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「Guiest」  作者: 木卯 空
第一話「のっぺらぼう殺人事件」

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22/24

二十二.彼彼女について

 梓さんと松永さんは、随分と仲の良いお二人でした。旧知の仲、だったのかもしれません。少なくとも、私が二人を意識する様になった時には、もう二人は随分と気心知れたやり取りをしていましたから。

 松永さんも、図書室をよく利用される方でした。彼の場合は外国書籍や、国外新聞、外国語辞書などをよく借りられて。でも、本質的には梓さんと同じ、自分の今居る場所で、直向ひたむきに頑張ってるとよく分かる、そんな子でした。

 ただ、お昼間に此処で二人がやり取りをする事はあまり無く、基本的に、彼は昼休みの時はあのテラスの方で、別の級友方と過ごし、梓さんはそれを此処でスケッチしている事が常でした。

 そんな二人がそれでも、昼休みに時折此処に居合わせれば、決まって小さく喋りながら、梓さんが彼をスケッチしていました。

 丁度、そう、椿さんが座られている席です。

 そこに松永さんが座っていたんです。

 それを繰り返し、繰り返し、繰り返して去年の末頃、一枚の絵が賞を獲りました。

 梓さんが描いた絵です。

 描かれたのは松永さんの肖像画でした。

「!椿、今の話は?」

「いや、資料に無かった。僕も初耳。」

 去年の話だからか?と眉を顰める。

 しかし、かなり重要な話だ。間違い無く、今回の事件の原因の一つは其処にある。

「司書さん、ちなみにその絵って今何処にあるか知ってます?俺達一通り校内見て来たけど、どれがそれです?」

 曲達は当の松永 芭蕉の顔は知らない。

 校内を回る中、各所に飾られた絵は見て来たし、その中に肖像画、人物画は何点かあった。

 しかし、頭の中を占めるのは箱小屋ユニットハウスで見つけたあの絵の方だ。

 あれは梓が描いたものでは無いだろうが、描かれていた人物は、間違い無く松永 芭蕉である確信があった。そして、その絵と同じ姿の絵は、曲達が見て来た中には無かった。

 つまり、残るはまだ回っていない教室か、あるいはそもそも、

「……元々は新校舎二階の、ホールに飾られていました。しかし、一月前の梓さん失踪後、学校の判断で、梓さんの作品は校内から取り下げられ、全て、梓さんが使っていた油絵教室に、持ち込まれました。ですがその更に後、当の油絵教室で金崎 千夏が殺された際、作品が彼女の血で汚れていた様で、警察が押収したと聞いています。ですので現状、この学校には無いかと。」

「曲、油絵教室に人物画あった?」

「一通り画布キャンバス見たけど、それっぽいのは無かったよ。」

 当たりだ。

「司書さん、その絵、どうにか観られる方法ってありますか?」

 暫しの沈黙。

「当該の賞の作品集、それから確か、市と校内の新聞、あとは地域広報に写真が載っていたかと。閲覧されますか?」

「宜しければ。」

 椿が頷く。

「でしたら当該書籍は全て一階にあります。ご案内致します。」

「お願いします。」

 カーテンを閉め、椿達が立ち上がる。

「では、此方へ。」

 腕を引っ込めた司書の気配が再び動き出す。

 椿達もそれを追って、次は一階へと降りて行った。

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