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眠れぬ夜に沈む
二人だけの特別な言葉を生み出した、あの薄暗い部屋で――ラズは、虚無の中にうずくまっていた。
まるでこの世界からはじき出されたように。
ここにいるのか、それとも、もうどこにもいないのか。
それさえも、わからない。
二人で描いていた夢は粉々になって散らばり、もとに戻ることは二度とない―― 絶望。
信じていた永遠は、違うベクトルへと、静かに歩を進めている。
「レイ…」
あんなに何度も未来に向けて響かせていた名前。
でも今は呼ぶたび過去に引き戻されてしまう。
それでも、必死に息遣いを探そうとして、声にしてみた。
しかし、それは静寂の中に、雫の音となってかき消されてしまう。
「会いたい…」
叶わぬ願望だけが、今のラズの生きる意味だった。
無常にも、秒針だけが未来へ進む。
ラズを置き去りにしたまま。
いつも感じていたぬくもりが、その音とともに薄れていった。
不安と悲壮を抱えながら――。
……二週間後。
あの時満たされていた思い出が、何日も深い眠りに影を落としていた。
ふとカーテンの隙間から差す光が、ラズの肩をかすかに照らした。
「レイ?」
まるで、海の底のように暗く重たい空間から救い出すかのように。
その一筋の光は、ラズにもう一度、呼吸を与えた。
レイの面影を見つけさせるために――。




