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大魔王の憂鬱 仲間

ベ「……もう主役は終わりだ」


アス「ちょっと残念?」


ベ「……なんとなく」

頬を撫でるそよ風、暖けえ魔力の匂い


「全く、無茶ばっかして!」


聞き覚えがある声……


「……メフィスト?」


「いいわよ、喋んなくて。もう死にそうじゃない」


ゆっくりと身体が治療されていく


「あら、もっと優しくしてあげれば?あんなに泣きそうだったのに」


「よ、余計な事言わない!」


アラクネか……?


「何で、此処に?」


「リリードネメスがステイアラートに攻撃される、ってゼレカが言ってたの」


隊長が?


「それでさっさとステイアラート倒して、馬鹿を助けに来たのよ馬鹿」


もう動けるぐらいには回復したか……


「!!二人とも逃げろ!カマキリが…」


「カマキリってあれの事?」


アラクネが指差した方を見ると、黒い蛇がカマキリと戦ってた


『キュララ!!』


『シャー!!』


「ふむ、何だあれは?」


「『ダークカペロ』って言う俺の魔術だ」


キンッ


カゲロウが鳥かごから離れたのが見える


「フハハハハ!我が気付かないとは中々やるな!!貴様、何者だ!!」


鳥かごの上に誰か居るのか?


「大天使(お前達)に名乗る筋合いはない、と言いたいけどお前に恨みはない。『夢幻の魔神』ゼレカだ」


「隊長!?」


「フハハハハ!!そうか!貴様がバハムートを倒した魔神か!!フハハハハ!!!」


隊長は鳥かごの上から動かず、斬撃を飛ばす


「どうしたのだ魔神よ!!その程度ではベルゼブの二の舞だぞ!!」


「いや、これでいい」


何のつもりだ……?


「ゼレカー、もういいよー」


「なっ!?……フハハハハ!!成るほど、狙いは端から人質か!!」


その言葉通りエレスナーグはアスタノトを連れて戻って来た


「了解、一気に決めるぜ!静寂に響き渡る暗き怨念の爪痕。泡沫に舞うは黒き怨恨、黒き支配の鎖を我が手に。『闇塊ダークアポカリプス!!』」


黒い空間が拡がり隊長の右腕に魔力が集まり、高まっていく


「目眩ましのつもりか、だが!我には効かんぞ!!」


「目眩まし?この空間はそんなもんじゃない」


隊長が鳥かごの上からカゲロウに向かって跳躍する。そして当たらないはずの範囲で剣を振るい続ける


「なに?その射程では当たらんはず。なのになんで我に当たっているのか、説明を求めるぞ!!」


確かに、傷こそ負ってないものの服は斬られていく


「この魔術は『空間支配』の闇を造りだし、俺の動作に合わせて攻撃してんだ。さっき目眩ましじゃないっつたのも、闇全てが俺の攻撃範囲だっつう意味だよ。意外とお前、面白い奴だな」


「そうだろ!我のモットーは面白おかしくだ!!フハハハハ!!」


「へぇ、大天使の中にもお前みたいなのがいるんだな」


「む?」


隊長が手を止め、カゲロウと何かを話し始めた


「何故攻撃の手を止める」


「無駄だろ。途中から幻影に変わったのがわかったぞ」


「ハァーッハッハッハ!!何故わかった!!この幻影は特別性のはずなんだかな」


「あー、なんか歪みっていうかなんつーか、恐ろしく本物なのは幻影……思念体っていった方がいいのか、思念体だからだろ。それも術者はお前じゃないときた」


「ほぅ……貴様、中々やるのかと思ったが予想以上だ!」


「光栄だね。さて」


黒い空間を解いて隊長が降りてきた


「大丈夫かベルゼブ?」


「……ああ」


もう幾らか身体も動かせるか……だったらあいつと決着を付けてやる


「止めとけ、今のあいつは思念体だ。お互いにダメージなんて全くねえよ」


「ゼレカ、あっちは決着付いたみたいだよ」


エレスナーグが差した先には黒い蛇がカマキリを食いつぶしていた場面だった


「さっきといい今といい、恐ろしく強いわね」


「嫌々、ほとんど同じぐらい倒してたじゃん。アラクネはともかく、メフィストって回復専門だろ?」


和気藹々と、和んでいく……


「お兄ちゃん」


「なんだ?」


「……楽しいね♪」


その一言で一気に心が満たされていく


「……ああ」


「ハァーッハァッハァ!!我、完全に忘れられてるぞ!!」


カゲロウ、もといカゲロウの思念体か……


「忘れてねぇよ……おい、カゲロウ」


「なんだ、ベルゼブ」


思い知らされた……今回の件で、俺はまだまだ弱いと。だから……


「いつか必ずお前に追い付いて、お前を倒してお前を越えてやる!!今回の件はそん時まで覚えてろ!!」


俺はまだまだ強くなれる!!


「……フハハハハ!!面白い、次に会うのを楽しみに、喜び勇んで戦える日を待ってやる!!ハァーッハァハァッハァ!!!」


思念体が消えていく


そうだ、俺はあいつという目標が居る。あいつを殺る為に、あいつに認めさせる為に、そして――


「……ごめんなアスタノト、俺が弱いせいであんま目に合わせちまって」


「ううん……お兄ちゃんは弱くなんてない。あ、いや、弱いよ。だから、もっともっと強くなって!」


妹を、俺の周りの奴を、守れる為に!!


「……ああ!!」


やり取りを聞いていたメフィストがからかうような笑いを浮かべてる


「さ、馬鹿も助けた事だし、さっさと帰るわよ」


「メフィスト」


「なによ」


「……心配かけて悪かったな」


「なっ///!?な、な、なに言ってんのよ///!?べ、別に心配なんてしてないわ///!?」


「あらあら、顔真っ赤よ?」


「う、うるさいわよ!!」


「……やれやれ、騒がしいな」


でも……


「……楽しい、か」


「お兄ちゃん?なんか言った?」


「なんも言ってない」


「嘘、楽しいって言った」


「聞こえてたか……///」

「ほ、ほら、早くしないと置いていく!!」


「ああ、今行く」


これが、俺の新しい一歩だ







「ゼレカ……?」

エ「今回は私の基本属性、『水』についてだよ」


ゼ「というか、俺としては君と一緒で嬉しいけど、過去の俺と君は?」


エ「次回に二人だけでさせるから今回はお休みだよ」


ゼ「二人だけか……どんなぎこちない講座になるんだろ?」


エ「きっと二人して顔真っ赤になっちゃうよ」


ゼ「そうだね、過去の君が俺といる時も真っ赤だったし」


エ「そういう過去のあなただって真っ赤だったよ」


ゼ「何はともあれ、初々しい反応の自分達が楽しみだな〜」


エ「そうだね……」


ゼ「エレス、ちょっと拗ねた感じだな」


エ「拗ねてない」


ゼ「いや、その反応拗ねてんじゃん。もしかして、昔の自分にヤキモチ?」


エ「ん〜、そうかも」


ゼ「でもそれって結局俺が好きなのは君って事だよ?」


エ「それでも〜。なんだか自分に負けたきがするの〜」


ゼ「ははは、俺が好きなのはエレスだよ。今も昔も関係ない、君なんだよ」


エ「うん、知ってたよ」


ゼ「ありゃ」


エ「それはそうと仕事仕事。『水』は『火』と似通った性質だけど、防御に向いてるよ。私は攻撃にも使ってるけど、『浸透』って特性があるからどっちでも使えるんだ」


ゼ「水って包まれてる、ってイメージがあるな」


エ「来るものを拒まず受け入れるからね」


ゼ「そうか……」


エ「あっ、気づいた?」


ゼ「そりゃあもう!今のエレスの言葉でピンと来た」


エ「それじゃあ次回が楽しみだね」


ゼ「今の言葉の意味もわかるしな」

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