表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/136

大魔王の憂鬱 敗北

ベ「……負けんのには慣れてない」

ステイアラート――あまり人の住んでいない小国。国力をみても、まともに戦える奴なんてたかが知れてる程だ。だが、そんな小国もリリードネメスやニンブルケティックと同等の立場に在る。何故か?簡単だ、『瞬間の嘲笑』と呼ばれる現存する大魔王最強、カゲロウが君臨してるから。それだけだ――


「……」


改めてそのステイアラートを眺めるが、とても強そうには見えない……


此処に来るまでで、随分頭は冷えた


「……あいつを殺す」


嫌、頭なんて冷えてねぇ。マジで冷静ならカゲロウに勝てる可能性がないのを知ってる。それでも、俺の妹に手を出した罪を裁いてやる!!


気配を消して城の中に入る。見つかると厄介だが、隠れるつもりはない。一秒でも早く、息の根を止めてやる


「……?」


広間の前まで来て異変を感じた。確かに俺は気配を消してる、だがこれだけ進んでるのに誰にも会わなかった


「……罠か?」


もしそうだとしても、行かないわけにはいかない。待ってろ、カマキリ野郎!!


そのまま罠かもしれない玉座の間へ駆け込んだ


「ハァーハッハッハ!!よく来たな、ベルゼブ!我と戦うのが怖くて絶対に来ないと思っていたぞ!!」


耳障りな奴の戯れ事を無視して部屋を見回す


「……アスタノトは何処だ?」


「気掛かりか?安心しろ、すぐに会わせてやる。我寛大!!」


パチッと指を鳴らすと、空間転移が起きた。荒野――それも俺とこいつとでよく特訓してた場所だ


「懐かしい、我はさっき振りだがな!!」


「ベル兄ちゃん……」


「アスタノト!!」


カゲロウの背後、巨大な鳥籠の中にアスタノトの姿が見えた


「おっと、ここはテンプレ通り我を倒してから行くのだな!」


「上等だ、後悔すんなよ!!」


大魔王化して斬りかかる、がそれを後ろに飛んでかわされた


「チッ!!」


「フハハハハ!!そう慌てるな!今のボロボロの貴様なぞこいつで十分だ!!」


今度は右手の指を鳴らした。パチッ、ではなくバチッと電気が走る音。それに呼応するように地面が揺れる


「なんだ?」


さっきまでカゲロウが居た地面から、魔物が出て来た


大きさは鳥かごより少し小さく、それでも五十メートルはある。百足を思わせる何本もの足、ギロチンを括り付けた十対の鋭い手、逆三角の顔に挟みの口――巨大なカマキリの化け物が現れた


「……ふん、お前の化け物か」


「フハハハハ!貴様が散々我をカマキリと呼ぶからな、作ってやったぞ!!さぁ、倒してみろ!!ハァーハッハッハ!!」


『キシャァァァァア!!!!』


カゲロウの高笑いに同調してカマキリもいななき始めた


「……そっくりだな、飼い主によ!」


高笑いが終わる前に俺目掛けて鎌を振り下ろした


『ギャェ?グルァァア!!』


次々とギロチンが迫るが、ギリギリでかわせる!


弾丸を魔力に変換して、撃つ!!


パァン


『クルゥア!!』


炎を帯びた鉄塊はカマキリの顔面に命中


これならいける!!


再び迫る鎌を避けながら変換を続ける


「そぉら、もう一発!」


隊長がやってたように速射――風を纏わせた


『ギュ!?』


「ほぅ……今のは見えなかったぞ!」


ったりめぇだ、俺も見えてねえんだよ


『クルラララ!』


性懲りもなくまた鎌を振り回してくる


「何度やっても同じだ」


鎌を避け、銃口を向ける


その瞬間、腕に鋭い痛みが駆ける


「ぐっ!?」


痛みに耐え切れず銃を落とした


「フハハハハ!!何で腕を斬られたのか、理解出来ないだろ!!」


確かに、繋がってはいるがほとんど動かない。腕の裂け目、真っ黒だ


「貴様がギリギリでかわせてると思っているのは錯覚だ!!意識して、ではなく身体が付いていってないのだ!!」


はっ……なんだって?


「そうだ、言い忘れていたな。何故我の城に誰も居なかったか教えてやろう!!」


聞いてねえよ……


「今頃は、リリードネメスを落としているだろう」


「……はっ?」


何だって?リリードネメスを落とす?


「つまり!!総攻撃だ!!」


「……っ、カゲロウ!!!!」


『キャロロロロ!!』


鎌と剣、強いのは剣だろ。一対一ならな


残った腕で鎌と鍔ぜり合う。結果は分かりきってるが

当然俺の勝ち、カマキリの鎌を弾く。一本だけ、残りの十九本は俺を裂いてく


ドサッ


「っ……!!?」


「ハァーハッハッハ!!終わりだ、ベルゼブ!!」


……何か言ったかアスタノト?悪い、全然聴こえねぇ


もう全身の痛みも、口内の血の味も、魔力の匂いも、あいつの声も、目の前の風景も、何も感じねぇ……


身体はバラバラになったのか?なら、もう死ぬか……


死ぬなら、謝りてえな


アラクネ、エレスナーグ、隊長、メフィスト、それからアスタノト……ごめんな………


『――――!!』


「―――!!――――!」


何と無く分かる。俺を殺す為に鎌が振り下ろされたんだろ


「――ゃ―!!ベル兄ちゃん!!」


アスタノト……







「『ブリーズウォール』!!」

過ゼ「…………俺は知らんぞ」


エ「大丈夫大丈夫、それを読むだけでいいから」


過ゼ「『土』は硬さを生かした防御に秀でた属性。攻撃にも使えるが、速さの面では防御使用時に劣る。特製は『構築』。……読み易いな、このメモ」


エ「私が書いたんだよ。ちょっと前のゼレカを思いだして読みやすいようにって」


過ゼ「……そうか、ありがと」


エ「いえいえ、どういたしまして」


過ゼ「……///」


エ「ゼレカ?今からそんなんじゃ昔の私との日常に耐えられないよ?とってもあまあまだよ?」


過ゼ「次回は『水』だ。以上」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ