夫に隠していた過去を話した日
結婚して二年が経った頃、私は過去に風俗嬢だったことを夫に隠し続けているのが、だんだんと辛くなってきた。
言わなくても、日常は穏やかに回っていた。喧嘩も少なく、会話もある。
それでも心のどこかで、「私はまだ全部の自分を差し出していない」という感覚が、重くのしかかっていた。
もし正直に話したら、嫌われるかもしれない。
軽蔑されて、離婚を切り出されても仕方がない。
しかし、このまま何も言わずに結婚生活を送ることの方が、夫を騙しているようで、私は罪悪感でいっぱいになっていた。
ちょうどその頃、私は自分の過去や感情をエッセイとして書き始めていた。
言葉にすることで、やっと自分の人生を自分のものとして扱えている気がしていた。
だからこそ、夫に対しても、嘘のない場所に立ちたくなったのだと思う。
「私、実は風俗嬢として働いていた過去があるんだ。」
私の心臓がバクバクと鳴る。
夫は少し驚いた様子だったが、長く黙り込むことはなかった。
そして、私が想像していたどの言葉とも違うことを言った。
「逆に面白くていいじゃん。
普通に過ごしてきた女性より、僕にとっては好感度が高い。」
その瞬間、私は言葉を失った。
責められる準備も、拒絶される覚悟もしていたのに、そこには評価や軽蔑ではなく、ただの受け止めがあった。
暗闇に隠されて泣いていた若き日々の私が、そっと笑顔になった気がした。




