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「Guiest」  作者: 木卯 空
第一話「のっぺらぼう殺人事件」

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十六.図書室〜S高敷地内焼却炉跡

「で、結局どう言うところに考えが着地したワケ?態々外に出たって事は、二人に聞かせらんない様なところに着地したぽいけど。」

 頭の後ろで手を組んで、足を投げ出す様に歩く曲。

 その半歩後ろをゆっくり着いている椿は数拍黙った後口を開いた。

「疑問が残るんだ。幾つかね。元々空いていた穴がそのままなのもあるけど、穴の無かった所に穴が空いた部分もある。」

「ほぉん。聞かせてよ。」

 踏まれた側溝の蓋がガコンと揺らいだ。

 まず、己が疑問を感じたのは、梓と千夏の関係性の距離感だ。

 梓と千夏の仲は確かにそれ程良いものでは無かったのだろう。そして同時に特筆して悪いものでも無かったのだろう。そう考えたのは梓自身の発言もあるが、現状、資料にそういった記載が無い所が大きい。怪異にしろ事件にしろ、世の中話に出合う登場人物達の関係性の上に成り立つ物事は多くある。故に、良し悪し問わず、何某か言葉にされ得る関係があるならば、調査の為と資料に載る。それが常だ。その上での梓の「知る仲であれど、友達とも仲間とも違う」という発言は、事実を補強しても瓦解させはしないものだった。

 だが一方で、梓はこうも言っていた。

「一緒にずっと、ずっと絵を描いていたんです。」

「なんか、お互い気まずくなっちゃった—」

 こういう言葉は、ある程度の仲が無ければ出てこない言葉ではないだろうか。友人か、あるいは仲間、それ以上の仲でなければ。少なくとも、唯の知人や同級生ではこういった言い回しはされないのでは。

 ともなれば梓と千夏はそれなりの深さの関係はあった、と考えられる。

 だがしかし、当人自身の発言がその可能性を打ち消した。

 この違和が、まず、気になった。

 次いで気になったのは梓当人が殺されてから美術準備室で起きるまでの期間に、どうして魂が発見されなかったのか、という点だ。

 割合、すぐに怪異化し、隙間の司書と出会ったが為に見落とされた口かと思ったが、梓の証言でそれは否定される事となった。

 つまり、時間の欠落がある。

 怪異となっている事が確定しているこの四日間を除いたほぼ一月の期間、彼女の魂は何処に在って、どうなっていたのか。

 それもまた、引っ掛かっていた。

「目覚めたのが四日前だっただけで、殺されて割合すぐに怪異化はしてた、って線は?」

「その可能性も考えられる。けど、そうならそうで問題がある。どうやって彼女は四日前までの時間を、ここの関係者にも、僕ら側の存在にも見つからずにやり過ごせたのかが分からない。」

 無意識で動いていた、という線も無くはないが、可能性としては低過ぎる。人はそれでやり過ごせても、探索特化の妖怪異の目は、その程度では掻い潜れない。彼女の魂を捜索していた妖怪異が、まだ未登録で一覧に記載の無い怪異である彼女を放置するとも思えない。となれば間違い無く、彼女は妖怪異の目からも隠されていた、と推測される。

 誰に、何の為に?

「そして三つ目。これは凄く単純な疑問。梓さんは何故、此処で殺されたのか。どういう経緯で此処に来たのか。それが分からなかった。……てっきり曲が訊いてくれると思ったんだけどね。」

 不満をもって曲を睨めつみれば、視線を遮る様に横顔辺りを手で覆われてしまう。

「ごめんてぇ。でもこれから調べるんでしょ?ちょっと調べるの頑張るからそれでチャラって事で一つ……」

 曲が両手を合わせて椿に懇願する。

「ちょっとじゃなくて、凄く頑張って。」

「え〜い……」

 最後に両掌を掲げて降参の意を示した時点で椿も溜飲を下げた。

「じゃ、三つ目の疑問解消の一助を探して、焼却炉跡、張り切って調べてね。」

「がぁんばりま〜す……。」

 力無く宣言した曲の様に、ほんの少し椿は頬を緩めた。

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