表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/38

おんなごころと秋の空

 女心と秋の空ということわざは、秋の空模様のように移ろいやすい女性のことを表しているという。この言葉を知ってから九回秋が訪れたというのに、微動だにしないわたしの心は男なのかと自嘲して辞書を引けば、元は男心と秋の空から来た言葉だというのだからお手上げだ。

 ことわざを知るまでに訪れた三回の秋を足して十二年。年齢の十の位が〇だったはずが気づけば二に変わり、少女と言える年齢も過ぎ、取り巻く環境も、築いた友人関係も変化が訪れているのに、たった一つだけ変わらない。わたしの視線の先にはずっときみがいることだけが。

 紅葉を見に行こうときみは言う。いつからそんな趣味ができたのかと笑いながら足を運べば、昔のようにどんぐりやまつぼっくりを拾い集める。少年の頃にしたように、それらをポケットいっぱいに詰め込むことはなくなったけれど、拾ったそれらを手のひらにおさめて満足そうに笑む姿は変わらない。少年のように、少年のまま、あの頃と何も変わらなければどれだけ幸せだっただろう。

 わたしよりも背が低かったはずのきみはいつの間にかわたしを追い越して、きみの背中に回ればすっぽりとわたしが隠れてしまうくらい、きみは大きくなった。きみのあだ名がチビスケであったことを、わたし以外はもう覚えていないかもしれない。

 幾度も秋が訪れて、体だけ大人になって、きみの笑顔は変わらなくて。移ろってくれと願うのは、きみを思うこの気持ちか、誰かを思うきみの気持ちか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ