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別荘物語

作者: 氷室吾郎

 「ごめんごめん准教にレポート出してて遅れた、あっ店員さん俺アイスコーヒーね」


 「もー堀から集まろうって言い出したのになんで遅刻するかな?みんなも何か言ってやってよ」


 「今日も仲のよろしい事で、美幸さんと堀君の夫婦は」


今日も今日とて仲良し4人組で大学近くのスタバに集まりなんて事のない話に花を咲かせていた。

え?セリフが3人分しか無いって?4人目の梅田は、話に参加するよりも今はポッキーをやっつけるのに必死のようだ。


 「ところでみんなは就活の方はどう?どこかから内定もらえた?」


ポッキーをやっつけ終えた梅田が、何時ものように空気をまったく読まない発言をした。

この時期の大学生に【内定】は禁句なのだ。


一気にさっきまでの笑顔が消え、暗い雰囲気が漂う空間に早変わり。


 「そ…そう言う梅田君はどうなのよ?内定貰えた?」


舞から言われた梅田はどこ吹く風のような飄々とした顔で。


 「いや…俺は実家継ぐから就活なんて始めからしてないから」


どこまでも、人の神経を逆撫でする梅田である。


 「なぁみんなコレ見てみろよコレ」


堀がそう発しながら自分のスマホの画面を差し出した。スマホでは何やら動画が配信されている。


 「これ堀のお気に入りのVTuberの配信じゃない、これがどうしたのよ?」


 「これを俺たち4人でやるんだよ!俺たちがVTuberになるんだ」


堀が、突拍子も無い事を言い出すのはいつもの事であったが熱く語る内に3人の顔付きも変わっていき、すっかり堀の考えに賛同していた。


こうして着々と仲良し4人組の計画は進んで行った。

配信場所は一軒家に1人で住む美幸の家に決まり。

パソコン等はそっち方面に詳しい梅田が、おっとっとをつまみながらセッティングしていき。

舞はパシリに精を出し。

言い出しっぺの堀は、昼寝を決め込み。


なんやかんやとありつつも、全ての準備が整った。

その日の夜、窓の外では早めの初雪が散る中、4人はこたつを囲み、完成祝の小さな祝いの場を設けていた。


 「問題はチャンネルの名前よね…」


美幸の一言に、あーだこーだとみながそれぞれ勝手な意見を言い、自分の意見が一番だと押し付け合いをしてる中、鍋の〆である雑炊を食べ終えた梅田が一言。


 「別荘」


そう呟いた。常々、部屋の余っている美幸の家をたむろする場にしていた3人と家主の1人は、美幸の家を【別荘】と呼んでいた。


梅田の一言の呟きに他の3人は顔を見合わせて。


 「別荘に決まり!」


そう声を揃えて言った。

こうして4人で配信すると言う少し変わった形式の新人VTuberが誕生した。


 「みんなが配信で使う名前をリーダーである、この堀が考えてきたからそれを使うように」


準備段階では何もしなかった堀がここに来てリーダーと言う肩書きを振りかざしてきた。


 「先ずはリーダーの俺、俺の名前は【ホピ】由来は何となくだ!次に舞、君の名前は俺たちのアイドルらしく可愛らしい名前にした【まいみょん】どうだ?可愛らしい名前だろ?」


言われた舞は、まんざらでも無い顔をしていた。


 「3人目!梅田!お前はもう面倒だったから【お菓子】にしようとしたが美幸に怒られたんで、ちゃんと考えたお前の名前は【うめぽ】」


梅田だからうめぽ実に安直な名前であった。


 「最後に美幸だが美幸はそのままみゆきで、しかしみゆきさんと言う名前にした」


 「ちょっと待ってよ!何で私だけ敬称が付いてるのよ!これじゃ、みゆきさんさんになるじゃない!」


 「そこが狙いだ」


悪人のような笑みを浮かべた堀ことホピが高らかに言う。他の2人も口には出さなかったが、少し、いや…かなりの天然ボケしてるみゆきにはお似合いだと思った。


こうして…

リーダーで口だけは達者なホピ

天然ボケのみゆきさん

アイドルのまいみょん

お菓子大好きうめぽ

4人のVTuberが新たにこの世に生まれた。


4人の集う【別荘】はどこに行くのだろうか?

順風満帆な道のりなのか、波乱万丈な道のりなのか、それは誰にも分からない。

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