十三.梓の話
「……本当に、私は何も知らないんです。知っているとすれば多分、千夏にどうやって殺されたのか。そうは言ってもそれも多分。確証は無いです。」
「構いません。必要な事は僕達が拾っていきます。貴女の話易い様に話してください。」
ジッと、梓に見つめられているのが分かった。
「……私と千夏は、そもそも中学が同じだったんです。」
ゆっくりと、話は始まった。
私と千夏は中学の時から美術部で、その時はまだ、お互い油絵もやってたし、水彩もやってました。色んなやり方で、一緒にずっと、ずっと絵を描いていたんです。
多分、捻れたのは私が高校受験に、此処の専科を選んだ時です。
千夏も、専科を一度受けたんです。推薦で。でも、千夏はそれで落ちて、私は受かった。
中学の時はそれきりでした。なんか、お互い気まずくなっちゃったのもあるし、千夏は千夏で受験勉強があって、私は私で絵の勉強で忙しかった。
部活も引退すれば、本当に接点なんか無くなっちゃって、次にマトモに顔合わせたのは、此処に入ってからの、部活に入ってからの話でした。
でも、その時にはもう、千夏はもう、前の様には、絵を描かなくなってたんです。
小洒落た少女と言えば聞こえはいいですけど、実際はほぼ不良でした。部活に来はするけれど、喋ってばっかで、邪魔してばっかで。授業の態度も悪いし、普段の生活の素行も悪くて、千夏達、この学校であの五人だけが図書室出禁だったんですよ。ずっと、ずっと騒いでるから。
そんなだったから、私も、あんまり関わらない様にしてたんです。でも、千夏は何かにつけて、私にちょっかいかけて来るから。
よく先生、すず先生に相談してたんです。どうにか千夏と離れられないか。
それで先生、油絵教室を部活でも使っていいよって計らってくれて。ホントは美術部は専科も他の科も美術室が部室なんですけど、私はそっちでいいよって。
多分、きっと、それも千夏は気に入らなかった。
そういうのが、積もり積もってあの日弾けたんだと思います。
……多分、殴られた、んだと思います。多分ですみません。でも、何となくそうだと思うんです。ほら、頭打つけると星が飛ぶと言うか、一瞬チカッてなるじゃないですか。そうなったのを、覚えてるから。
だから多分、私、千夏に殴られて殺されたんだと思います。場所は、そう、部室棟近くの焼却炉跡のとこ。
それから、気付いたら、美術準備室に居たんです。夜の準備室。
それが大体、四日くらい前の話です。
最初は凄く戸惑ったし、凄く怖かったけど、でも司書さんがそんな中で助けてくれて。昼間とか、みんなが居る間、上手く隠れられる場所、教えてくれたりして貰ってたんです。夜も図書室に匿って貰ったり。
でも、今日は図書室に戻る前に鍵締められちゃって、どうしよって学校の中うろうろしてたら、アレが廊下に浮かんでて、それで慌てて逃げてたら、お二人に会った、そんな感じです。
これが私の言える全部です。お役に立ちそうですかね?




