ってるのはどうなんだ?


「お前さ、バルチスと本契約してみるか?」


「む」


「最近お前バルチスと仲良いからよ、そっ…」


「ふむ、知れた事。我の主は主だけ、それ以外に契約しようとは思わん」


「……そうか、つまんない事聞いたな」


「主らしい質問だ」


「へいへい、んじゃあ俺は帰るからな」


「定期的に顔を出すと良いぞ」


「ああ」

ゼ「はいはいはい、それでは次元属性『時間』について説明してもらいましょうか」


過エ「……私、使えないから知らないわ」


過ゼ「へぇ……『時間』なんて属性あるのか」


過エ「次元属性っていうのに分類されてるんだけど、そういうのは専門の知識とかが必要だから滅多に使えないの」


過ゼ「その割には取得方法とか知ってるな」


過エ「これでも一国の王だからね。……ん?これを読めば良いの?」


過ゼ「?」


過エ「『時間』とは文字通り時間を操る事。大掛かりな時間移動は出来ないけど、特殊な術式を用いればそれも可能。やっぱり攻撃には向かない属性である……らしい」


過ゼ「そんな事も出来るのか……凄いな、魔術って」

エ「あれ?全然イチャイチャしないな……」

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