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永遠のシャルル クレア

(3ヶ月後)

 シャルル ラポーレ ラズのドアには、[OPEN]の札がかけられている。

 そこに、一組の甘いラポーレを纏った恋人たちが、はしゃぎながらドアを開ける。


 カラン――

 ドアのベルが待ち望んだ音を響かせ、ラズが優しく微笑みながら出迎える。


「ようこそ、シャルル ラポーレ ラズへ。

 特別なお二人に、特別なお席をご用意しています。こちらへ。」


 席へと誘うラズの左手には、レイの永遠の想いが、そっと輝いていた。


 真新しいテーブルには、アイロンがかけられた真っ白のテーブルクロス。

 きらびやかな食器が並び、中央には、淡いラベンダー色のリシアンサスが一輪、二人を祝福するように咲いていた。


「当店では、グランドメニューは一つだけご用意しております。

 『ファリス クレア ~レイの想いを添えて~』。

 二人のシャルル クレアのために。」


 木漏れ日が揺れる特別な席。

 レイが永遠の愛の魔法をかけたその席は、恋人たちを温かく迎え入れた。


(13年後)


 カラン――

 いつものように、ドアのベルは、新しいシャルルな恋人たちを、聖なる音で出迎える。


「いらっしゃいませ ようこそ シャルルラポーレ ラズへ」


 二人の声が和音となって、店内に響いた。


 ラズの笑顔は、すべてを乗り越え、人を幸せにしてきた輝きへと昇華していた。

 

そして、もう一人――その声を放っていた小さなギャルソンが、お辞儀をしていた。


「いらっしゃいませ。私がご案内します」


 少し高いトーンで、その恋人たちをエスコートする。


「あら、かわいいギャルソンさんね。私たちここの特別な席、ずっと楽しみにしてたの」


 女性は、あどけない小さいギャルソンにそう伝えた。


「この席は、僕のお父さんとお母さんが最初に座った、特別な席なんです」


 そして、彼の胸のネームプレートには[ノア(Noa)]と書かれていた


「ほら、ここに二人の名前が書いているでしょ?」


 レイの面影を持ったその少年はテーブルに埋め込まれたプレートに、そっと指を添えた。


 ラズは、誇らしげなノアの姿にレイの姿を重ねていた。


「すっかり立派なギャルソンになっちゃって。さすが、あなたの子ね。」


 右手で触れた指輪に温もりを感じながら、木漏れ日に目をやり心で語りかけた。


「心配性のあなたのことだから、きっと見ているんでしょ?」


 あの頃レイを見ていた変わらない瞳で微笑みながらノアに目を移した。


「レイ、これからも、私とあの子のことを、ずっと見守っててね」


 テーブルには、1枚のプレートが今も埋め込まれていた。

 [Les deux premiers clients : Ray et Raz] (レ・ドゥー・プルミエ・クリアン レイ・エ・ラズ)


 一筋の光が、プレートを包み込むように、静かに降り注いでいた。

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